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【新・中医臨床カンファレンス】に参加して #5

こんにちは。鍼灸専門 一齊堂の東豪です。

本日、東方医療振興財団主催の「医師・鍼灸師・薬剤師が連携してよりよい医療を患者様へ提供できる仕組みづくり」の一環。

新・中医臨床カンファレンスに参加させて頂きました。

▼新・中医臨床カンファレンスとは


1月の主訴 

「手掌足の膿疱、不眠」

手のひらや足の裏に膿疱(うみをもった皮膚の発疹)や湿疹が生じる病気で、「掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)」の疑いと診断された症例。

手のひらが化膿して膿疱ができるだけではなく、足の爪も化膿しており、皮膚科では感染が認められないとの診断であるが、なかなか改善しなかったものです。


糸口は東洋医学的診察の中から

今回の症例では、直接症状とは関係のない「睡眠の質、精神状態、胃腸の状態」などの問診事項により、体質・体調の状態を把握。

加えて「舌の色・濡れ具合・苔の具合」といった舌診所見や、「脈の太さ・強さ・めぐり方」といった脈診所見などの、カラダに現れる東洋医学的所見を合わせることによって、体質・体調の様子をより詳細に・明確にしていきました。

その結果、「手足」の症状にも関わらず、全身の状態、殊に五蔵(ごぞう)の状態を調えることが重要であるとの見解になりました。

例えばまず、血のめぐりを司る「肝の蔵」の不調によって起こる血のめぐりや質の問題。

次に、「脾の蔵」の不調による余分な水分の停滞。そこに邪熱が絡みつき湿熱の問題。

最後に、血の不足から起る「心の蔵」の不調による精神不安の問題。

これら五蔵の生理機能の不調和が、全身の気血水の循環に偏りを生じ、結果として、手足という部分の症状を発する。

病の根本は、五蔵・気血水にある。

症状は比較的慢性的で激しくはありませんが、様々な問題が折り重なったややこしい症例でした。


今回のポイント

治療の優先順位

今回のように、肝・脾・心の三蔵や気血水のいづれもが関わっている症例の場合、難しいのが「治療の優先順位づけ」です。

「どれも大事」と玉虫色の治療になると効果が現れないばかりか、良くならない場合に何を修正・変更したらよいかわからなくなってしまいます。

今一番つらい症状に直結している五蔵・気血水の変調・不調はどれなのか。

現状把握をクリアにして、目的完遂のための手段と手法を選ぶ。

ドクターらは漢方薬で。

我々鍼灸師は、鍼とツボになります。

病態を階層的に把握することの重要性を再確認しました。


次回は、
2月27日(月)20:00~21:00 @zoomです。

現在、東方医学会 新・中医臨床カンファレンスでは医師の参加を募っています。

漢方薬を使っている医師で、レベルアップしたいと感じている方。具体的な症例を通じて、明日から使える中医学の弁証思考・処方例を、中医学を修めた現役の医師から学ぶことができます。

漢方薬局を開業している薬剤師や、東洋医学に興味のある医療従事者の方もご参加いただけます。

まずは、聴講できますので、一度ご参加してみてください。

▼申し込みはこちら


必ず一言、発言する。

これを目標に、次回もお楽しみに。


今回も読んで頂きありがとうございます。ISSEIDO noteでは、東洋医学に関わる「一齊堂の活動」や「研修の記録」を書いています。どんな人と会い、どんな体験をし、そこで何を感じたかを共有しています。臨床・教育・研究・開発・開拓をするなかで感じた発見など、個人的な話もあります。

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