28 金の切れ目が縁の切れ目は本当


つい1年前ほどの話です。わたしが住んでいる田舎町で、ある事件が起こりました。

メキシコ人友人からいきなり「10万円貸して」と言われたんですね。
びっくりして、「10万円なんで必要なの?」と聞いたところ「いろいろあって」と言われました。「なんでいるのか説明がないと貸せません」といったところ、事情を説明してくれました。

友人のアメリカにいる叔父から電話がかかってきて「郵便でいろんなものを送ったけど、そちらに届く前に、税関の問題で止められている。いますぐ税金を振り込まないと、ものが送り返されてしまって、送料がパーになるから、代わりに税金を振り込んでくれないか」ということだったらしいです。んで、その税金が10万円

何を送ったかというと、「iPhone 5個、MacBook5個、Samsungの携帯5個、ホンダの車のパーツ4個 …」などなど、明らかにメキシコで売れそうなものばかり。どうりで友人が、叔父を助けてその贈り物を手にしたいわけです。

んで、なんかこの話怪しいな〜と思って、伝えられていた宅配便のトラッキング番号を元に、いまどこに荷物があるのかネットで調べたら、トラッキング番号は存在しないとなりました。

その事情を説明して、これって詐欺じゃないと言っても納得しないメキシコ人の友人。

その宅配便の会社で働いている友達がいたので、事情を説明して聞くと、このトラッキング番号はその宅配会社のものではないし、たとえ税金が必要だとしても、個人の銀行カードに入金するとかありえないと言われました。その話もメキシコ人友人に伝えたのですが、まだ納得しない。

じゃあ、その叔父という人に、家族経由で電話して本人に聞いてみようとなり、家族経由で電話して聞くと叔父は「なんだその話きいたことないぞ。というか何十年も話してない家族になぜそんなものを急に送ったりすると思うか!」と危うく口論にまでなったらしい笑
(そもそも何十年もあってない叔父だったから、声を聞いても彼で無いことが分からなかったんですね。典型的な詐欺。)

そこまでいってやっと友人はこれが詐欺だということを信じてくれました。

ということで10万円は友人に貸すことなく、事件は収まりました。


昨日、本田静六著の「私の財産告白」を読んでいて、この事件を思い出しました。

「普通の人」がやるべき「普通の貯蓄」について書いてあって、読みやすくおすすめです。Amazon のkindle読み放題でも読めます。
お金の貸し借りに関して、厳しく正しく書いてあるので、一部引用。

「気の毒だと思って貸した金で、その金が生きた証がほとんどない」
「ともかく1度金を借りに来るくらいの人は、必ず2度3度と借りに来る」
「バカに儲かる仕事は、バカに損する仕事でもある。」
「いかなる場合にも、金銭の貸借融通等は一切銀行または然るべき正式機関を対手にし、親族知人間には全てこれを行わないほうがいいと考える。万一のっぴきならぬ申し込みを受けた場合でも、その事情により頼まれた金額の幾分に熨斗をつけて進呈しまうことに越したことはなく、決して証分を取り、返してもらうつもりで融通してはならないと思う。」

同じくこの本にて、あのシェイクスピアの文も引用されています。「借主となるなかれ、また貸主となるなかれ、貸主は金と友人を同時に失う」と。

危うく貸すところだった10万円は、まさに引用のとおり、生きない金になるところだったとおもいます。
そもそも急に必要になる金は裏があるのだと、この事件で学びました。

やはり、外国人ということもあって5年間のメキシコ生活で、金を貸してくれと言われたことは何度もあります。ほとんどの場合貸しません。
ただ、昔お世話になった人とかには、恩もあるので、返金の希望は持たないまま貸します。まあ、貸した金が返ってきたことはほとんどないです。

以前、仲よかった知り合いに金を貸してくれと言われました。
彼女は19歳くらいで、まだ若いのですが、高校卒業後は工場で作業員として働いていました。なぜいるのかと聞くと、母親とメキシコシティに旅行に行くといいます。働いていて、メキシコシティに旅行に行く旅行費もないのであれば、旅行に行かないで貯めたほうがいいのではと思いました。
彼女のためを思って、自分でお金をマネージする癖を身につけて欲しいと思って、結局貸しませんでした。
その後、彼女とは今でも時々話しますし、縁は切れていません。あの時貸していたら、私の中にわだかまりがうずうずして縁も切れていたのかな〜とふと考えてしまいます。

これは外国だけなのか、メキシコの文化なのかと思っていたのですが、本田氐の話を読む限り、私にそういう縁がなかっただけで、結構日本にもこの手の話はあるのだなと思いました。

世界中どこにいても、金の切れ目は縁の切れ目ということは常に頭に入れておいたほうがいいということですね。ふむふむ


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