もしも「桃太郎」の語り手があずきみみこだったら
わりと前、どこだかの山のふもとの方に
おじいさんと呼ばれる人物(以下、おじいさん)と
おばあさんと思しき人物(以下、おばあさん)が
住んでいました。
おじいさんは山へ徘徊に、
おばあさんは河川敷へ芝刈りに行きました。
すると、川の上流から大きな桃が
ズンズクドン、ズンズクドンと流れてきました。
おばあさんはとりあえず写真を撮ってTwitterにアップ。
投稿がバズっている間に芝刈り機を
川に放り投げ、
大きな桃をせき止めました。
どうやって桃を持って帰ろうか悩むおばあさん。
タクシーを呼ぼうかと思ったけど、
あいにく先ほどの大バズりで充電が落ちてしまっていたので
ちょうど通りかかった野球部員たちを引きとめて
家まで運んでもらいました。
家に帰ったおばあさんはYouTubeで
巨大桃の捌き方を検索。
どうにかして桃を割ると、
中から元気な赤ん坊が出てきました。
おじいさんとおばあさんは大喜び。
二人の間に子どもはいるものの、最近
すっかり顔を出さなくなり
ちょうど嘆いているところだったのです。
名前を考えるおばあさん。
「桃太郎」か「陽衣地(ピーチ)」で迷ったので
インスタのストーリーでアンケートを実施。
結果「桃太郎」に決定しました。
愛情をたっぷり注がれた桃太郎は
スクスクと育ち、
親想いの元気な青年になりました。
そんなある日、村で
鬼が出るという噂話が流行。
おばあさんは
たまたま噂の鬼を目撃したので
その姿を激写し、再びTwitterにアップ。
しかし今度はどういうわけか、
おばあさんの投稿が大炎上してしまったのです。
誹謗中傷や、住所特定までする輩がいて大騒ぎ。
「本当の鬼は人間だがね」と嘆くおばあさん。
そんなおばあさんの姿を見ていた桃太郎は
居ても立っても居られず、家をとびだします。
すると道の途中、犬を見かけました。
どうも見たことのある犬だったので
犬養さんちに連れて行くと、やはりそこの犬でした。
桃太郎はお礼に
微糖の缶コーヒーと、きびだんごと、黒糖飴をもらいました。
さらに歩いていると、猿を見かけました。
桃太郎はきびだんごで手なずけ、山に返してやりました。
(どうやらその猿は、凶暴化して
近隣住民を困らせていたやつだったらしく、
後日警察から感謝状が届いていました。)
さらに歩く桃太郎。ようやくお友達のキジ田の家に辿り着きました。
事情を話した桃太郎は、ハッカーの
キジ田の協力を得て「住所特定をした人物」の
住所を炙りだしました。
そして二人はその人物の家を訪ね、
おばあさんへの謝罪文と、
二度と同じことはしないという
誓約書を書かせました。
こうして、おじいさんとおばあさんと桃太郎は
それからしばらくの間、ある程度幸せに暮らしましたとさ。
めでたいんだか、めでたくないんだか。
※この物語はフィクションであり、実際の人物や童話「桃太郎」とは何の関係もありません。
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