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ダメをデフォルトとする

認知症の義母の入浴拒否問題で、訪問看護や訪問介護を利用していた。毎回、揉めに揉めつつ、約一年。そのうち、義母も入浴介助を受け入れるだろうと頑張ったが、全く良い方向にはならない。そして、一旦サービスを受けるのをやめてみよう、もうどうでもいいわ。という事で、やめてみた。
すると、ものすごく楽になった。

週2回、月木3時に入浴サービスを頼んでいたが、その前に説明すると反抗され、文句言われながらお湯沸かし、看護師さんヘルパーさんが来るのをまち、その間中も大丈夫かどうか周りで見守る。事業所との連絡や、相性の悪い方と揉めてケアマネさんに間に入ってもらったり、などなど気苦労の連続。
そのうち軌道に乗れば楽になると思ったけど、全然楽にならず。もう、おばあちゃんがお風呂でひっくり返って死んだとしてもそれも運命。あるいは、どうしても風呂が嫌ならそれもよし、垢まみれで臭くなったとしたらその時何とかしよう。という事にしたら、一気に楽になった。今は、その時間帯に夫がお風呂沸かして、「はい、バーさんお風呂入って」というと、ブツブツ文句を垂れながらも自分で入るという流れ。

嫁の私としてはとっくにどうでもいいのではという心境だったけど、息子である夫は意地になっていた感もある。息子なので母親には清潔にして欲しかったという美しい話ではなく、どっちかいうと、「ババア、いう事聞け!!」ぐらいの感じです。

お風呂は入った方がいい!
体を清潔に保てる様に、私達が何とかしないといけない。
という変な思い込みと、やってあげないといけないという妙な責任感があったと思う。
一緒に暮らす私達がちゃんと介護をしないといけないと思い込んでいたけど、
ちゃんと教科書に載っているような介護ができる様な立派な人間ではないんです。ダメダメな私なんです。めんどくさいのは嫌なんですというふうに開き直ったら、めちゃくちゃ楽になった。

入浴サービスはやめたけど、ディサービスは復活させた。
すると案の定、当日の朝、今日は休むと登校拒否をし始めた。毎回行く前にダダをこねる。先日も、駄々を捏ねるおばあちゃん何とか優しい言葉で説得しようとしていたが、全然着替えようとしない。ついに、私は「なんでもいいから、とにかく着替えましょう!」といって、義母の背中に手をやり腕を掴んで立ち上げた。すると、義母はたちあがり、ブツブツ文句を言いながらも着替え始めた。そして着替えが終わった頃、ディサービスのお迎えが来たので、なんだか行く気になって、無事に車に乗った。
その後私は、うわ〜、今の絶対にやっちゃいけないやつだったなぁと反省した。でも、意外に上手くいったな。そして、反省するのをやめた。
多分、良い例とダメな例があるとすれば、間違いなくダメな例だったと思う。
だけど、大体普通はダメな例をやってしまうものだ。
ダメな例は、ダメというよりも普通はそうなりがちな例である。
良い例は、滅多に起きないいわゆる神対応というヤツである。
思い悩んで暴力を振るってしまう、とか介護者が病んでしまうというのは極力無くしたい例ではある。
でも、失敗は普通。ダメはデフォルト。常に神対応をし続けるというのは無理な話し。
デフォルトはダメに設定されているダメな人間なんだけど、致命的な事態を避けつつ、ちょっとだけマシを目指すくらいな感じでやっていこうと思う。