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読書感想文「テスカトリポカ」「挑発する少女小説」「かめくん」

毎月1日を目指して読書感想文を書くことにしている。ちょっと遅れた。
感想文というよりは、今月はこれを読みましたという記録の様なもので、この3冊に全く脈絡はない。
あるとすれば、この3冊はポッドキャスト繋がりと言えるかも。

「テスカトリポカ」佐藤究
この本は、私が入手したのではないのだが、暇を持て余す定年夫がネットで買い物をするのが大好きで自分のものでは飽き足らず、私が好きなのではないだろうか。と勝手に注文してくれて、届いた本です。
やけに分厚い本で、表紙や帯はおどろおどろしい。「ちょっと、積読がいっぱいあるのに、やめて!自分の本買いなよ!」と、可愛くないので文句を言いつつ、読み始めたら止まらず、一気に読んでしまいました。ネタバレしてはいけないので、というかあらすじ説明するのが大変なので、中身には触れません。が、ちょっとだけ。南米の(もうすでに正確な国を忘れた)メキシコだったと思うんだけど、麻薬カルテルの親分が、他のカルテルにやられ、回り回って日本で暗躍するお話なのだけど、アステカの神を信仰しているので、殺し方が半端ない。残虐極まりないようにしか思えない。あまりのことに、嘘だろうと思いたくなるほどなのだが、コテンラジオでマヤ文明の話を聞いていたので、受け入れられた。正確には、受け入れられた訳ではないが、私たちとは全く違う感覚や信仰を持つ人がいるんだということだけは了解しつつ読めた。番組聞いてなかったら、読むのやめていたかもしれない。ありがとう、コテンラジオ。出てくる人たちが悪人ばかりのいわゆるノワール小説なのだけど、どの人物からも目が離せない。最後はちょっと救いもある。あまり気乗りしないで読み始めたのに、気づいたら一気読みしてしまい、面白かったです。

「挑発する少女小説」斎藤美奈子

図書館からリクエスト到着の知らせが届き、受け取ってみたものの、なんの本か記憶になかった。おそらく、日曜日の新聞の書評を見て、面白そうだとリクエストしたものだと思う。
なんだっけ?と読み始めたら、面白く、これも一気に読んでしまった。
作者は私よりも少し年上の方だけど、ここに書かれた少女小説を読んで育ったという括りでは同世代と言えるかもしれない。今の女の子たちは、若草物語、小公女、赤毛のアン、あしながおじさん、若草物語、大草原の小さな家、長靴下のピッピといったお話しを読むのだろうか。これらのお話を子供の頃には随分と楽しく読んだ。
でも、これらのお話、男の子はあまり読んでいなかったと思う。実際、赤毛のアンのお話しは、誰でも知っている話しで当然知っているものと思って、夫と話していたら、その話し全然知らないと言われて驚いたことを思い出した。こっちは、トムソーヤもハックルベリーフィンも十五少年漂流記も読んだのに?と思った覚えがある。そして、この「挑発する少女小説」を読んで、初めて気づいた。これらの物語には、随分と都合良く、女の子を良妻賢母に仕立てようとする企み?が含まれていたことに。企みというのは、少々穿った見方かもしれない。悪気があったわけではないので企みというのは言い過ぎかも。でも、女の人はこうあるべきという刷り込みが、ここにもあそこにもあると作者は暴いていく。目から鱗本なのだった。
それでも、これらのお話しが子供の頃の私を楽しませてくれたことは確かだし、主人公たちは魅力的だった。でも、この主人公達がこれからの女の子達のモデルにはならないだろう事だけは感じた。私たち世代は、なんとなく幸せのモデルをこの主人公達に重ね合わせてぼんやりと少女時代を送ったわけだけど、じゃあ、これからは、どうなんだろう。そもそも、女の子が読む本、男の子が読む本という分け方自体がどうかということにもなりそう。ジェンダーの問題については、みんなが改めて考え始めたところだと思う。コテンラジオ 性の歴史を聞いて、私も考え直している。自分の子供時代は、そもそもそんなことが問題になることなんて、想像すらしていなかった単純な時代だった。コテンラジオ 性の歴史はまだ聞いていない方はおすすめです。女性は搾取されているなんて今まで思ったこともなかったけど、性の歴史を聞いて、またこの本を読んで、まだまだそうかもねと、ぼんやり思うのだった。

「かめくん」北野勇作

かめくんは、SF小説。「カメリ」を読んだ後、かめくんはカメリと同じ世界観の小説と知り、Kindleで購入。私の頭が良くないので、この小説のSF設定については上手く説明できない。しかも、途中で、これは映画「ブレードランナー」を観ていないと理解出来ないかも知れないことが分かり、アマゾンプライムで「ブレードランナー」も観ている途中。かめくんも、途中。一気に読んでしまうのは、勿体ないのだ。上手く説明出来ないのだけど、かめくんの世界は、もしかして本当は世界はこんなふうに出来ていたりしてと思う、既視感に溢れた世界なのだった。「カメリ」にしても、「かめくん」にしても、いつの時代かどこの街かわからないけど、どこか懐かしい不思議なお話だ。この本に出会ったのは、ポッドキャスト「ハードボイルド読書探偵局」のお陰である。

というわけで、今月は3冊の本とポッドキャストについてでした。


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