思い出を噛み締める

家族でドライブに出た事がある。向かった先は香川県。言わずと知れたうどん県だ。

目指すは日本のウユニ塩湖、父母ヶ浜。天空の鏡が魅せる幻想的な光景は現実とは思えない、不思議な世界で。一瞬で心を鷲掴みにされた。

そんなこの地でもう一つ、忘れられないことがある。それは本場の讃岐うどん。

家族で入ったうどん屋は、おばあちゃんが一人で切盛りしている小さなお店。笑顔が素敵な、可愛らしいおばあちゃんだった。

注文したのはベーシックなかけうどん。透き通るような黄金色のいりこだしの中には艶やかな麺。ネギの緑が彩を添える、シンプルな一品。

一口啜ると口いっぱいに広がるだしの香り。麺はコシがあって、噛めば噛むほど旨みを感じる。食べても食べても飽きのこない美味しさ。

喉鼓を打つ

まさにこの言葉がしっくり来るような、心も体も温まる至福の時間だった。

今でもあの味が忘れられない。おばあちゃんの可愛らしい笑顔も。

あの暖かさを、もう一度。


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