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随想好日 第19話『効果効能・裏切り、失恋、不条理、中程度のメンタルダウン』

 お陰様でなんとか風邪は復調の経過を辿っております。そこで、ご心配を頂いた皆様に、本日はお歳暮代わりのお勧めの旅先のご案内と。一応、23才くらいから40才くらいまでの間に、世界地図の三分の一ほどの国々へと行かせていただけましたので、細々と切り売りしながらご案内出来ればと思っております。情報は古いものも混じってますから確認はご自身でお願いします
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 随想好日 第19話『効果効能・裏切り、失恋、不条理、中程度のメンタルダウン』用法用量を守った上でご利用ください。稀に過剰に反応が起きる場合がありますが、ご利用後、一週間をめどに改善が見られない場合はかかり付け医への通院をお勧めします。なお、アナフィラキシーショックをはじめとするアレルギー成分は入っておりませんが、極稀に副反応が見られる場合があります。副反応の症状「恋愛偏重、偏執、常識・良識健忘症、現実逃避、神様のせい、帰国嫌症状、他、※詳細はご相談窓口までお問い合わせを」

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 砂糖菓子、クリスマスケーキの上のお家、DLのシンデレラ城のモデル……などなど、様々な例え、形容をもって紹介されるサムネイルのお城。
さて行ったことがある人はどのくらいおられるのでしょうか。概ね女子からの人気が高いであろうことは想像できるよね。
 まぁ、男一人で行くにはなんとなく気恥ずかしさが先に立ちそうでもあり、真冬にこの辺を一人でフラフラしていると"別なこと"を心配されそうでもあるわけです。でもまぁ、他人の目を気にしないという本来の自由人であるなら是非行ってみて欲しいところではあるのですが。

 さて、ではまず写真の説明から参りましょう。
 城・ノイシュバンシュタイン城
施主さま・ルードヴィヒⅡ世
場所・ドイツ・バイエルン州 フュッセン・シュバンガウ
写真のロケーション・マリエン橋からのノイシュバンシュタイン城

マリエン橋からみたノイシュバンシュタイン城・要確認通行可能情報

 昔は、真冬でも渡れたのですが、現在は時期的に閉鎖される時期もあるようなので気を付けた方が良いでしょう。ただ、ここから撮る写真は様々なところで使われる写真だけあって、それはもう圧巻の一言。写真を趣味にしておられる人なら一枚は撮っておきたい写真かもしれませんね。

 さてお薦めの季節を紹介する前に、以前……今から20年ほど前であれば、城の下にあるシュバンガウの町から、小一時間ほどかけて山道を歩いて上るか、馬車に分乗して上るかというのが一般的でした。お薦めは馬車だね。7合目ぐらいまで馬車で上がって、そこから三分でマリエン橋の入り口が右側。マリエン橋入り口から、20分で城へのエントランス。
 てな感じ。お城の中はだいたい一時間ぐらいの見学時間。日本語のガイドラジオも貸し出してくれているはずなので興味深く聞けるでしょう。

 お薦めの季節はそれぞれに良さがあるので難しいところだけどね。賑やかなのが好きな人は5月~9月。人が居ない方が好きな人は11月~2月。
 わたしは個人的に真冬が好きでした。
 人も少なくて、荘厳さが際立っており、孤独なバイエルン王が愛したエリザベトへの思いに寄り添ったり、日夜繰り広げられた宴会の阿鼻叫喚に思いを至らせ、歌劇タンホイザーに思いを馳せながらワーグナーのローエングリンを聞きながら城の中を歩くなら、やっぱり真冬だと思ったものです。

 場所はミューニックから南西に280キロほどだったでしょうか。観光バスだと大体四時間と少しぐらい。通常、団体で行くと所謂城下町のシュバンガウでランチと云うのが定番だった。
 ただ、もしも個人旅行で行く場合は、このシュバンガウかフッセンの町で一泊して欲しいところ。
 
 その理由のひとつが、途中にある「世界遺産・ドイツ巡礼地教会」にも立ち寄って欲しいからに他ならないのですが。折角なのでご紹介しておきましょう。

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 ミュンヘンからの行きすがらシュバンガウに到着する40分ほど手前。国道から農道への分岐の道が現れて来るのだが、そこを左へ折れると、巡礼地教会としても知られている、ヴィース教会へと至ることが出来る。
 ロココ様式のこの教会の美しさは、まさに筆舌に尽くしがたく、ファサードを潜った瞬間、"被昇天"という言葉の意味すら理解するに至れるかもしれない。日本の仏教美術の美しさもさることながら、キリスト教美術、芸術の美しさは、また格別だ。


世界遺産・ドイツ巡礼地教会・ヴィース教会

 日本の仏教美術が、自己との対峙をベースとした"内向性"であり、内面充実と内省という処に向かわせるのであれば、キリスト教美術の美しさは、オポチュニティーという方向へ向かわせる。
 例えば、国内で何処かの仏像と対峙し、座禅でも組んでみたとしよう。薄目をあけて、仏像を眺めていると、その仏像を中心として、様々な御仏が辺りを取り囲んでおられるような錯覚に陥ることがある。

 しかし、一神教であるキリスト教の場合、どれほど絢爛豪華な教会であろうと、神の子イエスキリストの他に、向き合う対象物が浮かんでくることは無い。これはとてもシンプルであり、向き合う人々にとっては、さぞかしオポであろうな~と思えてくるのである。それだけに、キリスト教美術の荘厳なる美しさは、訪れる人の心を掴んで離さないのだろう。

 ツアーでは、中々行くことは出来ない。私がツアコンとしてお客様をお連れしていた頃は、ほとんどコースに入っていなかった。しかし、私と旅をしたお客様の殆どは、このヴィース教会を観ることが出来たはずだ。勝手にコースを外れてお連れしていたのだが、怒るお客様は誰一人としていらっしゃらなかったことは言うまでもない。今となっては20年以上も前の話ではある。宜しければ是非お運びいただきたい。お薦めの一か所です。

ドイツ巡礼地教会・ヴィース教会の内部身廊からの天蓋写真

 ね。ここに行こうとするとチョッと個人旅行だと時間が押す。だからフッセンで一泊した方がイイのです。そうするとホーウエンシュバンガウ(白鳥城)、ノイシュバンシュタイン(新・白鳥城)すべてを網羅することもできるでしょう。

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お薦めの御伴の本は

お薦めのお伴の音楽は……

ワーグナー ローエングリン 一択でしょうか。


 行き方は「症状」によって変えたいところですね。
プラハから回り込む
ウイーン・ザルツブルグから横断する
オランダ・ベルギーからフランス、そしてスイスから
入り口、出口を何処にするかによって効果効能・処方ルートも自由にできる。
 さて、これから2カ月間ほどはタリフ(航空運賃・ホテル料金)もグッと落ちる。泣く旅も捨てがたいのですが、お若い皆さんには復活するための旅もお薦めしたいところ。

 さて…… 次は、イタリアでも行ってみましょうか ?

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