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朝から辛気臭くてゴメンなさい。 俺でも解かった膀胱がんの「わたしの今」

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我の膀胱にガンの存在が認められた時点で、わたしはわたしの病気のアイデンティティーを確かならしめるために勉強を始めた。実に多くの情報が出回っており、どれを真なるものとして重用するかは難しいところなのだが、結局わたしは"国立がん研究センター"のサイトを中心に我が膀胱がんのアイデンティティーを形成することとした。

国立がん研究センター図3 膀胱がんの深達度

さて上図について説明する前に。皆さんは癌というものがどのくらいの時間で1センチほどの大きさになるかご存じだろうか。

およそ10年をかけて1センチの大きさになるそうであり、1センチ未満の癌の病巣をみつけることは、どうやら簡単なことではないそうだ。ましてや2~3mmではほとんど見つけられないそうだ。
 次に、1センチの癌が2センチの大きさになるまでにかかる時間だが、これが大体1年半から2年の時間で2センチの大きさとなるそうである。

ということは、我が膀胱癌は15mmであるからして、ザックリ、11年ほどで現在のところまで成長してきたと看ることが出来そうだ。

そしてリスクが大きくなるのが、癌が2センチを超えた大きさになった頃のようだ。したがって、それ以下であれば比較的時間の余裕を導きやすいようである。どうりで、わたしの世話になる医者ものんびりしている。昨日、手術日が10月の半ばに決まったが、そこまで凡そ一か月余りある。
癌が見つかってから、二カ月ほどおかれる計算となるだろう。
 2センチの大きさになるまで、残り4カ月から8カ月程度か。

 たとえば、ここに示したような情報がなく、自分の病気のアイデンティティーを確かならしめることが出来ていなかったとしたら、いくら鈍感な私でも「大丈夫なのか…… 癌が大きくなるのではないか…… 医者はもうさじを投げているのではないか」と心配したことだろう。

 本来は患者のその様な不安を取り除くためにインフォームドコンセントが機能するべきなのだが、我が担当医の言葉は少ない。いや、全く説明はない。「一か月ほど間が空きますが、大丈夫なんすか?」「大丈夫」これだけである。
【あんた、自分で調べるでしょ? どうせ。逆算して自分の癌の状態調べるでしょ?】担当医がそう思ったか、そう考えたかは定かではない。
【だまって、任しトキ】そういう姿勢なのかもしれない。
自分で調べることのできない人には丁寧に説明したのかもしれない。

が、わたしには一切の説明がなかった。これが事実である。

癌を経験した人たちの間で、最も心配したことが何であったか……
そういう質問をまとめた統計資料があるのだが、ダントツで、手術までの間に癌が大きくなってしまうのではないか~、手術までの間に、癌が原発巣化するのではないか。即ち転移を指すが、そういう心配が最も多いようだ。

分かったこととして書くが、癌の直径が10mm~15mm程度であれば、筋層への浸潤リスクは小さく、周術期へのアプローチには比較的余裕がありそうだということだ。国立がんセンターの図で云えば T1相当となるか。

実際、わたしの場合、他への転移もなく、血流、リンパ節を通じての癌細胞の流出も認められていなかった。
リスクが大きくなるのは内筋層への浸潤が認められてからのようであり、この時点で毛細血管やリンパ節への癌細胞の流出が始まり、いわゆる播種転移の危険性、原発巣化の危険性が高まる様である。

例えば、膀胱がんの場合、図3のT2aに至ると「膀胱全摘」がオーソドックスな治療法となり、小腸を使った人口膀胱形成術やストーマ留置術が選択肢となるようだ。中には膀胱がん・膀胱温存療法術という先進的な取り組みをしておられる病院も存在する。

この病院の療法の凄いところは術後の存命機関の長さにある。膀胱全摘時と温存療法では倍ほどの存命機関の違いがある。
…… 保険きくのかい ? 先進医療制度きくのかね ?
お金持ち専用なのだろうか。


手術が終わった後は、週5回、6週程度の放射線治療が待っているようだ。
再発したとして、1センチになるまで10年かかるのであれば……70か。
実際は同じ臓器内での転移再発だからそんなに時間はかかるまい。
放射線治療に費やす時間を優先するか、年に一度の検診で丁寧に癌をみつけてもらうか。ここはまた、わたしがムクムクしてくるところではある(笑)

纏めとして書かせて頂くが、妄信はけして強くない。
それよりも病気を我がアイデンティティーとして見定め、徹底的に知る努力をすることだ。すると疑問が必ず出てくる。
 任せるところと我が意を反映させるべきところ。これは不遜でもなんでもない。ましてや60も過ぎりゃ毎日の時間が大切になる。
時間の使い方に我が意が反映されないような妄信は、自分の人生と云えるだろうか。


※本稿は、比較的早期に腫瘍が見つかった者による考え方の一つであり、病気が見つかったタイミングによって考え方や不安はそれぞれにあろうかと存じます。重い状況で対峙しておられる方々を軽んじたり傷つけることを目的としてはおりません。寧ろ、軽い状況で見つかった者として、向き合う姿勢は一層真面目に真剣に向き合うべきと考えておりますこと書き残します。

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