双極性障害の彼女とバセドウ病の僕 Vol.6 ~双極性障害の基礎知識

Vol.5は初めて希死念慮を目の当たりにして驚きを隠せなませんでした。

つい感情的になってしまった。

そうしてケンカにも発展しましたが、そのおかげで僕は彼女のことを知ろうと努力していなかったんだなと気づくことができました。

今回は彼女の病気についてです。


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彼女の病気のことは初めの頃に話してくれていた。

彼女の病名や症状や薬の副作用についても話してくれていた。

そうきょくせいしょうがいにがた。

初めて聞く言葉だ。

どんな漢字を書くのかもわからない。

最初の頃はわからないだらけだだった。

彼女は自分の病気を知ってもらいたかったんだろう。

だから最初に話してくれた。

しかし、僕は彼女の病気のことを調べなかった。

そうきょくせいしょうがい、がなんなのかもわからなかったからだ。

だからまずはうつ病について勉強していた。

そんな折バセドウ病が発覚して勉強は頓挫する。

病気を理由に彼女の病気について調べようともしていなかった。

だから彼女に怒られるのも当然だった。


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🤒双極性障害Ⅱ型

双極性障害とは気分の浮き沈みを繰り返す脳の病気。

・とても元気になって寝ることを忘れる躁状態

・気分が落ちてやる気がなくなる鬱状態

この二つの状態を相互に繰り返す。

気分障害に分類されていて、統合失調症と並ぶ病気らしい。

気分障害と呼ばれることから性格の問題と思われていたが、研究により脳に問題があることがわかった。

脳には神経細胞(ニューロン)が数百億~数千臆個存在し、神経細胞間をドーパミンやセロトニンやノルアドレナリンなどのモノアミン(総称)が流れている。

神経細胞間のつなぎ目にシナプスと呼ばれる結合部分があるが、このシナプスでモノアミンが取り込まれてしまい次の神経細胞に流れにくくなることが双極性障害の原因ではないかと言われている。

これをモノアミン仮説と呼ぶ。


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📛名称の変更

モノアミン仮説が有力との研究から双極性障害は障害ではなく、病気という位置づけがされるようになり、今では双極症と呼ばれるようになった。


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😱原因

うつ病にはいくつか種類があるが、それらに当てはまらないものが双極性障害と診断される。

そして不安障害、摂食障害、睡眠障害、パニック障害、PTSDなど複数の障害も併発しやすい。

つまり何が原因で双極性障害になるのかは不明だが、ストレスが要因であるのは確かだ。

彼女は上記のすべてを併発している。


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💊治療法

その1 薬物治療

日本の場合だと基本的に投薬での治療になる。

躁状態と鬱状態の2つの症状があるため、抗精神病薬抗うつ薬を飲む必要がある。

抗精神病薬の一つとしてクエチアピンが挙げられる。

もともと統合失調症の治療薬として使われていたが双極症にも効果があることが判明している。

クエチアピンでは保険適応外ではあったが保険が適応できるよう双極症のための薬としてビプレッソ徐放薬が作られた。

名前が異なるだけで成分に違いはない。

ビプレッソは躁状態を鎮める効果がある。


次に抗うつ薬の一つとしてセロトニン、ノルアドレナリンの再取り込み阻害薬であるSNRIが挙げられる。

一般的に幸せホルモンと呼ばれるセロトニンやアドレナリンの原型であるノルアドレナリンの流れを良くする効果がある。

イフェクサーはSNRIの一つである。

加えて彼女は全般性不安障害の頓服薬としてソラナックスも内服している。


※注意点

これらの薬は眠気を引き起こす。

睡眠障害があれば睡眠薬を処方されるが、上記の薬は睡眠導入剤としての役割も果たす。

つまり、薬を飲んだあとは安静にする必要がある。

彼女は22時~23時に就寝し、6時半に起床するがこの時点ではまだ薬の効果は残っているのではないかと話している。

出勤のときは気を付けてほしい。

現に彼女は2回、車で事故を起こしている。


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その2 心理・社会的治療

脳の病気とは言えストレスの捉え方や考え方に起因している部分は大きい。

そこで、病気を受け入れ理解を深めることを始め、ストレス対処法や認知行動療法や対人関係療法を学び、再発防止や症状の緩和を図ろうという治療法である。

海外では認知行動療法が第一治療法として実施されている。

考えの偏りをなくそうという試みである。


彼女の場合、

職場でのストレス→適応障害→職場でのプレッシャー→うつ病→様々な障害を併発→双極症

というサイクルをたどっている。

もともとマイナス思考なところがあったというが、人の顔色を伺って相手が何を考えているのか読み取りながら仕事をしていたらしい。

自分ではなく、相手のほうが優先順位が高かった。

加えて、こうするべき、自分はこうあるべき、完璧主義、正誤での考えを持っていてこうすべきであると考えたらそれが絶対になる。


幼少期から親にそう教え込まれてきたのだ。


例えば、

挨拶をしたけど相手から無視された
「自分は嫌われている」と思い込んでしまうとストレスを感じてしまう。
これを「聞こえなかったのかな?」と考えることでストレスを緩和する。

簡単に言えばこれが認知行動療法である。

100%を出し切ることはすごいことだが、ストレスとプレッシャーで潰れてしまっては意味がない。

どうせ幸せになれない
どうせうまく行かない
幸せになってはいけない

この考えではセロトニン不足になるのも納得がいく。


これは僕にも言えることだが、今の状況に満足せず妥協せず、常に自分を変化させようとする姿勢は大事だと思う。

人生100年時代と呼ばれるくらいだ。

まだまだこれから。


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ずいぶん時間をかけてしまいましたが、彼女の病気のことがわかってきました。

それでも僕の気持ちは変わりませんでした。

次回は彼女が行方不明になったときの話です。