バセドウ病

双極性障害Ⅱ型の彼女とバセドウ病の僕Vol.4 ~バセドウ病の発覚

Vol3からの続きになります。まだ読んでいない方はVol3をご覧になってからお進みください。

今回は僕、おこのお話です。

風邪?それとも...

かくして付き合うことになった僕らだったが、そんな僕らに運命は試練を与えた。

翌日、僕は38.5℃の熱を出した。
昨日雨に濡れたし仕方ない。仕事から帰った僕は葛根湯とパブロンを飲んで早々に寝ることにした。しかし、翌日も熱は下がらなかった。
仕事もなんとか出られないかと頼まれたのでロキソンを飲んで一時的に熱を下げて出勤した。

5日間熱が下がらない状態が続いて、そのことを上司に伝えたところインフルエンザの可能性もあるんだから病院に行って来るようにと言われた。

そうして職場の近くの東洋医学の病院に行くことになった。

「インフルエンザの検査するのは普通2日間熱が続いた場合で5日熱が出てる状態で検査しても意味がない。それでも検査したいってのならそれは仕事を休む口実を作りたいからでしょ。」

と、先生の辛辣な言葉にも怒ることが出来ないくらい僕は疲労していた。

彼女と会う1週間ほど前に健康診断を受けていたが、その際に先生に甲状腺に問題があるかもしれないから健康診断の結果を持って内科に行くように、と言われていたことを思い出した。

結果はまだ届いていなかったが、健康診断でのことを話した。

「甲状腺の病気は女性がほとんどだからそんなことないと思うけど、希望であれば血液検査するよ」

今思い返せばイライラさせる先生だ。

漢方とロキソニンと胃薬を処方されたが、2日間飲んでもよくなる気配がなかったため、地元の総合病院にかかることにした。

診察の順番を待ているときに東洋医学の病院から連絡がきた。

血液検査の結果、数値に異常があるのですぐに来てください。」

すぐに病院に行き、血液検査の結果を見せてもらった。

FT3,FT4の項目の数値が異常だった。通常の人の5〜6倍、数値が高かった。
これは甲状腺の病気の場合に高くなる数値だ。

その病院では甲状腺の専門医がいないため、紹介状を書いてもらい他の大きな病院に行くことになったのだが、甲状腺の専門医がいる病院が少なく、いても週に1日程度しか出勤していないということだった。

地元の市民病院に甲状腺の専門医がいたので紹介状を書いてもらったが診察の予定は8日後だった。

38.5℃前後の熱と動悸、手の震え、頭痛、これを最低8日耐えるのか、、、

つらかった。


メンヘラナースの日々の日記

看護師の彼女

彼女と初めて会った日に「僕はバセドウ病かもしれない」と話していた。結果がわかり次第教えてほしいと言われていたので血液検査の結果の用紙を彼女に送った。

僕の症状や血液検査の数値からどんな病気の可能性があるのかを彼女は調べてくれた。バセドウ病、プランマー病、亜急性甲状腺炎、無痛性リンパ球性甲状腺炎など、考え得る病気を調べ、どんな種類の治療法があるのか、その治療法の副作用は何があるのか、完治するまでにどのくらいの期間が必要かなど、僕の代わりにたくさんの知識をつけてくれた。

とても優しくて優秀な彼女だ。

僕はこのとき甲状腺疾患が関係しているのかは不明だが、喉の痛みと席も出ていた。甲状腺疾患がある場合は市販の風邪薬を飲んではいけない。風邪薬の注意書きにそう書かれている。病院でもらった漢方も効かない。

そんな僕を思って彼女はたくさんの贈り物をくれた。

甲状腺疾患の人でも飲めるPL顆粒という飲み薬、龍角散のアメとタブレット、ベッドで寝たきりになっていたので旅行の本を4冊、寒くないようにトレーナーやニットを3着、クレベリンやアルコール消毒液、などなど。

彼女の家から僕の家まで車で30分ほどかかるのに、仕事帰りに車を走らせ買い物をしてうちまで届けてくれた。本当に心配してくれていたんだと思う。

贈り物の他に、彼女は自分の勤めている病院で甲状腺疾患を診られる先生がいることを僕に教えてくれて手を回してくれた。紹介状の病院より5日も早く診察を受けられるようにしてくれた。

紹介状を書いてくれた病院に連絡して宛名の変更を頼んだが聞き入れてもらえず、宛名は変えずそのままそっちの病院に行ってくださいと言われた。普通はダメだが、それも彼女が手を回してくれてなんとか診察を受けることができた。

診断された病名はバセドウ病だった。


バセドウ病

歌手の絢香やサッカー選手の本田圭佑がかかった病気で知っている人も少なくはないだろう。

バセドウ病とは自己免疫疾患の一種で、体内に入ったウイルスを攻撃するために存在する免疫や抗体が正常な細胞まで攻撃し、なんらかの症状がでることを自己免疫疾患と呼ぶ。

甲状腺を攻撃され甲状腺ホルモンが過剰分泌される病気をバセドウ病といい、その際に起こる症状を甲状腺機能亢進症と呼ぶ。

バセドウ病になった場合、第一に内服薬治療が推奨されている。メルカゾール(チアマゾール)という薬を最大1日6錠飲み、2週間に1回程度血液検査をし経過を見て行く。

副作用に全身に発疹が出ることがあり、あまり症状が強い場合は一旦内服を停止する。メルカゾール以外にもう1種類薬があり、どちらが効果的か人それぞれで異なる。

第2にアイソトープという放射線治療がある。放射性物質を含んだ薬を1回内服し、経過を見て行く。体液から放射線が出るためだいたい3ヶ月間は女性との接近を禁止するなどエチケットが必要となる。

第3に甲状腺の摘出手術が挙げられる。ただし甲状腺を摘出することにより甲状腺ホルモンの分泌が止まってしまうため甲状腺機能低下症になる可能性が高くなる。

ざっと書くとこんなところである。


現状

現在僕はメルカゾールを最大量内服している。これから血液検査を行っていき数値が正常に戻れば内服量を減らして行くことになる。

バセドウ病と診断されてから2ヶ月が経つころ、だんだんと良くなってきているのが自分でもわかる。数値もまだ異常値だが、前よりはましになっていた。


つづく


追伸

甲状腺の病気は自覚しづらい。最初はただの風邪かと思ったくらいだ。ただ、なってみるととてもしんどい病気であることは確かだ。声を大にして言いたい。バセドウ病患者はある程度薬が効いてくると元気になってくる。しかしそれは薬で無理矢理に作られた体であって、負荷はしっかりかかっている。

休むことや早退することに対して、サボっているなんてことを思ってはいけない。病気にならないとその人の気持ちがわからないのも確かだ。でも、思いやりの一つくらいあってもいいんじゃないかな。

周りに病気の人がいるなら、優しく手を貸してあげてほしい。