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『屋根の上のヴァイオリン弾き』の解説

屋根の上のヴァイオリン弾きはみなさん知っていますか?
ぼくは先日初めて観劇しました。

というのも、屋根の上のヴァイオリン弾きに出演している神田恭兵さんは友人で、
彼にチケットを取ってもらい見にいくことになりました。

何度か神田恭兵さんの出演している舞台は見にいったことがあります。
昨年ミス・サイゴンに出演されるとのことだったので見にいく予定でしたが
それはコロナにより中止になってしまったので今回は非常に楽しみでした。

屋根の上のヴァイオリン弾きは19世紀末のユダヤ人の家族の話です。
ぼくはヴァイオリン弾きという題名なので、てっきり音楽家の話なのかと思っていました。

ですが、音楽家の話は一切出ず、ただただユダヤ人家庭の話なのです。
貧しいながらも5人の娘と妻と家族団欒の幸せな日々を過ごす
規律正しいユダヤ教徒の家族がえがかれています。

最後にそのユダヤの家族は家を失います。
なぜならユダヤ人は迫害されていたからです。
ですが、またニューヨークに向かい人生をやり直そうとするところで話が終わります。

シャガールのヴァイオリン弾きの絵はご存知でしょうか?

昔ローマ皇帝ネロによるユダヤ人の大虐殺があった時、
逃げまどう群衆の中で、ひとり屋根の上でヴァイオリンを弾く男がいたという故事があります。

ユダヤ人の虐殺はローマのコロッセオでライオンと戦わせたり、
そしてローマの人々は客席からその様子を見れるように見せ物にしていたのです。
その様子はベン・ハー(1959)という映画によく描かれているのでとてもおすすめです。

そんな中、その故事が生まれました。
ヴァイオリンは神を讃美するための楽器としてユダヤ人の生活と深く根付いているのです。
屋根の上のような危ない状態、
つまり迫害されいつ殺されるかもわからない状態にあっても揺るぎない信仰心、
不屈の精神をシャガールは描いたのです。

それが屋根の上のヴァイオリン弾きでは描かれています。
舞台の中で何度も安息日の様子が描かれていました。
安息日とは週に一度仕事や自分の娯楽を休み、
神を礼拝するという儀式です。

ぼくはこの安息日についてあまり考えたことがなかったのですが、
安息日を守るというのは「失うことを体験させている」のではないか?
と考えました。

その失うことを体験しているので、
ユダヤ人は歴史上何度も迫害され生きにくかったと思いますが、
力強く生きてきたのではないか?と感じました。

みなさんも屋根の上のヴァイオリン弾き
ぜひ一度見にいってみてください。
とてもいい作品でした。

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