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往訪・鎌倉 長谷寺

産休に入ってから早2週間近く。
仕事に行かない平日を過ごして今日で9日目になる訳だが、不思議なことにあっという間に時間が過ぎていく日々が続いている。

もっと自分の時間ができるものだと思っていたが、やりたいことを消化するための予定を一日一つずつ入れていると、何ともはや光陰矢の如しである。

と思ったが、先週土曜日実施のちょっとした試験に申し込んでいた関係で、先週いっぱいはその試験勉強に費やしていたことを思い出した。
この試験については後日noteを書きたいなと思っているのだが、いかんせん受かる望みが限りなく低いため(お恥ずかしい)、一旦は割愛しようと思う。

そんなこんなで、自由に時間を使えるようになったのは実質今週からだった。
とは言え、身体は既に明日から臨月を迎える身。
えっちらおっちら歩くのがやっとの状態ではあるものの、産前最後に季節の写真を撮りに行きたい。
そう思い至り、今回は鎌倉の長谷寺さんにお邪魔をすることにした。

長谷寺は正式名称を「海光山慈照院長谷寺」と言い、鎌倉でも有数の紫陽花で有名な寺院である。
四季を通じて花が絶えることのない「鎌倉の西方極楽浄土」と呼ばれている、と公式HPに記載のある通り、敷地では多くの花が絶え間なく咲いているとのこと。
特に紫陽花は40種類・2500株ほどが植えられており、鎌倉でも有数の景勝地と謳われているそうだ。

そんな長谷寺がご本尊とするのが「十一面観世音菩薩」。
去年(2021年)はその造立1300年にあたり、特別な年として様々な催し物などが行われているとのこと。
そんな背景も手伝って、その姿をカメラに収めるべくぽてぽてと足を延ばしてきた。

江ノ電・長谷駅から歩くこと約5分。
まず出迎えてくれたのは、山門の巨大な金色提灯だった。
これまでは赤色だったとのことだが、本尊造立1300年を機に本尊と同じ金色にしたとのこと。
成程、提灯にはしっかりと「千三百年」の文字が刻まれている。

敷地はこのすぐ向こうではあるのだが、目指す「あじさい路」は境内の一番奥。
土日は某遊園地さながらに混むと言うが、訪れたのは平日のお昼12時半。
流石にそこまでは……と高を括って行ったのだが、入り口には「120分待ち」の文字が踊っており、流石に一瞬固まってしまった。 

幸い番号札さえ取れば並んでいる必要はないとのことだったため、今回は境内の散策や昼食を食べに出て時間を潰すことにした。

梅雨の晴れ間にふさわしい、強烈な日差しの降り注ぐ正午。
境内には「あじさい路」以外の場所にも沢山の花が植えられており、陽の光を浴びた花たちが美しく咲き誇っていた。
とは言え、紫陽花と言えばやはり梅雨時期の花。
少しだけ日差しが辛そうに見えたのは、私の気のせいだけではないだろう。

階段を上がった先にある観音堂では、造立1300年を迎えたご本尊を拝観。
優に3メートルはありそうな金色の「十一面観世音菩薩」は撮影NGとのことで写真には収められなかったが、その神々しさは圧倒されるものがあった。普段それほど信心深くはない自分が、比喩ではなくしばらく言葉を失ったほどである。
この観音様を拝めただけでも、今回この長谷寺に来た意味はあったと断言できる。

境内にはその他「良縁地蔵」や「和み地蔵」と呼ばれるお地蔵様もおり、人々の目を楽しませていた。
余談だが、このお地蔵様自体は宮城県の石神彫刻工房というところで手掛けられた比較的新しいものとのことである。

一通り境内を回り、腹ごなしに近辺に繰り出した。

グルメサイトを頼りにふらふらと昼食処を探してみるも、平日にも関わらずお店はどこも長蛇の列。
あてもなく歩き、写真のような路地裏を潜り抜けた末、やっとの思いで飲み物とスコーンにありついた。
昼食というにはやや心もとないが、夏の日差しにすり減った体力には本当に有り難い補給となった。

(因みに今回お邪魔したのは、古民家を改装したpaso by 27 COFFEE ROASTERS さん。
珈琲にかなりこだわりのあるお店だそうだが、残念なことに珈琲が飲めない私は泣く泣くレモンスカッシュを注文した。勿論、こちらも美味しかった)

さて、スマホで入場番号を確認すると(何とも便利)、ようやく自分の順番が近づいてきたらしい。
下ってきた道を引き返し、再び山門にたどり着いた時にはなんと「150分待ち」「本日のあじさい鑑賞の入場券は終了しました」の文字が躍っていた。
近年の紫陽花人気、恐るべしである。

拝観チケットとあじさい鑑賞の入場券を片手に、ようやく目的のあじさい路へ。
余談だが、この「あじさい路」は辿り着くまでも着いた後もかなりの階段を上る必要があり、産前の体に少し堪えたのは家族に内緒である。

いよいよあじさい路を登っていくと、斜面に色とりどりの紫陽花が咲き誇っていた。
境内には鉢植えのものが多かったが、こちらは正真正銘地植えのもののようだ。

青、紫、桃、白。
一重咲き、八重咲き、額咲き、手まり咲き。
40種植っているだけのことはあり、見目麗しい花々が所狭しと咲く様子は圧巻の一言だった。
訪れた月曜日(6/13)の段階ではまだ7分咲きということだったから、ここから更に花開くのかと思うと心が躍るというものである。

鎌倉と言えば、海水浴でも有名な「由比ヶ浜海水浴場」を有する地。
長谷寺自体が比較的高地にあるということもあり、紫陽花の間から覗く海岸線の景色はここならではとも言えるだろう。

私の入場時間には薄曇りになってしまったのが残念だが、それでも緑と青のコントラストを十分楽しむことができた。

道を下っていくと、路の最後には足跡を模した鉢に紫陽花が浮かべられていた。
調べたところこれは「仏足石」と呼ばれるもので、お釈迦様の足跡を刻んで信仰の対象にしたものとのこと。
起源は紀元前4世紀ごろまで遡り、像を造る習慣のなかった古代インドにおいて、お釈迦様をこうして表したそうだ。

残念ながらこちらの仏足石の由来ついては調べがつかなかったので、次回参拝の機会があればお寺の方に由来を聞いてみたいと思う。

観音堂には、普段は法要等の際にしか掛けられないという五色幕が1300年を記念して設らえられていた。
お釈迦様の教えを象徴する幕ということだが、こちらも大変立派なもので境内に彩りを添えていた。

色々と後から調べたことも書いてみたが、訪れたその時には殆ど知識がなかったことが悔やまれる。
先達はあらまほしき事なり、とはまさしくよく言ったものだ。
次回こそは、もう少し勉強の時間を取ってから訪れてみたいものである。

とは言え、紫陽花のみならずご本尊造立1300年を記念して様々な「特別」が味わえる今年。
鎌倉を訪れる方は、是非訪問地として検討して見てほしい場所である。

さて、次に写真を撮りに行けるのはいつになるだろうか。
一人目の子育ての時はおおよそ2年はかかったから、もしかしたらそのくらい、あるいはもう少し長い期間撮りに行けないかもしれない。

それでも、そのことを悲観的に考えず、まずは産まれてくるお腹の子のことを楽しみに待ちたいと思う。
写真を撮りたいという心だけ常に持っていれば、きっと日常にだっていくらでもチャンスは転がっているだろうから。

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