見出し画像

中学受験をやめた息子

うちの息子は地元の公立中学に通う1年生です。

小3の終わり頃、担任の先生との保護者面談で「息子さんは中学受験しないんですか?」と聞かれた事がありました。

某社のこどもちゃれんじ〜小学講座で、読み書き計算をしまじろうの傍で楽しくやっていた彼は、小1からスムーズに学校の勉強をこなしていた事もあり、順位こそ知らないものの、すごいねーがんばったねーという点数を常に取っていました。なので先生も少し気にかけてくれていたのでしょう。

でもまだ小3で、そもそも受験なんて親子ともに全く頭になく、突然そんな事を言われて「えっ⁉︎」と、とてもびっくりした記憶があります。

そのまま特に何もないまま1年くらい経った小4の冬、地元の中高一貫校の模試の実施を知らせる某塾の広告が、たまたま目に入りました。塾に通う気も受験する気も無かったのですが、力試しにどうか、興味があるかと息子に尋ねると、受けると言うので模試を受験。

いざ結果が届き、得点や順位、偏差値の数字を見ても、夫も私も彼のレベルがどんなもんなのかはっきりとは分からず、うーん、まぁ初めてにしてはいい方なんじゃない?という感じでした。

数週間経ち、模試を主催した塾から【君の模試の成績が優秀で入塾ラインを越えてたから、我が塾にテスト免除で入れるよ】という、ちょい上から目線のお手紙が届きました。そこで初めて、「あ、そうなんだ、良い方だったんだ」となり(乗せられた感はあった)、息子は意識し始め、受験したい、受験する、という流れになりました。

息子の級友のお姉ちゃんが中学受験合格経験者だったので、色々とアドバイスをもらい、彼女が受験期に通った塾を紹介してもらいました。(模試の主催塾は家から遠く、本人が嫌がったので無し)

通い始めたのが小4の1月。入ると小4の残りの範囲は速攻で終了、小5・小6の範囲も5年生の1年間で終わらせ、6年生になってからはいよいよ受験勉強が始まりました。

彼が目指していた公立中高一貫校の入試は、適性検査と作文と面接。筆記は教科ごとに分かれていない特殊な試験なので、かなり対策が必要でした。

小6までの、教科書に則った勉強はあまり躓かずにスイスイさくさく進めてきた息子でしたが、試験対策では思考力や推察力、応用力、文章力などありとあらゆる力を必要とされ、解いた事のない種類の不慣れな問題に戸惑う彼は、なかなか正解を出せず、赤ペンで先生に直される事も増えて、勉強が楽しくなくなっていったようでした。天狗の鼻を折られた感じでしょうか。

親としては、そんなの最初から出来なくて当たり前、必ず出来るようになるからと見守っていましたが、本人的には解けない問題がある事が悔しくて辛かったようです。

塾でそんな感じなのに、家でも私が「遊んでばっかりいないで塾の課題やろう」と何度も声を掛けていたので、多分それもしんどかったんでしょう。だんだんと嫌になっていったようでした。

「受験イヤだったらやめてもいいよ?無理して受けなくていいんだよ?」と言っても、彼は断固として「やめない!」と言っていました。学校のクラスメイトみんなが彼が中学受験する事を知っていて、今更引けないと。(同じ塾の子がいて、息子だけ学習内容が違うので自然とバレていた)

じゃあ頑張ろうよ、と励ましていたのですが、やめないやめないいう割には勉強に集中する事も出来ず、ゲームの時間の方が圧倒的に長かったので、私は彼のゲーム時間をなんとかしたくて塾の先生に早い段階で相談していました。

そして先生から彼に「ゲームの時間は無くして、勉強は朝のこの時間と、学校から帰ってからのこの時間と、あと食事の前と...」といった感じで1日のタイムスケジュールの見本を渡され、さあ本気を出すのか、と思っていたら

ゲームの時間を減らす位なら、受験は やめる。

そう言って彼の受験は、小6の6月で終わりました。勉強がしんどくなっていった彼を見ていた私たち夫婦は、いいんじゃない?受けるのも通うのも君だし、と受け入れました。

クラスメイトには、受験をやめる事はじわじわなんとなく伝わっていったようで、誰からも何も言われず、結局なんの問題もありませんでした。

彼の志望動機は「地元で一番賢い中学だから」最初はただそれだけでした。そこに通えたらカッコいいと彼は思っていました。でも勉強を続けていって、その学校がどんな学校なのかを良く知っても尚、それ以外の志望動機は出てきませんでした。ゲームを我慢して勉強時間を増やしてまで入りたい訳ではなかった。そして精神的にまだ幼かったのだと思います。

受けても受からなかっただろうな、というのが、私、夫、塾の先生、みんなが一致した思いでした。入ったら何をしたいのか、なぜそこでなければならないのか、その学校にバス電車で片道1時間掛けてまで通いたいと思う魅力はなんなのか、それらが全く不明瞭でした。だからやめて良かったと思います。

私からの声掛けや彼の時間の使い方について、「今思えばもっとこんな言い方をすれば良かった」とか「ゲームは完全にやめさせようとしなくても良かった」とか、色々後になって(私が受験勉強を完走させたかったというのもあり)、思う事はありました。

でも、受験は本人のやる気と主体性が大事。中学受験しないと決めたのだから、そこは私ももうウジウジ振り返らず、吹っ切る事にしました。

そして塾では「じゃあ高校受験に向けて頑張ろう。」と商魂逞しい先生に言われ、本人は切り替えたようです。本当は塾をやめてもいいと私は思っていましたが、本人が続けたいと望んだので、中1の今も通っています。

ただ、途中でやめたとは言え、中学受験の勉強は決して無駄では無かったと強く感じる事があります。それは、学習習慣が定着した事です。

学校の宿題、塾の宿題、そして某社の中学講座、それらを親の見てない間にいつのまにかやっていて、「やった?」からの「まだやってない」が、中学入学後は「やったよ」になりました。

中学受験は本番当日の点数勝負ですが、高校受験は内申書もあるので本番当日+中学3年間の成績も大事です。彼が中学でどの位頑張るかは分かりませんが、自分の為に、今度は本当に「ここで学びたい、ここで〇〇したい」って思える高校を見つけて、受験して、入れたらいいなと、見守りながら祈るのみです。

画像1

がんばれー。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?