レトロフューチャーをこの手に掴め
先日アジカンのライブに行ってきた。ちなみにアジカンをよく聴くようになったのはつい数年前からである。『ASIAN KUNG-FU GENERATION Tour 2018「BONES & YAMS」』というツアータイトルで、いわば裏ベストのツアーのためセットリストはニッチな曲が多く、知っている曲(曲名が思い出せない)が半分もなかった。
これがかなり悔しい。アジカンは好きなのに知っている曲がない!おれが音楽が好きな理由としては、①アーティストが好き ②楽曲が好き ③アルバムの曲構成が好き ④CDジャケットが好き などいろいろあるが、アジカンは①のパターンだ。特に曲に注意を払わず普段の生活で自然と流し聴きするスタイルで曲を聴いているため、ライブとかで「あっこのイントロ知ってるぞなんて曲だっけえーと…」となりがちである(アジカンに限らず他のライブでもよくある)。
おれが学生の時はバンプやラッド、エルレの流行が全盛期だった時代で、そこには間違いなくアジカンも存在していたはずなのに一切触れることすらなくここまで来てしまった。今は偶然アジカンを知りよく聴くようになったが、音楽に限らず世代的な流行に触れなかったものは他にもあると思う。そうしたものはおれの中では一種のレトロフューチャーとなっている。つまりリアルタイムでYMOをテレビで見たり、ネタバレを一切食らわずにクロノトリガーのエンディングをコンプしたり、スターウォーズ旧三部作を劇場で観たりとかそういうレジェンダリーな経験と同等だ。リアルタイム経験と後追いで経験するのとでは明らかに体感の圧力が違う。
あの年代に生きた人はどう考えても今のおれより充実したエンターテイメントライフを送っており、それが死ぬほど悔しい。おれが物心ついたときはTKサウンドがテレビから流れ続け、ゲームではすでに「竜退治はもう飽きた」だったし、愉快なクルマでタイムスリップするのが当たり前でシュワちゃんめいたターミネーターがすでに味方になっていた。それをまるで自分のことのように自慢してくるので始末が悪い。
ゆえに今のおれはそうした先人を反面教師に、ラヴォスがごとく過去のエンターテイメントをむさぼり自己進化するため、来たるべき旅立ちの日に向けてせっせと音楽を聴き、映画館へ足を運び、ゲームをプレイするのだ。
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