ゾディアック・サイオン

急逝した先王『獅子』に代わり、新たな王を定めるため、十二の氏族は候補者を擁立した！

「ウオー！次期王はこの『大猩々』様だ！ウオー！」「なんとまあ野蛮な。王の座は私『鶴』が相応しくてよ」「下等生物どもが。『龍』たる我の前にひれ伏せ」王の選定は思惑が交差し混迷を極める……はずだった。

「お、お待ちを！先王が遺言を遺しておりました！それによると！」古くから王に仕えた側近の『大山猫』が声を震わせた。「次期王座は『狼』に譲ると……！」

「『狼』だと～？まだオムツも取れていないワンコロじゃねえか～！？」「あらマ！先王は偉大だったけど次代を見る目はなかったのネ！」「オレ、落胆、でも遺言、従う」

かくして、東は広大な草原、西は肥沃な大地、北は霊峰、南は熱帯雨林を抱える一大国家の未来は幼名を卒したばかりの若輩に託された！

「我が名は『狼』！『獅子』の遺言に乗っ取り『十二（とおあまりふたつ）国』を治める新たな王なり！」

【続く】