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【座右の銘を教えてください】 「悠々として急げ」 (33歳・音楽家、デザイナー、ヨガ講師)

【本企画の趣旨について】
この企画は、私、あじしおが、見ず知らずの人にインタビューをし、その人の人生を根掘り葉掘り聞きながら、「座右の銘」を教えてもらうというものです。

■上京:音楽への道

※以下「あ」=あじしお(インタビュアー)

あ:はじめまして。本日はよろしくおねがいします!今は名古屋にお住まいということで?

はい。今は名古屋です。でも、高校を出てからはずっと東京にいたんです。

あ:へー。どのくらい住んでたんですか?

進学とともに上京して、5年位住んでたかな。そのあとはずっと名古屋です。

あ:では、その上京あたりから聞いていっていいですか?

どうぞ。笑

あ:進学で上京されたんですか?

そう、専門学校。今、ボイストレーナーをやってるんだけど、音楽の道を志して上京したの。もともとピアノを7歳のころからやって、音楽が得意だったんだよね。だから、自然と好きになっていって。それで、あるときから歌うことにのめり込んでいって、そのうちピアノが出来るから、弾きながら歌うってことをやり始めた。いわゆる弾き語りだよね。それをやりたかったの。

あ:それはプロになりたいってことですか?

そうそう、プロになりたい。音楽にかける気持ちもすごくエネルギーがあったし、もう絶対やりたいんだって思ってた。

あ:専門学校ではどんなことを?

専門は「シンガーソングライターコース」っていうのがあって。ボーカルの知識と、あと作曲とか作詞の音楽的な理論の両方学ぶって感じ。

あ:なるほど。

あとは、学校と並行して、とにかく何でもいいからオーディション受けまくってたの。そうしてたら、オスカープロモーションって分かる?上戸彩とか武井咲とかが所属している大手の女優の事務所に受かった。

あ:え、すごい。

それでモデル生活が始まったの。実際にファッションショーに出たりとか、スチールモデルっていって、百貨店のカタログのモデルをやったりとか。いろいろ過酷だったけど、自分が知らない世界を知るっていうのはすごい充実してた。

あ:で、オスカーに所属して活動しながら、専門は卒業するんですか?

うん、卒業はする。

あ:じゃあそこからオスカーでの活動が本格的に始まるんですか?

ううん、これが違うのよ。

■葛藤:「立ち行かなくなる」

あ:おお、どういうことでしょう。

モデルは2年で辞めちゃうの。

あ:え、なんで辞めちゃうんですか?

あのね、私はすぐ切り替えちゃうの。一つの所に留まれない子だったの。私は、自分が良いと思ったらまずやる。で、「違う」と思ったらすぐ辞めるの。それが元で、ここから私の闇の10年ぐらいが始まるの。

あ:ほう……。どういうことですか。

簡単に言うと物事を長く続けられないんだよね。でも、自分の中ではちゃんと葛藤がある。モデルを辞めたときも悩んではいた。周りの先生とかに相談するともったいないよって言われたんだけど、結果辞めるの。

そういう、何か始めては辞めるを繰り返してたんだけど、そんな自分にずっと嫌気が指してるの。私ってなんでこんなにも長続きしないんだろうって。

あ:なるほど。

自分に対して「本気」がないって思ってた。毎回悩んで決めてはいるんだけど、自分の決断を後悔するようになっていくの。「私なにやってるの!」って自分で自分を攻撃しだすの。

あ:「私は今なんでこんなことをしてるんだろう?」みたいなイメージですか?

うーん、今自分がやっていることが「違う」と思ったら、そこに正当な理屈が無くても違うとしか思えない。例えば、周りの誰かが「今辞めるのはもったいないよ」って言ってたとして、それは頭では分かってる。でも、自分の本心、ハートの部分が「続けるのは違う」って言ってる。なんでハートでそう思うかの理由は分からないの。自分の中で、頭で考えてることと、ハートで思ってることがぶつかるのよ。

あ:「頭ではもっとやりたい。継続的にやんなきゃダメだ」って思ってるんだけど、心では「違うとこ行きたい」と思っている感じですか?

そうそう。自分の中で格闘すんのよ、気持ちが。

あ:じゃあ、その時々で、やること10年間変えられてたって感じなんですか?

音楽はずっと好きだったから、形が変わっても、何かしら音楽はずっとやってた。バンドをやってる時期もあれば、一人で弾き語りに熱中する時もあればみたいにスタイルは微妙に変わりながらね。だから、忍耐力を持って一つのことを続ける人がすごく羨ましかった。

あ:バンドやったり、弾き語りをやったり、次のスタイルに移行するときには「駄目だ、もっと忍耐強くやんなきゃ!」と思いながら、移行していくイメージ?

あるいは、必然的に立ち行かなくなる。例えば一緒にやってるメンバーと全然意見が合わなくなってくるとか。他にも、どこかで働いたとしても、体調が悪くなってくるとか。今思うと、その理由は、自分の本心では、もう違うって思ってるのに無理してやろうとするから、立ち行かなくなると思うんだけど。

あ:すぐに居場所を変える自分にネガティブになっちゃってる?

そうそう!そんな感じ。苛立ちを感じているの。

あ:イメージが湧いてきました。

一般常識とかあるじゃん?例えば、今までの日本は「忍耐力=美徳」っていう傾向が強かったでしょ?我慢出来る人の方が良くて、我慢しない人はダメみたいな。私はどちらかというと世の中の風潮からしたらダメな人の方に分けられてるって感じていたし、周りの反応もきっとそうだった人が多かったと思う。だから、つらかったんだと思う。自分らしくしちゃいけないみたいな 。

あ:めっちゃ分かります。なんなら今でも「忍耐=美徳」って考え方ってありません?

あるある。私も、半分それに洗脳されてたから、周りが言ってることを「ああ、そうだよね」って頷いてるのね。そうすると本当の自分とぶつかるじゃん。

あ:悩んでる瞬間って、冷静に物事見れないですよね。特に若いと。

だからその2年でモデル辞めたの。

あ:それが20、21才くらい?

そうだね。 学校卒業して、オスカーも辞めちゃった。

あ:どうするんですか、その後は。

実家のある名古屋に帰るよ。

■変化:笑いヨガとの出会い

あ:名古屋に帰って就職する?

私、フリーターだったから、社会人経験がないじゃん?それで、どうしようかなって思ってると、ビジネスマナーを教えてくれるスクールがあったの。そこで学ばせてもらいながら就活のサポートもしてくれて、結局、デザイン会社に就職した。

あ:デザイン会社に就職して、どんな感じでした?

営業だったんだけど最初の半年間は最下位だった。逆に、新卒で入った子とかが成績を上げてるのを見て、ヘコむ。で、私はいつもの癖で「立ち行かなくなってる」って思うわけ。「逃げたい」、「違うことしたい」と思いはじめる。

あ:また、立ち行かなくなる……?

それが、ちょっと変化してきたの。心の中で「こんなに頑張って就活してきて、みんなにサポートしてもらって、逃げていいの?」って言ってくるの。でも、そのとき初めて「嫌だ」、「逃げたくない」って言ったの。それから、初めてつらい状況の中で「今自分に出来ることって何だろう」って考え出したんだよね。

あ:おお……!

環境を変えないで自分が出来ることをやるしかない。自分が出来ることと言ったら、大きい声で挨拶する、新規営業の飛び込みを1日10件回るとか。今はそれしか出来ることないって一生懸命頑張ったの。あと、そのときにちょうど笑いヨガっていうのに出会って。とりあえず笑っとこうって思ったの。

あ:……笑いヨガ?

そう、笑いヨガ。笑ってたらめっちゃ涙出てくるんだよ。うわぁうわぁってなって。自分攻撃をしてたからなのか、笑おうとすると反射的に涙が出てくるんですよね。本当の自分が出てくるから。で、続けてくにうちに自分のマインドが笑ってる方に行こうとする。それで笑いながら、「出来ることだけをやる」って集中してたら、1年後に営業トップになったの。

あ:すごい。その「笑いヨガ」に出会ってマインドが良くなったからなんですか?

それもあるし、笑いヨガに行ってそこで出会えた仲間が、どんなことに対しても笑ってたんですよね。私が何か相談すると、先生がニコって笑って「そういうときはただ笑ってればいいの!」って言われて。

全然難しくなくて、要は、考え過ぎてたんだよね。考え過ぎてて、自分の心を無視にしてた。本当の自分らしさとか、本当の自分の良いところとか、本当の願い。世の中に擦り付けられた教育とか情報とか、そういう情報が多過ぎて、いつのまにかそれが自分の考えだと思い込んでたの。

あ:なるほど。デザイン会社に入って最初は考え過ぎてた?

そうそう。最初は「成績あげなきゃ、仕事取らなきゃ」って自分を見失ってた。本当の自分の良さを出さずに「仕事を取らなきゃ。数字をあげなきゃ」に囚われすぎて、自分が笑うことを忘れてる。楽しむことを忘れてる。だけど、笑いヨガに出会ったことによってどんな自分も肯定してくれる。笑ってくれる人たちに出会ったことによって本当は私ってこういう風に笑って楽しく生きていたいって気づくんだよね。

あ:自分の良さも出てくから、仕事もうまいこと回り始める?

そう。自分の本当の能力ってこんなにポテンシャルがあったんだっていうのに後から気付くの。それが営業として一番になるっていう形になった。

あ:ところで笑いヨガっていうのは、今現在の活動にも繋がってる部分だと思うんですけど具体的にどういう活動なんですか?

笑いヨガは、冗談やユーモアに頼らないで笑うっていうことと、ヨガの呼吸法を合わせた新しいエクササイズ。

あ:初めて聞きました。結構浸透してるんですか?

世界ではかなり浸透してて、150カ国以上で親しまれてる。日本人はあまり受け入れる人は多くないかな。結構スキンシップが多かったり、握手したりとか、ハグしたりとか、お互いの目を見て笑ったりとかっていうのがあるから。日本人そういうの苦手でしょ?俺のこと好きなのかな?とか思うでしょ。

あ:確かに。冗談とかユーモアに頼らず笑うっていうのは、自然に笑うっていうことですか?

そう。「笑う」ことをトレーニングする感じ。楽しいから笑うんじゃなくて、笑うから楽しいっていう。だから、何か楽しいことがなかったらずっと仏頂面でいるんじゃなくて、自分から笑うことによって楽しいをつくる感じかな。

あ:笑うっていう行動を何もなくても出来るようにする感じ?

そう。「笑って生きたいと思ってはいるけど、生活でつらいことが多くて、笑える機会が無い、笑えなくなっちゃった。でも本当は楽しく生きたい。」そういう人たちが集まって、みんなで笑おうと。で、笑うと呼吸が自然と深くなる。そうすると、酸素が体に巡って体があったかくなってくる。気づいたら本当に楽しくなってるよね、みたいな。

あ:なるほど。

でね、私そこで出会った人と結婚したんです。

あ:え、すごい。

だから私、そういう目に見えない世界、エネルギーとか宇宙とかっていうの信じられずにはいられなくなっちゃった。そうとしか考えられないもん。

あ:そのあと仕事はどうなっていくんですか。

で、話すと長いんだけどいろいろあって、デザイン会社辞めるの。

あ:え、また波乱ですね……。

で、就活して何個か採用決まったうちの1つに行くの。でも、また出てくるわけ。「なんか違うかも」って。

■魂が喜ぶ生き方を選ぶ

あ:また出てきちゃいますか。

仕事内容も良い、お金も良い、安定するって頭では分かってても、心では「え、違くない?」みたいな。それこそ、初出社日の前夜まで悩んでるの。でも、「これでいい、これでいい」って言い聞かせたら、その時の彼氏で現夫が「本当に明日行くの?」って言ってくるわけ。いやいやあなた、私に働けって言ったじゃんと思って。でも夫は「別に正社員じゃなくても俺はいいと思ってるよ」って言い出すわけ、前日の夜にだよ。

あ:どうなるんですか?

そしたら夫が「でも、それが本心なの?」って言ってくるの。あなたは神様なの?みたいな。

あ:確かに。笑

で、私は泣いちゃって「違うことしようとしてる」って言うと「だよね。違うことしようとしてるよね」って言ってくるわけ。

あ:もう説き伏せられてる。

で、次の日これから勤めるはずの会社に「すいません、やっぱりいけません」って言ったの。そしたら「社会人として信じられない、ありえない」って言われて。でも、夫は「それでいいんだ」って肯定してくるわけ。で、そのときつくづく、懲りたわけ。自分の本心と違うことをしたらいけないって。

あ:なるほど。

自分が違うと思ったら、もう違うんだ、って。だから初出社日に何をやってるんだって思う反面、もうこれ以上自分の本心に違うことをしたらいけないなっていうのが本当に分かったの。違うと思ったら違うんだって。そう思ったのが、30歳くらいなんだよね。

あ:なるほど。noteやブログで「魂が喜ぶ生き方を選ぶ」っていうワードを書いてらっしゃいますよね?最初見た時にこれはどういう意味なんだろうって飲み込めなかったんです。でも、ここまでお話してやっと理解出来ました。

その「魂が喜ぶ生き方を選ぶ」っていうのにも繋がってくる。自分のハートから出てくる声を無視しなければ変なことにならないってこと。自分のハートから出てくる声を無視するから変なことになっちゃう。

何回も何回も同じことをしてきて。何回も何回も自分を攻撃して。自分が違うと思ってることを正しいと思い込んで。自分は弱い人間だとか、自分をすごく責めたけど違うんだよ。自分が違うと思うことをしてきたからそうなっちゃったんだよというのに、夫のおかげで気がついて、それで私はフリーランスを選んだわけ。

あ:それが今の活動ってことですもんね?

そう。違うと思ったら、自分が他のことをやればいいわけ。どこにも所属してないわけよ。だから、誰にも迷惑をかけない。

あ:今やられてる、肩書きがどれも素敵だなと思いました。ボイストレーナー、ヨガ、セラピスト、デザイナー。どれが強い、弱い、強弱あるわけじゃなくて、全部メインでやられてるってことですよね?

でもやっぱり一番は音楽。これが主軸。音楽をすごく愛してるから。

あ:なるほど。

本当に助けられて励まされたし。あと自分が声を出すことでも癒されるって言うのもあるし自分の天命っていうか使命だと思ってる。自分はこれだなって間違いなく言える音楽をやるって事が、一つの自分の柱になってる。どんなにいろいろやったとしても、音楽に対する気持ちだけは変わってない。

あ:「魂が喜ぶ生き方」を仕事の軸にするって言ってたじゃないですか。今の4つの仕事は魂が自由になれるような仕事ってことですよね?

そう。それは自分もだし相手も。提供する相手にもそうなってもらえるようなものを選んでる。

あ:それはフリーランスになるときにまず、魂が自由になる生き方をしようっていうのを軸において、そこから何にしようかなって選んだ感じですか?

いや、そんなことないな。なんか自分が選んでるものって、自分らしく生きるためのツールって気づいて、そこから言葉を選んで付けたって感じ。

あ:なるほど。

だからコピーライティングっていうのかな。こういうコンセプトにしたいなっていう。自分らしく生きることとか、自分のありのままでいいんだよっていう。自分の活動のコピーライトが「魂が喜ぶようにに生きる」っていう言葉なんだよね。極論「魂」なんだけど、言い換えれば「自分らしさ」でもいいと思う。「ハート」とか「こころ」とかでもいい。要は目に見えないものを大事にして欲しい。

目に見えてる、お金とか、肩書きとか、こうあるべきとか、社会常識とかじゃなくて目に見えない自分の内側にあるものを大事にしてほしいってことなんだよね。そうすればもっといろんなことがうまくいくし自分も楽しい。いきいき自分らしく夢中になって生きられるから。

■座右の銘をおしえてください。

あ:それでは最後になりますが、座右の銘をおしえてもらえますか。

「悠々として急げ」です。これをどう思いますか。

あ:お、意味を考えてくださいと言われたのは初めてのパターンです。
パッと思いついた印象でいうと、「悠々」っていうのは「ゆったり」っていう意味があると思うので、流れに身を任せながらも、ゴリゴリ頑張る気持ちも持てみたいな?

ちょっと違うかな。笑

あ:すいません、教えてください。

これは会社員時代にお客様だった社長に教えてもらったんだけどね。一見「悠々」と「急げ」ってまるで反対語のように聞こえるじゃん?私の考えでは、人生っていうのを、長い目で見たら、走らなくていいい、慌てなくていいい。でも、一日って尺度で捉えたら無駄にしないほうがいいっていう。だから人生っていうのを、「一生」っていうのと「一日」って捉えるのと、「二つ」の視点を持っていたほうがいいよってこと。

一生として捉えれば、今日うまくいかなかったり、思ったように過ごせなくっても悩まなくていいじゃんて。だってまだまだ人生長いからっていう意味で「悠々として」なの。でも、「一日」として見たときに「限り」があるでしょ?24時間っていう限られた短い時間で、出来るだけ無駄にしないで、時間を有効活用しようって意味で「急げ」ってこと。

あ:生きていく上で2つの時間の捉え方があると良いと。

そうそう。だから自分が慌ててる時、焦ってる時は悠々として考える。まだ次があるし長い目でも見る。悠々としてって意味は「だらだら」するっていうのとは違う。人生無駄にしないようにって思うとさ、「生き急ぐ」ときがあるじゃん?だから、そんな生き急がんでもいいよみたいな。「人生を無駄にしない。でも慌てなくてもいいよ」って感じかな。

あ:なるほど。

私はこれまで生きてきて、生き急ぐってことがあった。自分を責める癖があったんだよね。自分に厳しいっていうのかな。だから、頑張ってなきゃいけない、明るくなきゃいけないみたいに振る舞ったときもあったよ。でも、人間ってそんなに完璧じゃないじゃん?ゆっくりすることによって得られる至福感もあるし、なんにもしない一日によって得られる心の豊かさもあるじゃん。ゆっくりするのもいいし、急いでもいいけど、人生どっちも必要やで、みたいな。そんなイメージかな。両方、その時々でバランス良く物事をみましょうと。生きていく上でそれが自分らしいなって思うんだよね。


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