見出し画像

巧みなフットボール中継


昨日行われたFAカップ5回戦をテレビで観戦して改めて思ったこと、ライブ中継が見やすい。上手い。面白い。まるでドラマ。


カラバオカップでニューカッスルを破り、6シーズンぶりにタイトルを獲得したマンチェスターユナイテッドVSウェストハムの試合を観ました。オールド・トラッフォードは見る限り満員で、水曜のナイトゲームでのカップ戦ですら、この集客って普通じゃないなと思いながら…


今回は試合内容ではなく、少し違った角度、すなわち中継技術から感じたことを綴っていきたいと思います。



スコアレスで迎えた後半序盤にウェストハムが先制します。ライン側でタッチラインを割ったか、割っていないか際どいプレーが起点となってゴールに至りました。そこでラインを割ったとみなしたマンチェスターユナイテッドのプレーヤーはピタリと動きが止まり、その一瞬の隙をついてウェストハムが先制をしました。
ゴール直前のプレーが際どいシーンであったため、VARチェックが介入されましたが、ゴールは認められ試合は再開します。



さあこの一連の流れのテレビの画角はというと…

①勿論、ゴールセレブレーションをする選手。
②両チーム監督の表情がぬかれる。
③アウェーサポーターが大喜びしている姿。
④ハイライトと共にVARチェックが行われている様子。
⑤チェックを待つユナイテッドのDFを映し出す。
⑥ゴールが認められ、再びウェストハムの選手、サポーターが喜ぶ姿。
⑦ここで、ベンチに座っていたラッシュフォードが目の前にかけてあったユニホームを取り、準備を始める姿が抜かれる。


僕はこのシーンを見て、何か起こりそう、面白い展開になりそうと思ったわけです。というか、思わされました。あのウェストハムの選手たち、そしてサポーターの2度目の喜びを表現している中で、颯爽と目の前にかけてあったユニホームを取り、スタッフからの指示を受ける姿が、少しだけ映し出されたのです。
これで、逆転したらドラマだよって、心の中で期待してしまいました。

そして失点直後にラッシュフォードとリサンドロが投入され、ユナイテッドの反撃が始まります。オフサイドでゴールの取り消しがあったりと、白熱した展開が続き、とうとう均衡は破れます。


コーナーキックが相手のオウンゴールを誘発しユナイテッドが同点に追いつきます。
そこでも、沸くサポーターと両チームの監督がぬかれるのですが、このコントラストがとても面白い。
あくまでも僕の印象ですが、監督やサポーターを画角で捉えるシーンが多いような気がします。この試合の前半からそうでしたし、他の試合を見てもそう感じます。


また、このシーン、ウェストハムDFの頭に当たってゴールになるのですが、キーパーがその後ろにブラインドになる形でジャンプしていたので、DFが触らなければキャッチできたようなシーンでした。
というのもあり、おそらくですけど「キャッチできたよ!」的なことを言っているスローも映し出されるのです。笑


その後はユナイテッドのワンサイドゲーム状態でした。そこでまたおもしろい画角が入ります。
ウェストハムのちょっとした連携ミス(コミュニケーションミス)であたふたしてしまい、ユナイテッドがコーナーキックを得るシーンがありました。
これが、先ほどオウンゴールをしてしまったDFとキーパーの連携ミスでした。そこもスローで映し出し、うまくいっていないな、噛み合っていないな、というような表情、様子が、テレビ越しで見ることができました。

これを見てまた、逆転あるなって…思っちゃいました。


迎えた終盤90分、こぼれ球を拾ったガルナチョが一撃を沈めユナイテッドが逆転します。
セレブレーションするガルナチョと、コーナー付近に集まり喜びを分かち合う選手たち。
そして、サポーターと監督の熱狂。
画面越しにでも伝わってきました。ということは全て上手く映し出されていたわけです。

アディショナルタイムは4分。
ここで劇的ゴールを決めたガルナチョがベンチに下がるのですが、讃えるサポーター、監督がよくやったぞ!的なことを言ってハイタッチしている様子、さらにはこの日不調だったアントニーと抱擁する姿も…


その後もヒーローであるガルナチョがコンスタントに抜かれ、アディショナルタイムに、交代で入ったフレッジがダメ押しゴールを決めても、嬉しそうに、ほっとしているような顔のガルナチョが映し出されました。


あっという間に形成逆転されてしまったウェストハムのキャプテン、ライスの姿は唖然としています。
更に、ウェストハムサポーターの親子が抜かれるのですが、子供はいかにも落ち込んでいるような表情で、悲しそうな表情で、お父さんに抱っこされていました。


試合はこのまま終了。


どうでしょう。言葉だと上手く伝わり難いですが、一つ一つの切り抜きや映し方が上手い、且つユーモアがあるのです。1つのドラマ、映画のような1試合というか中継でした。この試合だけでなく、他の試合でもこういった、面白い要素が沢山見受けられます。
例えば、恒例ともいえる自チームが大量失点して勝ち目がないと判断して、試合が終わる前に帰っていくサポーターの姿を捉えたりだとか…
映像だけでなく、解説も単刀直入にビシバシはっきりと言ってくれるから面白いです。「今のはとても良いプレーでナイスボールなのに、なぜファーで待っていた選手は立ち止まったままだったのか理解できない。」とか、聞いてて笑ってしまうこともあります。笑




また、そもそもいろんな意味で見やすいです(画角も遠めでピッチ全体が見やすく、ここが見たいのにという場所が画角に入っているように思えます。)
内容もそうですし、テレビでフットボールの試合がごく普通に中継されていますから、気軽に見れるという点でも見やすさを感じます。



今回はこの1試合の中継を切り取って、noteを綴ってみました。整理していくと、この中継にイングランドフットボールの魅力が物凄く詰まっているように思えます。
全てが繋がっていて全てが相まって、かみ合って勝利に届くのだということも改めて理解できましたし、
フットボールの面白さは非常に深いなと。
フットボール文化の根付きを強く感じました。


話は逸れますが、何かを成し遂げた後の試合ってとても難しく、どこか隙が出てしまい負けてしまうことが多いイメージです。しかし、ユナイテッドはカラバオカップ優勝から3日後の試合で、勝ち切り次のステージへと駒を進めました。メンバーを入れ替えて挑んだこの試合、途中から入ってきた主力と共に難しい展開を打破してしまう。選手だけでなくスタジアム、スタッフ、サポーターの一体感がThe強いチームでした。
(これもテレビ越しで感じたということ)



今回のnote、言葉だと表現が難しい部分を表現しようとしているのを理解してほしいです。



とにかく、エモーショナルな部分が引き出される、感情が揺さぶられるフットボールの魅力を、ライブ中継という視点から、フットボールの核を、面白い部分を捉えられて、新しい学びだったのは間違いないです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?