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シェルリード線の不思議

オーディオを沼たらしめるものの一つ、といえば、いわゆるケーブルだったりするのかもしれません。僕個人としては、一定の品質を満たすもの・用途に即したスペックのもの(例えばMMカートリッジには負荷容量の小さなケーブルといったセオリーに従う)を使えばある程度のケーブルで十分ではないか?と思っている立場です。実際、これまでスピーカーケーブルやインターコネクトケーブルを交換したことがありますが、いまいち違いがわかりませんでした…シェルリード線を除いては。

シェルリード線は不思議な感じです。多分カートリッジでピックアップした信号をトーンアーム(の配線)に送り届ける最初の外部電線の役割だからなんでしょうかね。

レコードプレーヤー付属のヘッドシェルや別売りヘッドシェルについているリード線を、Audio-Technica AT6101(終売になってしまったのですね)やOyaide HSR-102に変えることで結構変わります。当然ですが音質の傾向がガラッと変わるという性質のものではなく、80しか送り出せなかった情報が100-120に増える、といった感じで、中高域の音数・細やかさが出てくるようになったりします。AT6108にすると、さらに情報量が増えて、特に低域が出てくるようになります。

とはいっても、リード線が他のインターコネクトケーブルと違うところは、通常はCDとアンプ、のように1対1の関係性の中にケーブルがあるところ、トーンアームとカートリッジ、そこにヘッドシェルという変数という三角関係(?)にあることで、ヘッドシェルを替えてしまうとそれにあったリード線も微妙に変わってしまうということのようです。(その点、昔あったT4P規格やヘッドシェル一体型のカートリッジ(OrtofonのコンコルドやTechnicsの205cmk3など)は構造上リード線が必要ないので、単にカートリッジの音がいいのか否かということだけに集中できるのは合理的でいいですね。。)

AT-15SaというカートリッジにAT-LH15/occというヘッドシェルの場合、このヘッドシェルに付属していたAT6101ではやたらめったら高域がキレる一方、低域が出てなさすぎて違和感(湿度25%みたいな)、HSR-102にすることで音の湿り気や帯域バランス、音数がちょうど良くなりました。その後ヘッドシェルをもうちょっと軽いのにしたいということで、AT-MS10というものに変えてHSR-102を聴くと、今度は音数が減り、低域が弱くなってしまった気が。それで昔使ってたカートリッジのAT6108にすると低域がしっかりと出てきて(ブーミーではなくズンと)、音数も持ち直してきて高域に艶が出てくる、といった具合です。

余談ですが、AT6108は実売価格にして4,000円もします。大手家電量販店のポイントが貯まったので買う、という買い方が賢明かもしれませんね。。数センチしかない線のためにお金はつぎ込めないので、今後はしっかりとしたヘッドシェル前提であればHSR-102までで留めておけるようにしたいところ。

追記: と言いつつ、その後使うと決めたカートリッジたちにはいずれもAT6108を装着することにしています。いずれもハイコンプライアンス系統のカートリッジ、それぞれに軽量シェルをつけていることもあり、バランスが良いと感じるためです。尚、AT6108は重量1.0gと、よくあるカートリッジやシェル付属のシェルリード線の重量0.6-0.7gに比べて若干重めなので、重量をシビアに管理させる場合は若干の注意を要します。


P.S. シェルリード線を付け替える際は、必ず先曲がりのラジオペンチ(かつ溝無しのもの)を使いましょう。溝有りだと被覆がちぎれます笑。加えて、非純正同士の組み合わせの場合は、千枚通し(あるいはそれに準じた工具)が必要になります。

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