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ローカルWebメディア運営やめました。PVから収益まで全部公開。ちちぶる運営の軌跡

こんにちは、埼玉県・秩父を拠点に、Web制作やメディア運営などを手がけるフリーランスの浅見と申します。

本日、2016年3月から続けてきた秩父のローカルWebメディア「ちちぶる」を更新休止とし、一旦ローカルWebメディア運営をやめることにしました。


このnoteは、僕がローカルメディア「ちちぶる」をどのように運営していたのか、どんなビジネスになったのか、可能性はあるのかなど、これからローカルメディアをやってみたい、と思っている人の参考になればということを願い、運営の軌跡をまとめたものです。

ローカルWebメディアは、始めるのがとても気軽で、今でも様々な人から「ローカルメディアをやって地域を盛り上げたいんです!」なんて声を聞くことがあります。

結論を先に述べると、ローカルメディアはめちゃくそ手間がかかるけど、どんなに小さい地域でもやり方次第ではビジネスとして継続できる、って話です。

それではいってみましょう!


ローカルWebメディア「ちちぶる」とは?

ちちぶるは、2016年3月にスタートさせた、埼玉県の秩父地域に特化したWebメディアです。

メディアをはじめたのは、都内から秩父へUターンすることを決めた時、じゃあ秩父で何をしようか…と考えた結果、秩父に気の利いたローカルメディアがなかったことがきっかけですね。

特にマネタイズも運営方法も決めず、コストもサーバー代とドメイン代くらいしかかからないので、「まあやってみるか」という軽い気持ちではじめました。

のちに、この軽い気持ちではじめた判断が、僕の人生を大きく変えるポイントになりましたね…


「世界観を作りファンを増やす」運営のコンセプトと設計

ちちぶるをスタートするときに、これだけは決めようと思ったことが1つあります。

それは「世界観を作りファンを生み出す」

ということ。

やたらと記事の数を増やして、PVで稼ぐという従来型のメディア収益モデルでは、いつか壁にぶち当たる気がしていたし、PV稼ぎのために有象無象の情報が入り混じっているようなメディアにしたくなかったというのがあります。

そう考えると2016年3月の時点で、PVのような面より深さを追求した方がいい、っていう肌感覚で感じたのはありましたね。

では世界観をどうやって作るか、なんとなく3つのポイントがあった気がします。

① 必然性を軸にしたコンテンツポリシー

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これはスタート当初に決めた、世界観担保のためのコンテンツポリシー。地域には、決まったフォーマットのコンテンツは長続きしないというのがとてもよくわかっていたので、このようなポリシーを作りました。

要は、ゆるキャラやポケモンGOのネタを書けば、PVは伸びるのですが、それってその土地だけが持っている魅力ですか?というとそうではない。

その地域にしかない価値、つまり「必然性」を見出し、編集し、発信する。それこそがローカルメディアがやるべきことと思っていました。


② ターゲットごとのベネフィット設計

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あとは、どんな記事を誰に向けて書いていくかも設計しました。これは運営していく上で、かなり変わっていきましたが、最初にこの方向性を決めたことで、後々の調整がとてもしやすかったです。

誰がどんな情報を欲しがっているのか。それを考えカテゴリの設計を行いました。


③ 過剰に地域愛を持たない

これは、ローカルメディアをやる人の中でも賛否が別れるかもしれませんが、僕は過剰な地域愛を持たないようにしていました。(持っていなかった)

人って何かを好きになりすぎちゃうと表現にフィルターがかかっちゃう傾向ってあるじゃないですか。「恋は盲目的」な。そこはとことん気をつけていて、“自分の好きな地域だから”というのは、ユーザー側には関係のない話なんですよね。

だから一定の距離を置いて、俯瞰して地域の魅力を見つけ、それを第三者目線で編集する。これが、常に誰から見ても読みやすく、わかりやすいフラットな記事にするポイントだと思っています。

以前受けたインタビューでその辺りを詳しく語ってます。よかったら合わせて読んでみてくださいね!


更新が途絶えても安定したPVが。ちちぶるのPVやSNSファン数まとめ

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ちちぶるの運用期間は2016年3月から2019年の9月まで。総PV数は110万PVですね。実質、記事を更新していたのは2018年2月までだったので、約2年間はまともに運用。それ以降は記事更新なしでしたが、月間2〜3万PVは検索流入があった感じです。


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こちらがSNSのフォロワー数。もっとも影響力があったのがFacebookページですね。3,600のファン数にも関わらず、数万リーチにもなることがあり、ローカルメディアとFacebookページの親和性を感じましたね。

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Facebook仕様で、リーチ数が消えてしまってますが、確か6-7万リーチになった投稿です。シェアも40件越え。こういう地元の人が喜ぶネタは、とにかく人気でしたね。

ただ、Facebookページのアルゴリズムが変わってから、極端にリーチが下がっているので、今ではここまで効果が出ないかもです。


ほぼ一人で全部やる。どんな運営をしていたかの話。

ちちぶるの運営はほぼ僕一人でした。途中お手伝いしますよ!という人が何人か現れましたが、みんな途中でいなくなっていったなあ…(遠い目)

基本的に僕ひとりでカメラを持ち、お店に伺って取材を行なっていました。

ちちぶるは写真がいいよね!ってよく褒めていただけてたのですが、ローカルメディアにおける写真の重要性(ローカルに限らないか)は極めて高いなって思いました。

まちの情報を発信する人たちって、観光協会とか自治体とかの方が多いと思うのですが、そういった皆さんが写真の技術を持ち合わせていることは少なく、自治体や観光サイトを見ても、いまいちな写真ばかりだったります。

そういう環境の中、写真をしっかり撮るだけでメディアの価値が圧倒的に高まる感じがしましたね。


ちなみに、ちちぶるのほとんどの取材で使っていたカメラはnikon D5000シリーズ。これにnikon 50mm f/1.4の単焦点とSIGMAの広角レンズを使い、撮影をしていました。

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お店の外観や内観、景色は広角レンズで撮影。店の全体像が見渡せるってことが結構大事でしたね。

つむぎアイキャッチ

料理写真は単焦点レンズで、開放気味に撮影しシズル感をだす。記事のアイキャッチには、うつくし明朝というフリーフォントを使ったキャッチコピーを入れていました。

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このうつくし明朝は、Webフォントでも使用することができ、記事の本文でも使用していました。読みにくいという声が一部あった一方で笑、このうつくし明朝を使った記事が「ちちぶるっぽい」という世界観創出にもなってましたね。そんなに意識はしてなかったのですがw

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ちなみにこのうつくし明朝は、広告漫画家の百万さんにこのロゴを作っていただいた時に知って、それからちちぶるのメインフォントとなりました。

ロゴ制作秘話も書いてもらってます!!

百万さん、いろいろありがとうございました…!ロゴだけじゃなくて、記事も書いてくれました!


ちちぶるの取材方法。アポあり?アポなし?

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結論、立ち上げ当初はアポなし、後半はアポあり、で運営していました。

当初アポなしだった理由は、
・何者かわからないメディアは信用されにくいだろう
・アポを取ると時間に縛られる
という2点にあります。

特に、後者の方が重要で、メディアを始めた時、僕はまだ東京でサラリーマンをしていました。週末に東京から秩父へ帰り、土日で4-5件ほど取材をし、平日の深夜に記事を書く、ということを行なっていたんですよね…

なので、取材に充てられる時間も限られていることから、アポなしでお店に行って、勝手に写真撮って勝手に記事にアップしてました。

ちなみにアポなしでアップして後から削除依頼があったことは1度もなかったですね。(でも掲載許可はちゃんと取ったほうがいいです。トラブルになるとまずいので)


後半はアポを取るようにしていたのは、
・メディアとしての知名度が増していったこと
・アポありの方が堂々と写真も撮れるしお店の人にしっかり話を聞ける
・お店の人も拡散に協力してくれる
などのメリットがあったからです。秩父に移住してからだったので、比較的時間の都合もつけやすくなったので、アポありに切り替えた感じですね。

ある程度知名度が出てくると、アポがあった方が安心してメディア運営を進められます。実績を積んだら、可能な限りアポありで取材するのがオススメです!


ローカルメディアで稼ぐのは不可能か?ちちぶるのマネタイズやビジネスの話

みなさんお待ちかね、お金の話です。ちちぶるはどうやって2年以上もメディア運営を続けてきたのか。

結論、メディア単体での収益(アドセンスやアフィリ)はゼロでした。これは、僕が早くからメディアだけで収益をあげることが厳しいというのを感じて、早々に別の手段に出たのが大きいですが。

サイトを見ていただくとわかると思いますが、アドセンスもアフィリも入っていません。(じゃらんとかだけテキストリンクでアフィ入ってますが、CVしたことないですw)

これは、最初にPVの見込みを考えたときに、商圏とPVは比例するっていうのがわかっていたので、PVで稼ぐのは厳しいだろうなという予想をしていました。秩父地域でも10万人を切るくらいの人口なので、そもそもローカル向けの情報発信としては母数が少なすぎるんじゃないかなと思ってます。

結果的に最大でも5万PV/月程度だったので、ここにアドセンスを入れたところで、スズメの涙…アフィリエイトも、旅行の予約くらいしかなく、単価の高い商材は難しい感じでした。

なので、無理やり少しでも収益をあげよう!という考えは一切捨てて、広告の入らない読みやすいWebメディアにする、というのを心がけていました。それが世界観を担保するということだったと思います。

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よく、ローカルメディアに関するトークイベントで出してた話ですが、ローカルメディアのマネタイズには「メディア収益型」と「他事業収益型」の2種類あって、商圏の小さい地域では後者の戦略が有効だと思っています。

メディア収益型は、アドセンスやアフィリエイト、純広告、PR記事など、メディアそのものを商材としてビジネスをするモデルです。

このモデルの場合、どうしてもメディアのPV数などに依存してしまうため、その土地に、そもそもビジネスが成り立つまでのPVを稼げる母数があるかどうががポイントになります。

秩父の場合、秩父地域全体で約10万人弱の人口のため、商圏的にもそれほど大きくなく、観光文脈に振って頑張っても20-30万PVがいいところかなあと予測していました。仮に1PV=0.1円で計算しても、2-3万円…これにバナー広告やPR記事を入れても、月間で10万円を稼げるかどうか、っていう感じですね。(この辺り、あまりチャレンジしてないので、全然そんなことないよ!稼いでるよ!ってメディアさんがいたら指摘してくださいw)

実際、ちちぶるのよりも後にスタートしたけれど、圧倒的コンテンツ力でサクッとちちぶるのPVを抜き去っていったメディア、Fun!Chichibuさんも月間PV30万程度のようです。

うーん、やっぱりメディア収益型でマネタイズをするのは厳しいものがありますね…!

ということもあり、早々に僕は「他事業収益型」に舵を切ったわけです。

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これはちちぶるを初めて10ヶ月目くらいの収益の内訳ですね、確か地域ブログの会とかで登壇した時に紹介した内容だと思います。

この時、ちちぶる自体は1万PV程度だったかと思いますが、ちちぶるをきっかけにつながったメディアへの寄稿やWeb制作案件が来るようになっていました。

ちちぶるをきっかけに、お仕事として記事を書かせていただいていた、SPOTさん、ぐるたびさんには感謝です。実はお仕事としてライティングをしたのは、SPOTさんがはじめてでした。ヨッピーさんにFacebookで絡んで、実際にお仕事をさせていただけたのは本当に嬉しかったです。

フリーランスになって、ちょうど2ヶ月目くらいだったので、このくらいの稼ぎができていたことがめちゃ嬉しかったのを今でも覚えています。


ローカルメディアにおける攻め方として、母数が少ない地域の場合、エンゲージメントという深さを追い求めるのが有効と考えています。

エンゲージメントを高めるには、メディアの世界観がとても重要。「ちちぶるっぽい」と言われる、良さを気に入ってくれて記事や写真撮影、Web制作など、あらゆる相談をいただくようになりました。

結果的にメディア運用で基盤を作って、それを足がかりに仕事を広げていくことができたって感じです。おかげさまで、今年はちちぶるの更新をしていなくても、僕自身の売り上げは2,000万円を超えました。


ちなみに、ローカルメディアでメディア収益型でも成り立つだろうなと勝手に思っている他のメディアさんを紹介すると以下のあたりがあります。(メディア収益だけでやってるかどうかはわかりません!成り立つだろうな〜という予想です)

ローカルWebメディアで有名なところでいうと「枚方つーしん」さん。人口40万人の商圏で360万PVを越す巨大メディアです。この規模までやってしまえば、メディア単体の収益でもビジネスが成り立つんじゃないかなーって勝手に思っています。

横浜の「はまこれ横浜」さんも、先日月間PVが300万を突破したそう。結構メディアを買収したいなんて話も多いみたいです。すげー!

あとは、豊洲のローカルメディア「とよすと」さん。豊洲に絞って情報発信をするという超ニッチメディアですが、こちらも月間PVが100万を超えているそう。すごいですよね。


なぜローカルメディアをやめるのか?

ではなぜちちぶるの運営をやめるのか。

それは
・更新する手間がとにかく大変だった
・メディア運営の熱が落ち着いた
・メディア以外の仕事が順調になった
という点が挙げられます。

もともと、Uターンして独立をするってタイミングで、その活動を支えるためのメディアになればいいなと思い始めたちちぶるですが、予想以上にたくさんのつながりや機会を生み出し、独立したての僕を大きく支えるメディアになりました。

その初速のおかげで今の僕があります。

今ではメディアという切り口だけでなく、Web制作やグラフィックデザインなど、クリエイティブの幅が広がり、記事を書くだけでない表現を、行なっています。

そういった意味で、ローカルメディアを続ける優先度が下がったことがありますね。なので、ここでいったん休止とすることにしました。


最後に

長々とここまでお読みいただき、本当にありがとうございました。

ちちぶるの運営は本当に楽しかったです。週末に4-5件取材して、平日の深夜にゴリゴリ記事を書いて…そんな生活、めっちゃ大変だったけど、それをやっていたおかげで、今の僕の生活があるといっても過言ではありません。

ローカルメディアは、メディア単体として収益をあげるのは本当に難しいです。でもそれに付随するビジネスに広げていくのであれば、どんなに小さい商圏でも持続的に運営することは可能です。

ニッチに深く攻めまくる。これがコツです。そうしてファンさえ作ってしまえば、様々なマネタイズ方法が広がっています。ECをやるのもいいし、地元の会社やお店のWeb制作やグラフィックをやるも良いし、ユーザーから直接課金で継続してもいいかも。

ファンを作れば、東北食べる通信さんのような定期購読のマネタイズもいけそうです。(多分これをやるのは相当大変だと思いますが…)


そんなわけで、僕はいったんローカルメディアをやめて、いまアツくなっている「川とサウナ」事業にがっつりコミットする予定です…!

横瀬町を拠点に、河原にテントサウナをたて、水風呂代わりに川に飛び込む!このアクティビティが絶賛バズり中なので、川とサウナに関するメディアをやっていこうと思っています。

未体験の方はぜひ!


というわけで、ちちぶるを読んでくれた全てのみなさん、支えてくれた仲間たち、本当にありがとうございました!!

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ありがとうございます!サウナ入りましょう!
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埼玉県秩父・横瀬町のフリーランス(Web制作ディレクター) https://azami-seisaku.com / サウナコミュニティ&イベント「#川とサウナ 」を主催 http://kawatosauna.love/ minopen横瀬オーナー

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コメント (5)
川とサウナ気になる!
ちちぶる、今知ったので見てみたかった
はじめまして。何という参考になる記事!ありがたいです。こういうの知りたかった、ありがとうございます。そして秩父に久々に行きたくなりました👶
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