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心理臨床学会自主シンポジウム 017**「精神分析的臨床の基盤となるもの」**2023年9 月 23 日(土・祝)19:15~21:15

司 会:岩倉拓(あざみ野心理オフィス)・日下紀子(ノートルダム清心女子大学・大学院)
話題提供者:池田政俊(帝京大学大学院、南青山心理相談室)・浅井真奈美(小泉心理相談室)
指定討論者:永田悠芽(上町カウンセリングオフィス)・川崎俊法(上本町心理臨床オフィス)
 

 精神分析はプライベートプラクティスに端を発しており、一対一の有料の設定で行われる表出―洞察的な個人心理療法を範型としてきた。しかし近年、心理臨床・精神分析の実践において、学校、乳児院、学生相談、産業、被災地、福祉、司法といった個人心理療法とは隔たった応用的な「現場」において、精神分析の視点を活かす臨床家も増えてきた。この背景には、心理職に向けられる期待が多様化したことがあげられ、多職種連携が求められるようになり、限られた時間や構造で対応せざる得ない現場も増えている。さらには、児童においても、成人においても、伝統的な精神分析的心理療法を行う際の心理的基盤となるコミュニケーションや情緒について考える力などが未発達なユーザーの増加などの変化もあげられる。そして、そもそも精神分析的な臨床とは何を指し、その実質はなんなのか、という基本的な問いがある。
 このような様々な現場の変化の中で、精神分析的な臨床の基盤となるものはなんだろうか?昨年のシンポジウムでは、精神分析的臨床の実践現場について検証し、①ユーザーの性質 ②治療構造 ③セラピストの精神分析的な質、の3つが精神分析的臨床を形作る要素であることが抽出された(鈴木,2022)これらは、ユーザーの選択やアセスメントの重要性、そして目標をどこに設定するのか?実際に治療構造をどのように立ち上げ、維持していくのか?さらには、セラピストはどのような訓練と実践を積むことで精神分析的な臨床感覚を身につけるのか?という具体的な問いと直結している。
 本年のシンポジウムでは、精神分析家、精神分析的精神療法家として長年実践を積み重ね、かつ現場の実践も営んでいるベテランとして、医師として池田、心理士として浅井が、さまざまな角度から精神分析的臨床の基盤となるものについて発表し、中堅の心理士から指定討論を行い、全体で議論を深めたい。

企画者: 平井正三(御池心理療法センター)・平野直己(北海道教育大学)・北村麻紀子(個人開業)・中村留貴子(千駄ヶ谷心理センター)・吉村聡(上智大学)・髙橋靖恵(京都大学)・増尾徳行(ひょうごこころの医療センター)・古賀靖彦(油山病院)・岩倉拓

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