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映画『メビウス』感想メモ

キム・ギドクの「悪い男」(感想未執筆)がすこぶる良かったから、
気を良くして「メビウス」に挑んだら、ちょっとたたらを踏んでしまった(笑)

うーん。一切のセリフを排した野心的な映画なんだけど、
実験してるなあ。アバンギャルドだなあ。とは思う。
あと途中でやっと気が付いた女優さんが○○だったこと。
そこはまあすごい。
でも、なんなんだこの寓話は!って笑っちゃう。
ちょっとチープさがすけちゃってるし。
ギリギリ間延びさせてないだけすごいか。

まったく生活感のないのある家庭。
(誰も働いてなさそう。資産家には見えないけど。
高等遊民かよ)
旦那が売店の女と浮気してる。
のんだくれの奥さんが怒って、旦那の男根を切り取ろうとする。
しかし、力で抵抗されて。
仕方なく?息子の男根を切り取って○○しちゃう(笑)。

母親は出ていき、息子は病院で治療をうけ生き延びる。
そこから父との暮らしがはじまり、父は浮気を悔いて、
男根なしになった息子のために尽くそうとする。

息子は男根なしで、同級生にいじめられるようになり
父親は自分のあそこを切り取って、
息子にあげられないかネットサーフィンする毎日。

そこからまあ、父親が浮気していた売店の女と
息子との恋とは呼べないような、複雑な関係が展開して……
まあ、メビウスっていうくらいなので、
いろいろあるんですが、そこからもし興味があれば
自分でご確認くださいまし(笑)

まあ、観ないで死んでも、どうということはないです。
神話とは呼べないレベル。
女優は体張ってましたけどね。
でも、正直これだったら、
「ザ・トライブ」を観た方が断然いいです!

トライブも、字幕も吹き替えも存在しない――
っていう、キャッチコピーの通り、
説明的な説明ががなく、映画内の手話のみで
進行していきます。

登場人物全員が聾唖者なので
こっちは観察力や想像力をフルにつかって
集中して、画面を見なきゃ無いし、
疲れるくらい見入ってしまう。

こんな手法があったのかと、新鮮な半面、
本当にぐっと見入ってしまうので
観終わると正直疲れます(笑)

ちなみに「トライブ」というのは、
「チンピラ」みたいな意味だそうで、
この映画では、聾唖者がトライブとして登場します。

ろうあ者って、みんなどこか真面目で
一生懸命生きてる人って偏見が僕にはあったのですが、
その偏見は見事に打ち砕かれました。

お国柄によってチンピラの度合いも違うのだろうけど、
この映画に登場する、ザ・トライブな聾唖者は
悪いこともたくさんするし、当然セックスもするし、
夢もあるし、健常者の人間のやれること
みんなやってる感じがします。

というより、健常者の人間より、
より人間くさく生きてる気がしました。

ある日やってきた、転校生がトライブたちの仲間に入り、
そのリーダーの彼女に恋をしたことから、
ショッキングな悲劇がおとずれてしまう……

ストーリーをネットで読み返して
ああ、あれはそういうことだったのか
とわかることもありますが(何せ説明がないですからね(笑))、
最初は前情報なしで見た方がいいかもしれないです。

ともあれ、ほとんどヨリの映像もないのに、
画面には緊張感、テンションがピーンと張られている感じで
不穏な長回しのカメラとかも効果的でじりじりすると思います。

ラストの、純粋さゆえの狂気に身もだえしてくだされ。
「転校生が一番○○だったじゃねえか!」
と叫んでくだされ(笑)

てか、これ、「メビウス」より
完全に「ザ・トライブ」の感想になっとるな(笑)
でも、メビウス見るくらいなら、トライブだし、
キム・ギドク観るなら「悪い男」だわ。
あんな愛のあり方、観たことない。
あとまだうちに、ギドク作品何作かたまってるんだが
ちょっと間置くかなあ。

さ、仕事もどろ。

水もしたたる真っ白い豆腐がひどく焦った様子で煙草屋の角を曲がっていくのが見えた。醤油か猫にでも追いかけられているのだろう。今日はいい日になりそうだ。 ありがとうございます。貴方のサポートでなけなしの脳が新たな世界を紡いでくれることでしょう。恩に着ます。より刺激的な日々を貴方に。