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うたがわきしみの宇宙Ⅱ

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140文字では収まりきらなかった、うたがわきしみの世界観。コラムやエッセーやうわごとじゃない。あくまで、なにかしら、きしみの宇宙を匂わす作品になっているものたち。主に詩。ギャグ系…
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2021年11月の記事一覧

あなたの賞味期限はいつですか?    

あなたは仮想的な仮想敵 実際は何一つできない こちらサイドに傷一つ負わせることも出来ない  例えるなら怖い夢のようなもの ただ仮初めにそこに留まり 立ち尽くすだけの残留夢 ならこの震えは一体なに? 侵入を許した? いえ…わかってる あなたは鏡 最初から私の敵は 〝わたし〟だった

『ハートリンピック』

心臓たちがグランドに集まっていた 緊張が高い者は文字通り 打ち震えるように鼓動が早いのがわかる 100M走に横一列並んだ心臓たち 大ぶりな心臓もいれば子リスのような心臓もいる ピストルの合図でスタートは切られ 各自おのれの鼓動で跳ねるように一直線に駆け抜けていく 彼らにはハードル競技さえお手の物だろう あるいはその鼓動筋をいかし棒高跳びに挑戦する者 全身の血液を一気にビュッ! と吐き飛ばし血液投げに奮闘する者もいる 4年に一度 心臓アスリートたちが命懸けで戦う 生の、あ

震える妖怪島 胎動する闇夜の神森 ざわめく千年魔樹たちが一斉に地を這う 艶かしい風に黒々とした卵の群れが目覚め 夥しい手足を突き出し始める やがて厳かな地鳴りとともに浮上する巨島 封印されし夜明けは漆黒を残し 世界の果てに沈んだ 列島に刻まれる逢魔が時 真なる虚無がここに現界した

もちろん僕らは 神様の暇潰しで生まれちゃったわけで 産まれ落ちた瞬間から 存在しないでいる自由を剥奪され 必ず死ぬゴールを約束され 見えないスゴロクで 見えないサイコロを振らされ 一寸先が光なわけも無く ひたすら運命に踊らされる日々を強要されるのだが にもかかわらず 今日も笑顔だ

銀色のバケツを穿って目と口を刻み ブリキのロボットよろしく「友達」が完成した 首を傾げる時の錆びた音が泣かせる 森の宇宙で独りきりだった散歩に 渡り廊下が出来た気分 話さなくていい 話さなくていいよ ここではただ 影たちがついてくる それだけでいい 帰り道を忘れるまで 傍にいて

射し込む光に 青く青く 生きていた 感情の線路も渡らず 深海らしく 佇んで 常夜灯にもなれない 露の先で 茫然と あるいは呆然と 厳かな一ミリさえ 描かぬように 圧し殺し なじんだ輪郭を手離せず ただそこに咲く つんざく闇の静けさに 落ちた影だけ 微かな誇りを 感じている

気が付くと墓氷都市の前に立っていた 凍てつく風の中 巨大な氷柱が延々と突き刺さった広大な墓街 あの日家路に着くと母が死んでいた きっと埋葬しようと思っていたのだ 父を事故で失ってから 母は人であることをやめ 毎日のように僕を散々… 憎しみも愛だったなんて 僕は知らなかった…

「今に見てろよ!」が足りない 年齢と実力線に従って どんどん目減りしていく もう褒め言葉しか届けてもらえない 喜びと寂しさ 起爆剤を担保できない日々なら 自分で自分を奮い立たせるしかない なのにそれもままならない 「若さ」というのは いつでもガムシャラになれることだったのか

鼻の頭だけちべたくて可愛い #冬の棲みか

義務教育では教わらない 恋愛の方程式

あんたが本当に天才っていうならさ 『天才しか勝たん』っていうこの世界 変えてみてよ A:26Pへ ほう… 天才自らおのれを無効果する構造世界か 久方ぶりに胸踊る提案じゃないか B:34Pへ 愚かな… 時代の進化を促してきたのは我々だ 貴様は人類の歩みをここで止めろというのか?

どうでもいいこと以外 どうでもいい