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かまくら権五郎

「しーばーらーくー」
という声と共に派手な格好と隈取をした人物が舞台に現れ、悪人を倒す。分かりやすい勧善懲悪を示している歌舞伎の演目が「暫」市川團十郎家に伝わる十八番。
私は東京五輪などというコ▢ナ茶番にはまったく興味なかったので、見てはいませんが、風の噂で市川海老蔵が開会式でこれを披露したとか。
無観客とはいえ、オリンピックが出来たのに何故、子供の運動会はやってはいけなかったのか?今でもまったく理解出来ません。
まあ、そんなことは兎も角、この演目の主役の名前は鎌倉権五郎景正。
平安時代後期の武士。
ちょっとしたきっかけから、出来上がった料理からこの人物を妄想した記録。


材料

焼き海苔 全景半分
大和芋  1本(約100グラム)
刺身用鮪 1柵(約150グラム)
生姜   1欠け
レモン汁 小匙1
醤油   大匙2
味醂   大匙1
柚子胡椒 小匙1

「暫」の主役が鎌倉権五郎とされているのはまったくの後付けで、実在の権五郎をモデルにした訳ではないとか。
実際の鎌倉権五郎は平安時代後期、鎌倉の西、今風に言うなら湘南辺りの開発領主。つまり自分達で切り開いた土地を守るために武装した武士団の長。
延久元年(1069)生まれと伝わります。桓武平氏の血を引いていますが、八幡太郎源義家に仕えました。


大和芋を摺り下ろす。山芋よりも水分少な目で粘度が高い。

16歳の時、永保三年(1083)から寛治元年(1087)まで続いた後三年の役に従軍。この時にそこそこ知られている逸話があります。
戦闘中に権五郎は右目を射られてしまいます。
地面に転がった権五郎。そのままにしておく訳にはいかないので、傍らに居た武士が権五郎の顔を踏んで、矢を抜いてやろうとしました。すると、
「何をするか」
怒鳴り声と共に権五郎は刀を抜いて、件の武士に斬りかかる。
折角、助けてやろうとしているのに?
「武士の顔を足蹴にするとは何事か」
顔を踏まれたことが気に食わないということ。
だからといって、顔の矢は抜かねばならないということで、
「これならいいだろう」
と言って、その武士は権五郎の顔に膝を当てて矢を抜いてやりました。
権五郎はすぐさま、射てきた敵を射返した。
武士の矜持を示した逸話。


柚子胡椒以外の調味料と摺り下ろした生姜を混ぜ合わせる。

これと似た逸話が戦国時代にもあります。
戦に出た有名な武将、頬に矢が突き刺さる。
傍に居た家臣に命令。
「顔を踏め」
命あっての物種なので、顔を踏んで矢を抜けということ。
誰かというと、山内一豊。
顔を踏まれて怒った権五郎とは随分、違います。
鎌倉権五郎が生きていた頃からおよそ500年、戦国時代ともなると武士の気質も変化したということでしょう。


短冊に切った鮪を調味液に5分漬ける。

大庭景親とか梶原景時といった、源頼朝の旗揚げに参加した関東武士達は権五郎の子孫と称しています。後々まで名前が語り継がれていたということ。
それが先述の「暫」に繋がったということでしょう。更に神として祀られています。
権五郎を祭神としているのが鎌倉の御霊神社。動画をどうぞ。↓


動画でも触れていますが、境内には権五郎が袂に入れていた石、手玉として遊んでいた石。それぞれ重量は60キロと105キロ。本当だったら、かなりの怪力。
この神社を訪れたのは2年前。早朝で神職が掃除をしていましたが、例によってマ〇クせずに通ろうとした私に、
「マス〇して下さい」だと
「誰もいないのに?」
「誰もいないのに!」
といった会話があったことを思い出す。

それにしても、3月から〇スクは個人の判断と言っているのにも関わらず、未だにマ〇ク着用、手の消毒、入店は二人までとかたわけたことを言っているケーキ屋発見。
客も唯々諾々と従って列作るな。邪魔だし目障り。
バイキン扱いされてまでケーキ食いたいか?


ヅケ鮪の上に摺り下ろした大和芋、千切った海苔を散らして、柚子胡椒を乗せる。
刺身にもワサビよりも柚子胡椒。柚子胡椒万能説?

出来上がった逸品を見て、妻が
「何、このかまくら?」
「それだ!」
他の名前を考えていたのですが、かまくらという表現がぴったりと嵌ったので、かまくら権五郎と命名。


ご飯に乗せて頂く。

レモンを混ぜた生姜醤油が沁み込んだ鮪に含まれるEPAやDHAは動脈硬化や心筋梗塞を防ぐ働き。血液中の中性脂肪を減らす働きもあり。
大和芋には食物繊維や消化酵素豊富。ビタミンB群も含まれて、胃腸に優し
い食品。
ワサビのツーンとした辛みよりも柚子胡椒の少し柔らかみある辛みの方が好みなので、こちらを使用。

鎌倉権五郎景正をご祭神とする御霊神社、毎年9月18日に例祭が行われるそうですが、この二年程は開催出来ていたのだろうか?
この例祭では「面掛行列」が行われます。
爺、鬼、異形、鼻長、天狗、翁、火吹男、福禄寿の面を付けた男達、その後ろにはおかめの面の妊婦、同じくおかめの面の産婆が練り歩くもの。
妊婦や産婆といってもこれらも男。
使われている面は1768年製。江戸時代の物。宝物館に保管されているので見ることが出来ます。

いつまでもマス〇を外せない日本人ども、いっそお面かぶったら?
お面もマ〇クには違いない。英語ならどちらもMaskだ。
そんなことを妄想しながら、かまくら権五郎をご馳走様でした。

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