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一円切手り焼き茄子

メールやSNSで現代では大抵の通信は用が足りてしまう。郵便を使う人はどんどん減少。
郵便切手を使う人も少なくなった。
一円切手の意匠になっている人物、誰だか知っていますか?
ということで郵便の父、前島密を妄想しながら旬の茄子を料理した記録。


材料

茄子    2本
唐辛子   1本
昆布    適量
黑摺り胡麻 好きなだけ
醤油    大匙2
味醂    大匙1と小匙1
片栗粉   適量
塩     少々

天保六年(1835)越後国(新潟県)に豪農、上野家の次男として誕生した房五郎が後の前島密(まえじまひそか)。ミツではありません。
生後間もなく父が亡くなり、越後高田藩士だった母の実家へ。
叔父が藩醫だったことから自身も醫学を志す。
江戸へ遊学。
幕末という時代でしたから、彼も黑船ショックに遭遇。
尊王攘夷の志士に、はなりませんでした。
過激な尊攘派というよりも前島は穏健な開明派。


茄子を細長く切る。

醫学、蘭学、英語を学び、優秀さを見込まれて幕臣、前島家に養子入り。
前島來輔と名乗りましたが、以後は便宜上、前島密とします。
幕臣時代に将軍、徳川慶喜に漢字廃止を進言。
これは一般向けの布告等、多くに人々に伝える文書は平易な仮名を使った方がいいという主旨で、全面的に漢字を止めろという意味ではない。
日本人の教養レベルを上げるには、多くの人が気軽に書物を読めるようにする必要があるという考えからの提言。武士以上の階級だけではなく、それ以外の人々も平等に学問をという思いが込められていた。
平等にというのが、彼の生涯について回るフレーズ。(つまりあの石工組合と関係している?)


切り込みを入れて、塩水に5分程さらす。

明治維新後、維新三傑の一人、大久保利通は大坂遷都を考えていましたが、前島は江戸こそが新たな都に相応しいと提言。
260年以上の実質的な首都であり、江戸城という皇居に相応しい場所、更に幕府崩壊で大名が国元に帰り、広大な大名屋敷跡が空き地になったので、官庁等を建設出来る土地が確保出来る。これらの理由から大久保も納得。江戸は東京と改められて日本の首都に。
同じく幕臣だった澁澤榮一の招きで政府に改正係として出仕。
鉄道敷設や東京専門学校(早稲田大学の前身)設立に協力等々、日本の近代化に貢献。


水気を切って片栗粉を塗した茄子を油で炒める。

もっとも大きな功績は近代郵便制度の創設。このことから前島密は『郵便の父』と呼ばれ、1円切手の肖像となり、幾つかの郵便局には今でも肖像写真が掲げられている。
江戸時代、書状や荷物は飛脚が運んでいましたが、高価なので幕府や大名、商人等の富裕層しか利用出來ず。
多くの人が安い料金で利用出來れば、つまり薄く広く負担を求めれば全国を網羅する通信網が出来る。これがイギリス発祥の近代郵便事業。
これを学ぶために渡英。学んだことを実践。
しかし元々なかったことを零から作り出す苦労は並大抵ではなかった。
郵便という言葉自体、馴染が薄い。
郵という漢字、元々は宿場を意味する。宿場の便を図る。つまり宿場をリレーのように繋いで書状や物を送るという意味合い。
郵便集め箱、つまりポストを設置したら、ゆうびんではなくタレベンと読まれて、便器かと思われたなんて話があります。


細かく切った水で戻した昆布、醤油、味醂を投入。

郵便関係の言葉、この時代に前島らが考案。
切手、葉書、書留、小包等々。
切手という言葉自体は江戸時代にも存在。但し元々の意味は切り出し手形。つまり額面の金額と交換出来る書類や手形のような物。現代の小切手に近い。今では切手と言えば郵便切手を指すようになっていますが、これは日本特有。同じ漢字圏でも中国では郵票といいます。
言葉だけではなく、切手の再使用を防ぐことにも頭を悩ませた。
日本で最初に発行された切手は龍文切手と言われますが、これはすごく薄い和紙に刷られている。無理に剥がそうとすると破れるようにして再利用防止。
最終的には切手という印紙を抹消するつまり消印というアイディアで再使用防止策を思いつく。


輪切りにした唐辛子投入。

昔の郵便配達人は拳銃携行。
徒歩で配達していたため、山中で山賊やら熊から身と郵便を守るため。拳銃を持たされたのは警察官よりも早い。
郵便局を全国に広げるために、地方の庄屋とか有力者を局長に任命。屋敷を局にしてもらうことも行う。今でも先祖代々、局長の家系という家が地方には存在。
郵便局にはあと二つの大きな事業、保険と貯金。これらもイギリスの郵便局が行っていたことを導入。日本にしっかりと根付かせた。


一円切手り焼き茄子

黑摺り胡麻をたっぷりとかけて完成。
甘辛醤油味に昆布出汁が利いている。胡麻の香ばしさや微かな辛みがご飯を進ませる。
茄子には優れた抗酸化物質、ナスニンやアントシアニンが豊富に含まれる。
胡麻にもセサミンやゴマグリナンというこれまた抗酸化物質。正にアンチエイジング食となった逸品。
唐辛子のカプサイシンで脂肪燃焼といいこと尽くめ。

「あまねく公平に」というのが日本郵便の理念。
「縁の下の力持ちになることを厭うな」というのは前島密の言葉。
これらの言葉が正に郵便という事業を象徴。

ところで拙記事は2000字から3000字までを基準として執筆。
今の時点で2000字超え。
前島密については漢字廃止の話、郵便については現在の郵政事業へ思うことなど様々あるのですが、もう纏めに入らねばならない。
いずれ続きを書くかもしれないということで、今回の妄想はここで一旦、幕を閉じようと思います。
前島密を妄想しながら一円切手り焼き茄子をご馳走様でした。

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