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とろ玉丼龍上人

「太田金山、子育て呑龍」
群馬県人のDNAに刻み込まれている上毛かるたの「お」札に詠われている呑龍様こと大光院。
徳川家康が先祖(ということになっている)新田義重公供養のために創建。

開山となったのが呑龍上人。
今や、お寺自体がその名前で呼ばれるように。梅が咲く大光院を散策しました。動画を御覧下さい。↓

それにしても、もう間もなく政府もマ〇クは屋外、屋内問わずに自己判断でと言っているご時世に、まだ屋外にマス〇着用をお願いしますと立て看板を設置しているのはどうなのか?それはともかく、吞龍上人とはどういう人物だったかを妄想しながら料理することにしよう。


材料

葱    1/3
卵    2個
片栗粉  大匙1
水    大匙1とカップ半分
出汁つゆ カップ半分 
塩    小匙1

この料理、何と原価100円も掛からず、時間も10分位で出来るという時短、節約料理。給料日前の自炊男子にもおすすめ。

弘治二年(1556)に武蔵国(埼玉県)に生まれた竜寿丸、2,3歳の頃から念仏を聞くと喜んでいたというから、正に仏門に入るべく生まれた?
7歳位には泥で作った仏像を拝んでいたと言います。14歳で出家、僧侶、呑龍誕生。


卵を割りほぐす

得度した呑龍、熱心に仏道修行に励み、芝増上寺の観智国師の門弟中でも四哲の一人と呼ばれるようになりました。俗な表現ならベスト4若しくは四天王?。
芝増上寺というと、浄土宗の寺院で徳川将軍家の菩提寺、寺域も広く、東京タワーが建つ時には、土地の一部を分けてもらったといいます。プリンスホテルの敷地も寺域だったかと思います。


水と出汁つゆを温める。

慶長十六年(1611)将軍職を退き、大御所となっていた徳川家康は徳川氏の繁栄とご先祖様(ということになっている)新田義重公の追善供養のために新田氏本貫の地である太田に寺院建立を発願。
新田義重とは、源氏の中でも名高い八幡太郎源義家の孫で、上州に土着。新田氏を名乗りました。その子孫が新田義貞。↓

新田氏の血を引く遊行僧、徳阿弥が三河国に流れ着き、土地の後家に婿入りしたのが松平氏即ち徳川氏の始まりとされています。それ故、新田義重は遠祖に当たる。
先祖供養の寺を建てるには何処がよいかを、家康は増上寺の観智国師に相談。結果、選ばれたのは現在地。
ここは金山の麓。金山には新田一族の城もあったということも一因でしょう。↓


水溶き片栗粉を回し入れてから、溶き卵を投入してよくかき混ぜる。

翌年に工事が始まり、約一年後に完成した義重山大光院の開山、つまり初代住職として選ばれたのが呑龍。
入山した呑龍、説法や講義で熱心に因果応報を説く。その徳を慕い、集まった僧侶が1000人。周辺の農民もその教えに深く帰依。
しかし、呑龍上人、心を痛めていることがありました。
江戸に幕府が開かれたとはいえ、まだ戦国時代から遠くない頃であり、殺伐とした風潮は残っていて、天災も続いたことから困窮している人も少なくなく、そうした家では犠牲になるのは弱い者、つまりは子供。
捨て子や間引き、子殺しなどが珍しくない世相。
そのようなことを止めるように説いて回るものの、その日を生きるので精一杯な人々には、なかなか聞き入れてもらえず。


小口切りにした葱を投入して、更にかき混ぜて煮る。

ついに呑龍は、捨て子や貧しい子達を自分の弟子という名目で引き取り、寺で養育。7歳になるまで育てました。これが子育て呑龍の由来。


いい感じにとろみが付いたら完成。

当時、鶴を捕らえることは御禁制。
しかし、鶴の血が滋養強壮によいと聞いて、病弱な両親のために鶴を捕った子供。呑龍上人はその子を保護。引き渡し要求にも応じず。
子供を守ることに関しては、筋金入りでした。その子も上人の傍で永眠しています。


とろ玉丼龍上人

ご飯にかけて完成。卵はビタミンC以外の栄養素が入った完全食と言われます。そのビタミンCは葱に含まれているので、これにて本物の完全食が完成。
片栗粉でとろみが付いた卵がご飯をしっかりと牽引。煮くたれた葱がいいアクセントになっている。


干し海老をトッピング。

海老でカルシウム増量。この食感もよし。
干し海老以外にも、お好みで鰹節とか青のりなどのトッピングもいいかもしれません。刻み海苔もいいかもしれない。

元和九年(1623)衰弱が進んでいた呑龍上人は
「明日の正午に往生を遂げる」と弟子達に告げました。
その言葉通りに、八月九日の正午、仏前に合掌しながら入寂。
子供の頃からの念仏や仏像好き、子供達を救った慈愛、そしてその最後を考えると、呑龍上人とは仏がその姿を借りて現れたのかもしれないと思えてきます。今に至るまで、その名前が語り継がれ、子の病平癒や無事な成長を祈る人々が少なくないことは伊達ではない。
正に仏教界のマザーテレサ?(本物のマザーテレサには黒い噂があるけれど、便宜的に例えています)
言うなれば、師父呑龍?
そんなことを思いながら、とろ玉丼龍上人をご馳走様でした。

梅の花。もう春間近。

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