ワンシーン
「そんなワンシーン ワンシーンで生きようとするから長く生きられないんだ。俺も、お前も」
彼は近くも、遠くもないところから話し始めた。
「今の俺はお前だ。この世界をお前だけのものにするなよ」
何分かったように言ってるんだと僕は返したかったが、彼には見透かされていたようだった。
「きっと空っぽなんだろ?」
そう言う彼の表情は見なくても分かる。
「俺が言えた事じゃないが、外の世界を知らなすぎるんじゃないか」
いつか限界が来るぞ、と続けて言う。
分かっているさ、これももうそろそろ終わりそうさ。
「俺はお前のままでいたくないんだよ。ちゃんと、誰かにならせてくれよ」
必死なこの声は、僕の。
「俺にさ、ちゃんと興味ある?」
少し間が空くと、そういうとこだよ、と彼は呟いた。
「分かったよ、またいつか会えると信じてるからな」
じゃあなまたな、と彼は消えていった。
彼もまた、空っぽの僕から生まれた一人。
ごめん、いつかちゃんと友達紹介するからさ。
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