アーユルヴェーダ:催吐法と私(1)

アーユルヴェーダの浄化法の中でも、
催吐法(ワマナ)は、できればやらずに生きていきたいと思っていました。
下剤や浣腸は抵抗がないけど、自ら吐く、という行為に抵抗感がありました。

でも、あるアーユルヴェーダの先生のところで、クリニックに通って勉強させてもらっていた時、
ここでなら、私もワマナやれるかもしれない、今しなかったら一生しないかもしれない、と思って、決意しました。ワマナすることを。

ワマナは主に体内の悪化したカファを外に出す浄化法です。
喘息持ちの人や皮膚病の人などなどに病気を治すことを目的にアドバイスされますが、健康な人も、健康を維持・増進するために、浄化法を定期的にするのが理想です。春先は、カファが増加する季節なので(健康な人でも皆)、その季節にワマナを行うことが良いとされていて、私もその時に行いました。
私は特に不調もなかったので、健康目的のためのワマナです。
同じクリニックに通う生徒やドクターたちも健康目的で次から次にワマナをしていたので、私もそれに便乗しました。みんなでやれば怖くない、と自分を励ましながら。

まずワマナに向けて、体の準備をします。前処置です。

1 消化剤を摂る。

まずは、消化力を上げて、体内の未消化物(アーマ)を消化するための薬を摂ります。
この目的は、体内に未消化物があると、いくら浄化法をしても体が浄化されないからです。
そしてもう一つの目的は、消化を促すための薬を摂ることで、次に行う油剤法で油がよく体内に吸収されることを狙っています。
私は消化剤を3日間摂りましたが、その人の消化力や未消化物の残り加減によって期間は異なります。
この時摂った消化剤はトリカトゥ(黒胡椒、長胡椒、乾燥生姜の粉)。

2 それが終わると、油剤法と発汗法。

油剤法は、油を飲むことと(内服)、油を体に塗り込むこと(外服)、の両方をします。

飲む油は、通常、薬用ギー(精製バター)やごま油。シンプルにギーのみのこともあります。
私はその一年前に皮膚病になっていて、その頃にはすでに治っていたのですが、それに合わせた薬用ギー(panchatikta ghrta)を飲みました。

油剤法の期間は、これも人によって異なり、通常3−7日間です。
体がちゃんと油ぎっているか、どういう便が出たかなどの症状を見ながら、止め時や次の日の飲む油剤の量を決めていきます。
私は3日間でした。というのも、3日目には薬用ギーを飲んで下したからです。
下す、ということは、もう消化ができないから体内に吸収されることもありませんので、これ以上飲んでも意味がないということで、私の油剤期間終了。となりました。

油剤の量は、日々少しずつ増やしていきます。
私が飲んだ油剤の量は、1日目60ml, 2日目80ml, 3日目90ml。少ないです。
子供の時からギーに慣れ親しんでいるインド人は最終日には私の2倍の量くらいは飲みます。その上、インド人の最終日は大体5−7日目です(個人差あります)。尊敬に値します。
私は3日目90mlで下しました。

ギーを飲むのは、過酷です。
いくら毎日の料理でギーを使っていても、一気に大量のギーを数日間飲むのは大変で、その時ばかりは、ギーが大嫌いになります。
鼻をつまんで、味わうことなく、一気飲みです。
ギーを飲んでしばらく経っても、鼻にギーの香りがまとわりついて、どこまでも付いてきて、お湯を飲んでも取れないし、はっきり言って浄化法をすると決心したことを後悔する時期です。

この油剤法の期間は毎日、油を体に塗り込む全身オイルマッサージと発汗法もします。

この期間は、早朝に油剤を飲んだら一日中白湯を飲みます。油剤が消化され、お腹が空くまで待ちます。それはお昼過ぎかもしれないし、夕方になるかもしれません。そしてやっとお腹が空いたら、軽食を食べます。消化に重いものや昼寝をしてはいけません。
油剤を飲んで、何時間後に空腹がきたかも次の日の油剤量を決める重要なポイントです。

浄化法の前処置として、油剤法と発汗法をする理由は、
油剤を内服・外服することで、体内の悪化したドーシャ、へばりついたドーシャを柔らかくして、発汗法によって、流れを良くし、そのドーシャを体の中心部である消化器官に集めて、浄化法によってそれらのドーシャを外に出す。という仕組みです。
ですので、この前処置は大切な期間で、これがうまくいかないと、いくら催吐法や下剤をかけても体は浄化されません。

3 ワマナ前日の夜は。

ますます体内のカファを悪化させて、本番でカファを出しやすくするために、前日の夕食は意図的にカファを悪化させる食べ物を食べます。
私はキールという、牛乳と一緒に柔らかく煮込んだ米に砂糖を入れた美味しいやつを食べました。もうギーを飲まなくて済むという解放感はすごいものです。
そして次の日の本番に向けて、早くに就寝です。

本番のワマナにつづく。

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