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この世界で一番好きな場所

旅をしていることを話すとよく聞かれる質問がある。

「一番好きな国はどこ?」

一番聞かれるけど一番答えに困る質問でもあるのだけれど、ここだけの話、わたしはいつもこの質問に気分で答えてしまう。
(これまでに聞いてくれた人が読んでくれてたら、そのとき私がその国を答えたのはそのときの気分でしたごめんね。)

ふとこの前、また「一番好きな国はどこ?」と質問を受ける機会があった。
やっぱりそのときも気分で答えてしまったのだけれど、ふと、わたしがなぜいつもこの質問に自信をもって一つの答えを出せないのか考えてみた。

 

理由の一つに「どの国も違ったいいところがあるから」がある。
ご飯が美味しい国、人が優しい国、景色が美しい国、住みやすい国…。どれも1つ挙げるとすればきっと違う国の名前を答えると思う。そんな中一つを選べというのは、わたしにとって「全料理の中でなにが一番好き」と聞かれているぐらい1つを選ぶのが難しい問題になってしまう。

 

それでももし、1つを選ばないうけないとするならわたしはどこを選ぶのだろう。どうしても選ばなければいけない義務感を演出するために、ちょっと質問を変えてみた。

「もしもこの先1つの国から出られないとすればどの国を選ぶか」

好きな国とは少し趣旨がずれてしまうかもしれないけれども、それでも一生住んでもいいと思える国が好きでない国なはずがない。

そう思ったときに私の中で1つの答えが出た。

 

それが「日本」だ。

わたしが好きなこと「美味しい食べ物を食べること」。
日本食はおいしいし、ほかの国の食べ物も探せばどこかに専門店が出ている。

わたしが好きなこと「きれいな景色を見ること」。
この国には四季がある。そして四季があるだけれなく、この国の人はそれを愛でる心を持っている。ただ四季がほったかされてひろがっているだけでなく、それぞれの季節をより美しく、よりその季節らしく演出して楽しませる「粋」な心を持っている。

わたしが好きなもの「青い海や空」。
日本は縦に長い。生まれた福岡にはわたしの好きな「青」はなくとも、九州最南端の鹿児島であれば、もっと言うとさらに南の沖縄に行けば、そこには求めている「青」が一面に広がっている。

冬に会いたいと思ったら北に行けばいいし、美味しいご飯を食べたいと思ったら、その生産地に赴けばいい。自然に囲まれたいときには山に登ればいいし、1日中買い物を楽しみたいときには思いっきり都会に足を伸ばしてもいい。

生まれたからずっと暮らしているこの国は、実は意識したことがなかっただけで、あらゆるモノ、コトがそろった素敵なくにだったのではなかろうか。 

 

生まれ育った国が一番だといっても、わたしはきっと旅をやめないし、気づいたらきっとまた他の国へ出かけていると思う。

それは、なにもこの国が嫌いになったわけでも、ほかの国の方が素敵だと乗り換えたわけでもない。
それはずっとご飯を食べているとたまにパンを食べたくなるようなもので、きづいたらきっと食べなれたご飯のもとへ帰ってくる。

 

さて、そろそろパンが食べたくなってきた。

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