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人事制度・システムの変更時に社内周知のために気をつけていること

こんにちは、渡辺です。
ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズというコンサルティング会社で人事の仕事をしています。

先日、SmartHRのユーザー会で自社の評価システム切替の事例をお話したところ、特に「社内周知のプロセス」に対して多くの反響をいただきました。

なので、この点に絞って、私たち人事が大事にしていることを書いてみます。
同じ課題でお困りのどなたかのためになれば‥。

この話の前提

ケンブリッジは社員数173名(2022年12月末時点)です。

社員の85%はコンサルタント。
クライアントの変革を支援するのが本職であるため、社内の制度やシステムを変えることには理解のある人が多い。(現状からの変化をとにかく嫌うという人は皆無)

したがって、超大規模だったり、強力な抵抗勢力がいたり、「パソコンが苦手で触りたくないです!」という人が多い組織だったりすると、以下の話はあまり参考にならないかもしれません。

また、制度やシステム変更の概要が固まり、これから社員に向けて説明していく場面を想定して書いています。

大事にしていること①一般社員から見えない現状の課題をきちんと説明する

●あるある失敗
新しい制度やシステムの説明に力を入れた結果、一般社員から「なんでこんなの入れるの?前の方が使い勝手よかったのに」と不満が噴出する。

●大事にしていること
制度・システム変更の背景にある、現状の課題を丁寧に説明する。一般社員に「たしかに不便だけど、仕方ないね」と感じてもらう。

制度やシステムを変える背景には、何らかの現状課題があるはず。これを丁寧に説明します。
一見当たり前の話ですが、一般社員から見える風景と、人事から見える風景は思っている以上に異なります。

例えば、
・制度運用上の公平性が担保できない
・こんなトラブルが実際に起こっている
・システムの運用コストが高まっている
など、一般社員が通常業務に従事している限りでは知り得ないことはたくさんあります。
これをきちんと説明するのは、制度・システム変更に対する納得度を高めるうえで重要です。「みんな分かっているだろう」と考えず、自明のことでも丁寧に説明します。

一般的に、制度やシステムを変えると、一般社員の体験は悪化します。慣れ親しんだ手法やUIが変わる、自由度が下がる‥。

そのため、あらかじめ「今回の制度・システム変更で社員の皆さんの使い勝手は良くはなりません。でもこういうメリットが全社にもたらされます」と期待値をコントロールしておくことが大事だと思っています。

大事にしていること②「ここだけは覚えて!」というポイントに絞って説明する

●あるある失敗
新しい制度やシステムに関する全てを説明しようとしてしまい、一般社員に趣旨が伝わらない。

●大事にしていること
「ここだけは覚えてほしい」というポイントを絞る

社員の多くは情報の洪水に晒されています。
制度・システム変更が人事にとっては一大事であっても、一般社員から見ると「たくさんあるお知らせのひとつ」に過ぎません。

だから、社員に対して説明会を開いたり、メールやチャットツールで周知するときは「ここだけは覚えて!」という3つの文章に絞ります。

「知らないと本人や人事が必ず困るであろうこと」「システムを操作しても伝わらない運用上のルール」という観点で、可能な限り情報量を削ぎ落すのがポイントです。

大事にしていること③2つの相談スタイルに寄り添う場・仕組みを用意する

●あるある失敗
説明資料をがんばって作成し社内に展開したけれど、あまり読まれない。社員から質問がたくさん寄せられ、人事が「資料に書いてあるのに!」と憤ってしまう。

●大事にしていること
「資料を読んどいてください」は、まず読まれない。
相談したい人には「リアルタイム型」と「非同期型」の2タイプがいることを前提に、場・仕組みをつくる。

残念ながら、「資料を作ったので読んどいてください」は、まぁ読まれません。仮にアクセスしたとしても流し読み程度。

そして、相談したい人は大きく2つのスタイルに分かれます。

【リアルタイム型】
対面やZoomなどでお互いに対話しながら質問・相談したい。質問や困りごとが自分の中でも明確になっていない場合が多く、その言語化に付き合ってほしいニーズがある。また、その場で解消まで導いてほしいというニーズもある。

【非同期型】
質問・相談はしたいが、特定の時間を拘束されるのは嫌い。質問や困りごとはある程度明確になっており、自分の好きなタイミングで解決したい。

人の特性によって、リアルタイム型・非同期型のどちらのタイプが好きか、という嗜好性があります(私はちなみに非同期型)。
また、質問・困りごとの特定具合によって、「普段は非同期型だけどこの内容はリアルタイムで話したい」ということもあるでしょう。

この2つの型があることを前提に、場・仕組みを用意することが重要です。

【リアルタイム型向け】
相談会の場を設定します。
ケンブリッジの場合は、Zoomを使ったオンライン相談会を複数回設定しました。
質問・相談はどんな内容でもOK。ほかの人に聞かれたくない内容の場合は、人事と社員でブレークアウトルームに入ります。
一緒に画面を見ながら、操作方法も説明します。

リアルタイム型は「前提や全体像が分からず、何をどうしたらいいかわからない」という状態にストレスを感じます。
そのため、この相談会の場で質問や困りごとに耳を傾ける姿勢が大事だと考えています。

【非同期型向け】
「困ったときはとにかくここに聞いて!」と、質問・相談の窓口を明確にします。
ケンブリッジの場合は、人事に関する質問・相談の窓口をSlackのワークフローに一元化しています。
非同期型は「どこに情報があるか分からない」「どこに聞けばいいか分からない」という状態にストレスを感じるため、窓口の存在をはっきり示し続けることが大事だと考えています。

まとめ

制度・システムの変更時に社内周知のために気をつけていること

①一般社員から見えない現状の課題をきちんと説明する
②「ここだけは覚えて!」というポイントに絞って説明する
③2つの相談スタイルに寄り添う場・仕組みを用意する

本当はもうちょっと書きたいことがあるんですが、ひとまずはこれくらいで。

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