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不登校だった娘がロシアでバレリーナになった話#6(もうやるしかない!)
※ここから不登校の話は一旦終わって、バレエの話のみになります。引き続き興味のある方は是非読んで下さい。
さて、目標がはっきりすると必然的に行動が決まってきますよね。
広いロシアの中には、実は国立バレエ学校というのは沢山あります。
そして、ロシアの国立バレエ学校の中でも”ワガノワメソッド”の流派があるそうなので、できるだけ正統派を受け次いで教えている学校を探しました。
留学先を決めるにあたって我が家が考えたことや「こういう学校は避けた方がいい」などの考察は、別記事で書いていきたいと思います。
「どの学校に行くか」を先に決める
バレエ留学の方法はいくつかあります。
コンクールで留学権をもらう
行きたい学校が主催するワークショップに参加する
オープンオーディションに参加する
行きたい学校に直接オーディションを申し込む
こんなところでしょうか。
長女の場合、どうしても譲れない条件が2つあって
日本人留学生が少ないところ
ワガノワ出身の先生が教えている学校
というものでした。
調べていく中で、当時有名なロシアのバレエ学校にはたくさんの日本人留学生がいました。
ある学校では2~30人もいて、ひとクラスまるまる「留学生クラス」としている学校もありました。
(今では主流かもしれませんが)
また、ロシアの国立バレエ学校といってもどんな教師が教えているのかは不明でした。
なので、主要なクラシックの教師はワガノワアカデミー出身の教師というのも条件にしました。
※ボリショイとワガノワでも違いがあるそうですが、素人には全くわかりません💦
1.人脈がものをいう?
行きたい学校をしぼる段階で、先輩ママという存在を大いに頼りにしました。
当時通っていた教室では、ワガノワメソッドの教室でもあったため生徒さんの多くはロシアのバレエ留学を目標にしていました。
生徒数が少ないし発表会もない教室なので、生徒や親同志の交流がそもそもなかったのですが、すでにお子さんをロシア留学に出している先輩ママを教室の先生から紹介していただき、連絡を取ることができました。
その先輩ママから初めて”エージェント”という存在を教えてもらい、バレエ留学の強い味方だということがわかりました。
そしてすぐに紹介してもらうことができ、早速面談の予約をしました。
※我が家が依頼した当時はまだこんなに大きな会社ではなかったので、システムが当時とは違うと思います。
利用される場合は、よく確認してくださいね。
2.エージェントとの面談
その時になって初めて、ロシアにはどんな学校があるのか、長女の希望に合うならどの学校がいいか、などの具体的なアドバイスをいただき志望校を決めていきました。
ちなみに、エージェントは心強くありがたい存在なのですが、費用はかなり掛かります💦
お金の話は、別記事で書きますね(笑)
まぁ、この時の面談は無料相談という形で行われたのですが、実質お会いする場所は先方の希望(この時は渋谷のカフェでした)で会計はこちら持ちです(笑)
渋谷のカフェなんて、めったに行かないし!コーヒー1杯いくらだよ?!という心の声は押し殺していたmaruちゃんでした。
ビデオオーディション
こうして、初回の面談で行きたい学校を決めた私たちが次にすることは、プライベートでのビデオオーディションに応募することでした。
ビデオオーディションというのはすでにバレエ学校とのパイプがあるエージェントからの紹介、ということで特別に行われるもののようです。
また、すでにその学校が留学生を受け入れている実績があり、留学生にも問題がないなどいくつか条件をクリアしているという信頼関係のもとに行なわれているものです。
1.いつ受けていつ送るのか?
具体的にいつビデオを撮って、学校に送る(エントリー)のかもエージェントと決めました。
こちらとエージェントと撮影場所(レンタルスタジオ)の都合も考えて、丁度2週間後を撮影日に設定しました。
撮影後、「留学手続き代行」を正式にスタートさせるための費用を支払うことで、実際に学校側に書類とビデオを送っていただくことになります。
2.ビデオは誰が見ているのか?
送ったビデオを学校では誰が見るのか素朴な疑問がありました。
イメージだと主に校長が見て決めるのかな?と思っていましたが、割と校内の多くの先生の目に触れるようです。
確かに、留学中の学年試験でも沢山の先生がチェックに来ていたみたいですので、そういうシステムなのでしょうね。
エージェントからのメールでも、
「先生方のチェックがすべて終わるのにある程度時間がかかります」
と言われていたので、いったい何人の先生が長女のオーディションビデオを見るのだろう?と思っていました。
なんなら、そんな沢山の先生が見る時間をこちらはそわそわして待たないといけない…
「もう早くみんな見て!」と思っていました(笑)
なにより、この時は合否の心配というより、もしダメだったら次はどうしようということばかり考えていましたから。
合格するとやること
年末のビデオオーディション送付から約2か月後に、無事学校からの合格メールが届きました。
喜んでいるのもつかの間、留学に必要なものの準備が結構大変でした。
1.書類提出
まず、エージェントから求めらたのは次の書類です。
卒業証明書
成績証明書
健康診断書
パスポートのコピー
渡航同意書
顔写真
予防接種証明書
ところが一旦これらを揃えた後、突然ロシアでの法律が変わったらしく上の2つは最新のものに取りなおし、アポスティーユ申請をするということになりました。
アポスティーユ (Apostille) とは、日本の公文書を外国の官公庁に提出する際に必要とされる、〝その書類が確かに日本の公的機関から認証されて発行された公文書である〟ことを証明する付箋による証明を指します
さらに、「渡航同意書」も公証役場の認証が必要と言ってきたのはエージェントから学校に提出した後の話でした。
この後出し感は、これから先何度も経験する”ロシアあるある”です。
なんにしても、出さないといけないものは出さないといけませんので私も時間のやりくりをして頑張りました。
書類の中で一番心配だったのは、
「成績証明書」でした。
長女は、中学2年生の2学期から完全な不登校になっていましたので、卒業時の成績でいうと成績が付かないという評価になっていました。
エージェントにはもちろん事情を説明していましたので、学校側へのうまい説明をしてくださったおかげで結果的には問題なく受理されました。
こういう事態もあるので、やっぱりエージェントに依頼してよかったと思います。
費用はかなり掛かりましたが!
※お金の話をここですると、夢を打ち砕いてしまいそうなので今はやめておきます(笑)
2.ロシア語レッスン
渡航までの約半年間、ロシア語をどうしようかという話になりました。
現地で覚えるのが早いよと言う人もいれば、基本の日常会話はできるようになった方がいい、レッスンで使う用語は覚えとけ、等々いろいろな意見に出会いました。
もちろん、理想なのは日常生活に困らない程度にわかるようになっておくことです。
といってもなかなかそれができないのが、この時期の長女のメンタルでした。
結局、ロシアに出発する直前にエージェントに10日間の集中レッスンをしてもらい、終わりました。(笑)
![](https://assets.st-note.com/img/1714020409633-emoQW8Hi3K.png?width=800)
出発までの時間の過ごし方
発表会はないと言っていた教室でしたが、この年に何人か踊れる生徒さんが増えた為、急遽ミニコンサートをやることになりました。
長女は、「バヤデール影の第3バリエーション」と、オーディションでも踊った「パキータエトワール」を日本最後の舞台で踊ることになりました。
![](https://assets.st-note.com/img/1714020192131-deLV6OzA2j.jpg?width=800)
1.身体を整える
高校進学はしていなかったので、時間だけはたっぷりあった長女ですが、そのせいか急にダイエットにマインドが向かっていきました。
「ロシアに行くのに、このままの体型じゃいけない」
と思ったのと、久しぶりの発表会で人前で踊るのにこの身体じゃ…という謎のプレッシャーを感じたらしいのです。
自ら食事制限を課し、舞台のある8月にはヒョロヒョロな状態だったと思いますが、私の意見には耳も貸さず黙々とダイエットを実行していました。
余りにも痩せてきて教室の先生にも心配されましたが、「摂食障害」にはならずに済みました。
おそらく、本人の中でどこまでだったらやっていいかをちゃんと考えていたと思います。
このダイエットで身体を壊したら、元の子もないことは本人が一番わかっていたはずです。
2.心を整える
これは結構難しかったと思います。
なんなら、出発前日にもメソメソ…
空港でもメソメソ…
いくら切望していたロシア留学に行けると思っても、希望より不安や緊張の方が大きかったのは無理もありません。
長女の性格です…吹っ切れてしまえば一直線に進めるとは思うのですが、基本的には甘えん坊ですし、
「家が一番の居場所、落ち着く~」
と言っていた子が、その場所から離れて遠い異国に旅立とうというのです。
結局このメンタルの弱さは、ロシアに行ってもしばらくはひきづっていました。
ただ、どこかで本人のスイッチが切り替わり、一気に強くたくましくなりましたね。
なので、これから留学を考えていてメンタルが弱くて…という人は、留学前に不安や心配や緊張があってもそれをすべて解消しなきゃと思う必要はないということですよ!
ロシア国立バレエ学校への入学
9月、長女はひとり、エージェントのサポートを受けて日本を飛び立っていきました。
ロシアのモスクワまでは直行便で約9時間、そこから学校のある地方都市まで2時間でした。
乗り継ぎも含めると、ほぼ丸1日の移動でした。
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1.ホームシック
初めてレッスンに参加した時のことを連絡してきた時、「みんな優しかった」と言ってきた長女に少し安心した記憶があります。
それでも、言葉がまだ理解できず悔しい思いをしたことや、ルームメイトのロシア人の言動が嫌だ、などなど。
毎晩のようLINE電話して泣いていた長女でした。
2.自覚を持つ
クラシックの先生は長女が切望していた通りワガノワバレエ学校のご出身で、留学生の日本人にも分け隔てなく指導してくださる先生でした。
今となっては、その先生はロシアバレエ留学時代の恩師です。
![](https://assets.st-note.com/img/1714046295637-F9Akoesyff.jpg?width=800)
彼女が目をかけてくれたこともあり、早々に学校公演に出演する機会を得る流れにもなりました。
また、校内コンクールにも毎年エントリーさせていただき沢山の経験を積ませていただきました。
公演の配役決めの時になると、先生たちから
「あの賢い日本人の子はどこ?」
と声がかかるのは、長女のことだったそうです。
もちろん主要な役をもらえるのは卒業学年までなかったですが、先生たちからの一定の評価をいただいていたことで、少なからず自信に繋がっていったとは思います。
現地のロシア人たちにはスタイルでは絶対にかなわなかったのですが、先生たちから評価されるものをなにかしら長女が持っていたと思うとありがたいことです。
そして、その評価は最終的に”赤ディプロマ”を授与していただいて卒業したことが、全て物語っています。
※ディプロマとは…
国立バレエ学校は、職業訓練校 です。国家レベルでクラシック・ダンサーを育成する職業訓練校です。税金でダンサーを育成するのです。国として、質の高い芸術作品を国民に提供するためですね。だから、実力不足の生徒にまで税金は使えません。そういう生徒は、強制退学させられます。税金を無駄に使う訳にはいかないので。とってもシビアです。そのようなシビアな世界で8年間習ったということは、特別に価値があることなのです。それを形にして表したものがディプロマです。だから、ディプロマは世界中のバレエ団で通用するのです。レベルの高いダンサーだということをディプロマが証明していますから。イザという時に出す印籠のようなものです。
同じディプロマでも通常は紺色(青色)のところ、赤いディプロマを手にできるのは、主席卒業生である証になります。
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話がそれましたが、メンタルよわよわで毎日泣いて電話してきた長女は、4年間のバレエ留学最後には、この赤ディプロマを取得して卒業することになりました。
3.学校生活
これを一口にここでまとめるのはとても難しいので、詳しい内容は改めて記事にしていきたいと思います。
興味のある方や、これからロシアへのバレエ留学を考えている方にはぜひ読んで欲しいと思います。
長女が学んだ学校はロシアの地方都市にある学校ですが、校長はじめ教師陣はワガノワバレエ学校出身ですので、正統なワガノワメソッドを教える学校でした。
学校生活は、留学生にはバレエレッスンほかにも寮生活があります。
どちらも内容が濃い体験でした。
自分を見失わず目的意識を持ち続けることは相当精神力が鍛えられそうです。
現に、長女は留学3年目にロシア人のクラスメイトにも先生にも、違うことは違う!とはっきり自分の意見を伝えていたと言います。
留学先での学校生活を乗り越えるのに必要なスキルとしていえることは、言語の取得が何より大事なのと、自分の意見をはっきり伝える勇気を持つこと、あとは留学中の楽しみ方を工夫していければいいのかなと思います。
海外留学は、途中でリタイアしてしまう子もいます。
上手くいかないなと思った時、最終的に頑張るのは本人なので自分がなぜ留学しているのかを立ち止まって考えてみることも必要だったりするかもしれません。
親がいくら励ましても、ここから先は本人次第なんですよね。
留学生活は、キラキラしたものではありませんでしたよ(笑)
それは、長女を通して経験した私が今だから言えることなのですが、海外へのバレエ留学を希望している人にはあえてお伝えしたいことです。
あ、もちろんキラキラした留学生活を送った人たちもいると思いますが、何事もうまくいかないことから得る学びの方が大きいと言うのが事実です。
留学を経験するという人生から、どんなことを学びますか?
さて、#6まで一気に書きましたが、次は少し具体的な内容を別タイトルにして記事にしていきたいと思います。
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