30代、デジタル終活を考える。

駆け出しのライターとして出会ったメンバーたちが、毎回特定のテーマに沿って好きなように書いていく「日刊かきあつめ」です。

今回のテーマは「#終活」です。

「やばい不整脈が出たから、すぐ総合病院へ行って」

そう医者に言われたのが昨年の12月末だった。咳が止まらなくて呼吸器内科を受診し、いろいろ受けた検査の中で心電図の結果が悪かったらしい。医者が見せてくれた検査結果には「心房細動」と書かれてあった。

心房細動とは、医者が言うには心臓が痙攣したような不整脈が起きている状態とのことらしい。痙攣した際に心臓の血液がシャッフルされる過程で血栓ができ、それが脳まで飛ぶと脳梗塞を起こす原因となるのだそうだ。「脳梗塞」という言葉を聞いて、血の気が引いたような気持ちになった。

年末で超絶忙しかったが、すべての仕事を投げ打って次の日近くの総合病院へ行くことにした。呼吸器内科を出た後、心房細動について調べるとカテーテル治療が必要らしく、新年早々手術なのか…と思うと、気持ちが落ち込んだ。こんなに元気だし、まだ30代なのに、なんで私が…と焦る気持ちはあったが、夫には「精密検査の結果が出るまではわからないから」と、かなり冷静に話したことは覚えてる。

この時からぼんやり終活のことを考えるようになった。人間いつ死ぬかわからない、という当たり前のことを意識するようになったからだ。病気でなくても、不慮の事故とか、テロに巻き込まれる可能性だってある。自分が長生きできる保証なんてどこにもないのだから。

だが、具代的に終活って何をするのだろう? と思ったときに私はまったく情報を持っていないことに気づいた。というわけで図書館で本を借りて、いま終活の勉強をしている。遺言書やエンディングノート、身辺整理(生前整理)などの方法もあるが、自分が興味を持ったのは「デジタル終活」だ。デジタル終活はスマホやパソコンの情報、ネット上での契約などを整理しておくことを指す。

フリーランスとして働いている今、私にもし何かあったら、夫から各クライアントへ連絡を入れてもらわなければならないだろう。しかし、スマホやパソコンにはそれぞれパスワードがかかっている。開けるためのパスワードの共有(もしくはパスワードをまとめたものを書類として残しておくとか)や、連絡して欲しいリストを用意しておくことが必要だ。仕事相手だけでなく、友達へも連絡して欲しい。地元だったら、新聞のお悔やみ欄に掲載されれば気づいてもらえる可能性が高いが、ここは東京だ。誰かへ直接知らせてもらうしかない。

それから勝手に引き落としがされているファンクラブも退会してもらわなければならないだろう。このnoteやSNSのアカウントは? 私は持っていないがネット銀行や証券などの情報共有もデジタル終活に含まれる。じつはやらなければならないことがたくさんあるのだ。

歳をとってからこれらのことを進めるのは骨が折れる。終活は元気なうちにというが、デジタル終活こそ活力があるときに少しずつ進めておいたほうがよいのではないか。

取り急ぎ私が書籍を参考に始めているのは、いま会員登録しているサイトの整理、何かあったときの連絡リスト(仕事だけでなく友人も含めて)、パスワード情報の整理である。何より夫に迷惑をかけないためにも早めに準備するに越したことはないだろう。

そういえば冒頭に話した心房細動だが、精密検査の結果、まったく問題なかった。結論から言うと機械のエラーで、私の体はいたって健康体だそうだ。大袈裟に脅してくれた呼吸器内科の先生に少し恨みは募るが…なんともなくてよかった。終活についての知識も深まったし、まぁ良しとしよう。

最後にこれまで読んだ終活の本を少し紹介しておく。

▲終活を考えるときに最初に読む本として良さそう。終活の全体像をざっくりと知れる本だった。相続の基礎知識や、法定後見制度など、他の本でも出てくる用語が図解でわかりやすく解説してある。

▲ひとり終活と銘打ってあるが、誰にでも役立つ内容になっている。というか結婚していても相手が先になったら、最後はひとり。子どもが近くにいるかもわからないので、誰でもひとり終活はあり得る話である。介護施設や老後にかかるお金のことまで、公的調査をもとに解説してあるのでリアルでタメになる。

▲著者が葬儀会社の代表ともあって、葬儀に関する話が充実している。宇宙葬や月面葬など、変わった葬式の話は興味深かった。どんな葬式をしたいか、考えを巡らせる際に参考になりそう。

執筆:otaki
編集 :  べみん

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