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夫婦別姓 V 旧姓併記について考えてみた。やってみた。

ときどきニュースでも目にする「選択的夫婦別姓」のはなし。私は、チョイスがあるのはいいことだ!と思っているので、ぜひ選択肢を広げていただけたらうれしいな、と思っています。

法改正を求める市民団体に名を連ねているものの、自ら積極的に行動しているわけでもなく、心の底から応援しています!と声なきエールを送る、ゆうれい部員のような存在。

実は、法律婚も事実婚もためしてみました。ついでに離婚も1度だけ経験しています。法律婚は、いわゆる一般的な結婚ですが、9割以上の場合、女性は夫となる男性の名字に変えます。

当たり前の話すぎて、「で?」と言われそうですが、この当たり前の話に触れるだけでも、夫婦仲が悪くなるかもしれません。ある意味、離婚もしくは破談の起爆剤になりかねない話です。

それくらいセンシティブな話題なんだと思います。私はいまの夫と事実婚を6年間続けました。その間に子どもも生まれています。自分の親には、「子どもがかわいそう」「お前の考えはわからん」と呆れられました。

私が事実婚をえらんだ理由はただひとつ。離婚のあと、結婚の意味がよくわからなくなっていたからです。

なにをもってして結婚と呼ぶのか。

気持ちがあれば結婚なのか。

気持ちがなくても形をつづけることが結婚なのか。

そんなことをグルグルと考えつづけていたときに今の夫と出会ったのです。自分としてしっかりとした答えが見つからず、事実婚というか同棲生活というか、共同生活を始めたのです。

私はまわりの人たちが思っているほど、反逆的な意見を持っているわけではなく、許される範囲で自由にしていたい、と考えています。とはいえ、常識と呼ばれるものを鵜呑みにできる性格でもないので、納得いかなければ自分の方法を試してみたいと思っています。

少し話を戻しますと、結婚するとほとんどの女性が名字を変えます。いわゆるプロポーズの儀式、ひざまずいて指輪を渡すシーンを想像してみてください。夫の解釈によると、これは「自分の名前を捨ててでも僕と結婚してくれるのであれば、雨が降ろうがヤリが降ろうが、一生養っていきます!」という提案の場面なのではないか、と。

つまり、「結婚」という契約内容には、「女性が改姓」という項目が含まれていることになります。もちろんどこかに書かれていることですし、法律上は名前を変えるのは男性でも女性でもいいのです。ただ、慣習としては、女性が名前を変えることが当たり前になっています。

ここが問題ですよね。まずは、そんなこと考えたこともない、という人たちが大半。(女性も男性も含めてだと思います。)そして、万が一、女性のほうが納得できない場合は、男性の提案(プロポーズ)を却下せざるを得ない。もしくは納得はしていないけれど、とりあえずサインしてみるとか。

私は男性の立場もよくわかります。ものすごくドキドキしながらプロポーズしたのに、「名前を変えたくない」と言われたら、ガッカリというか、心が折れるというか。自分を否定された感じになると思います。

女性の立場もよくわかります。結婚はしたいけれど、自分の名前もキープしたい。(理由はそれぞれ違うと思いますが。)男性を否定しているつもりはなく、名前はあくまでも女性個人の問題として考えたい、という気持ち。

このモヤモヤを解消して、お互いに気持ちよく結婚生活を始めるための制度が、夫婦別姓だと思います。

ただ、実際に夫婦別姓が合法化されたとしても、なかなか男性としては受け入れがたい制度かもしれないと思うのです。やはり、どこか否定されているというか、受け入れてもらえていない、という気持ちが残るような気がして。

女性のほうはどうでしょうか。私は、もし法改正が実現したら、別姓にしたいと思っています。でも、夫に言わないほうがいいかもしれない、と思っています。現在も仕事では旧姓を使いつづけているので、言っても言わなくても日常は変わりません。知らないほうが幸せなこともあるんじゃないかと。

実は昨日、役所に行って「旧姓併記」の申請をしてみました。運転免許証やマイナンバーカードにも旧姓が記載できるようになります。4月から、パスポートの旧姓併記も、特例ではなく誰でもできるようになりました。

旧姓併記は、法的な効力が限られているということで、否定的な見解が多いものです。結局、ふたつの名前を使い分ける生活がつづくことになるので、私もまったく意味がないものだと思っていました。

でも、夫の姓と私の姓が横並びに印字されている書類を見て、おや?と。なんだか、しっくりくるんですね、これが。すごく不思議な感覚なのですが、素直に受け入れられるというか、いまの自分にはいちばん合っている気がしたのです。

これ、頭のなかで考えていてもわからない感覚だと思うのです。でも、書類を見ると、なんとなく「あー、結婚ってこういうことかも」と思えるのです。家族としてのファミリーネームがあり、自分もその一員として貢献している。でも、個人としても文字でしっかりと存在していて、自分らしいカタチに見えるのです。

もちろん、旧姓使用には限界があります。まだまだ銀行口座開設も不動産登記もできません。海外旅行のチケットも相変わらず旧姓は使えません。でも、時間の問題なのではないかと思っています。

旧姓が100%法的効力をもったとき、別姓議論は終わるでしょう。それがいいかどうかはわかりません。私のようなにわか別姓主義者ではなく、本気で困っている人も多くいます。そういう人たちのためにも、別姓結婚を応援しつづけたいと思っています。

そうそう。旧姓にこだわりつづけるのは私の勝手ですが、夫に理解してもらおうと力説するのはやっぱりやめておこうと思います。名前の話ではあるけれど、夫そのものを否定しているように聞こえかねないので。

たかが名前、されど名前。

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