23.タモリさんの心得を胸に

 やっぱり眠い。少しでも時間が空くと、目を閉じたくなります。でも仕事中の覚醒度はハンパない。
 そして分かったのが、やっぱりすでに軽い躁状態に入っていたということ。

 攻撃性もまた少し出た、異様に早口、アイデアばかりが頭に浮かんできて人に伝えたくてしょうがない、そして動き回る。その自分の行動に気づけた分、程度は軽いのかもしれませんが、わたしの中にどんどん不安が押し寄せてきました。

 またあの辛さを味わなければいけないのか、せっかく今少しうまくいっているのに(と自分では思っている)、次にまたお仕事を休まなくてはいけない状態になったら、今度こそ金銭的にキツくなってしまう、どうしよう、どうしよう・・・。

 周りには動揺が出ないようになんとか取り繕って(と自分では思っている)、でも上司1には少し早めに帰ってもいいかという相談をしました。「今日は暇だから大丈夫だよ」と優しい言葉をもらい、トボトボと家に帰りました。

 気を抜くと泣きそうになってしまう。
 薬のおかげなのか、躁状態があまりひどくなることはなかった、でもその代わりこれから鬱状態が来るのではないか。ますます不安がつのります。

 結局、自分の中でうまくいっていると思っていたのが、それは躁状態だった。これが本当に怖い。恐怖です。
 なんとなく予兆を感じ取れるようになったとはいえ、それは100%正確ではありません。まだ「なんとなく」の域を超えません。まあその「なんとなく」が時には必要なこともありますが。

 もしまた鬱状態に突入したらどうしよう、そればかりに気を取られ、どんどん気持ちが下がっていく、その悪循環です。一時期に比べたら、だいぶ症状は軽くなっているはず。大丈夫、大丈夫と自分に言い聞かせました。

 前に不安薬とのうまい付き合い方を、S先生に聞いたことがあります。
「少しでも不安になったら躊躇せず飲むことです。日常生活を送る上での予防という意味で飲んでもらっても構いませんよ」
 その時はそう言われました。

 だけど、予防という意味で飲むなら、結局毎日飲まなくてはいけなくなるし、もともとラミクタールをいう薬を服薬しているのに、もう1種類飲まなくてはいけないのかという失望感もあります。気合で治せ!なんていう時代遅れの考えこそ持っていませんが、薬を飲むことに対して、やはり多少は抵抗があるんですよね。

 みんなにも気持ちの上がり下がりがあるはずで、みんなはそれを自分の力で乗り越えているのに、わたしは薬を飲まないとできないのか。自分で自分を責めます。ガックリです。ショボボーンです。

 そもそも普通ってなに?みんなと同じってなに? きっとこれは考えても答えは出ません。そう頭では分かっているのに、薬を飲まなければいけないということで、ますます自分の世界が狭くなります。

 さて、これ以上考えたらダメです。
 考えるなら、くだらないことを考えるようにします。
 
 明日は人のくだらなさに焦点を当てて一緒に笑って、心の中にタモリさんに居てもらって、素敵にくだらない一日を送るようにします。

「反省なんて一度もしたことない」
 タモさんが発する言葉の力は大きいですよね。
 ちなみに笑っていいともの最終回は泣きました。