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12.自ら盛大に転んでいった①

 勝手に飲んでいる薬をやめ、通院もすっ飛ばしました。そしてまた、ジワジワ追い詰められていきます。

 まず真っ先に変化が現れたのが、言葉に詰まること。滑舌が異常に悪くなりました。
 聞き取りやすいようにゆっくり喋るように意識しましたが、意味なかったみたいで、なんせ喋りたいことが喉まで来た瞬間、声帯がフリーズしたようにピタッと止まってしまうんです。滑舌うんぬんの問題ではないですよね。

 だから声も小さくなります。今はご時世的に(コロナ)、マスクをずっとしているので、余計声が届きません。隣にいて話しかけているのに、相手には全く聞こえていないことが増えました。だからもう一度話しかけるのではなく、諦めてました。話しかけることをやめたんです。
 言いたいことが言えない。またできないことが増えてしまいました。

 次に来たのが、鬱状態。「でしょうね!!」としか言えないですよね・・・。

 なった前日、なんとなく鬱の波がやってきそうな気配を感じ、あまり一人になりたくありませんでした。家に帰って一人になったら、崖から落ちそう。
 一人で帰りたくなくて、仕事終わりに何人かとラーメンを食べに連れてってもらいました。食べながら、そこでも必死に取り繕っていたんだけど、周りにはバレていないことを願いたいです。ラーメンも半分しか食べられませんでした。

 そしてその日の夜「薬を急にやめるとこうなります」という悪い見本のように、ずるずると落ちていきます。良い子は決して真似してはいけませんよ。

 せっかく、双極性障害と言われてからの、泣かなかった記録を過去最高まで達成したのに、その日はもう泣いてしまいました。声を出してわんわん泣きます。そして頭痛もヒドいです。

 元の生活に戻れる気が一切しません。仕事を続けることももうできないでしょう。家から出ることすらもうできなくなって、お金もどんどんなくなるでしょう。泣きながら、今の生活を全て捨てて、もう障害者福祉に頼るしかないんじゃないかといろいろ検索します。
 でももちろん、冷静な判断ができるわけがなく、それよりもまず、スマホの画面にうつる文章の意味が分かりませんでした。記憶も少し混濁します。

 知り合いに、こういった症状に少し詳しい人がいて、電話しました。久しぶりの連絡でした。なぜ今まで連絡しなかったのかというと、最後の砦だったからです。

 まず、何から始まったのか、一から全て話し、電話は2時間を超えます。記憶の混濁もあったので、間違えないようにゆっくりゆっくり話し、それでも時には時系列が混乱し、話が飛びましたが、相手の方でうまく汲み取ってくれました。
 うまく話せない時は、少し感情的になっていたと思います。でもそれも慣れっこの反応だった気がします。

「もし本当に福祉に頼るなら、そこら辺のこともきちんと調べてみて、現実的に判断しよう」

 そう言われたことはハッキリ覚えています。
 
 途中、急に目眩に襲われ、横になっているにも関わらず、視界が震えながらグルグルと回転し始めたんです。気持ち悪くなって、もう喋ることもできなくなって、話の途中だったけど「目眩がひどい」と言って急に電話を切りました。そして横になったまま、意識を失います。

 もうね、両極端なのよ本当・・・。0か100か。激しいか何もないか。双極性、と名付けた人に拍手を送りたい気分です。そのセンス、最高だね!その通りだよ!!

 2020年、今年の流行語あゆみ大賞は「双極性」です。おめでとうございます。