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なんでもかんでも「ストレス」なんですか?

アゴ周りの肌荒れがひどいんです。
鏡見るたびに嫌になってます。
マスクで擦れてしまっているのも原因の一つだと思いますが、軽くネットで調べたら「ストレス」。出た出た、またこれね。はいはい、いつものやつね。
身体の不調を全てストレスの一言で解決されているような気がしてなりません。

20代前半からよくなっていた胃潰瘍も、ずっとストレスだストレスだと言われ続けてきたのに、結局ピロリ菌だったし。
そういえば、ピロリ菌の正式名称は『ヘリコバクター・ピロリ』です。カッコよくない?
しかも頭(?)の上にプロペラみたいなものがついていて、それを回転させながら、移動するらしいですよ。かわいい!痛みは全然かわいくないけど。

わたしは皮膚が弱いみたいで、10年前くらいに原因不明のじんましんに悩まされていたことがあります。

いろいろ調べてたどり着いた最先端を謳っている皮膚科。
そこにしばらく通っていたのですが一向に良くならず、挙げ句の果てに、
「ストレスが原因なんですよ!ちゃんと自分で生活習慣整えようとしてますか?!」
と詰め寄られる始末。
その日から行くのやめました。

どんどん痒みと引っかき傷がひどくなり、途方に暮れていたところ、知り合いが良い皮膚科を教えてくれて、神にすがる思いで、足を運んでみました。
そしたらじんましんも吹っ飛ぶような驚きの連続。

まず外観が異様に古い。流行りの古民家カフェも真っ青の木造一軒家。
そして受付が1階で、診察は2階というバリアフリー完全無視の造り。
のぼる階段も細く、ギシギシなります。

すごいところに来たな・・・。ジブリかな?わたしネコバス乗ったのかな?
思わずキョロキョロしちゃいましたよね、まっくろくろすけを探して。

そして呼ばれて診察室に入ってみてまたびっくり。
マッドサイエンティストみたいなおじいちゃん先生が座っていました。

「どうしたの?」
「あぁじんましんね」
「ちょっと見せて」

取り出したのは大きな大きな虫眼鏡。こっちから見るとおじいちゃん先生の片目が異常に大きく見えるので、ますますマッドサイエンティスト感。ケントデリカット(通じます?)。
もしや看護師さんはフランケン?とびくびく顔を上げましたが、普通のお姉さんでした。

「なるほどなるほど」
「ふんふん」
「そうかそうか」

けっこう長い間、その虫眼鏡で肌を観察されて、診察はそれで終了。
診察中、マッド先生の鼻息がずっと当たってました。近い近い!

ギシギシ鳴らしながらまた階段を降り、1階で軟膏をもらいます。

「先生が調合した薬なので、このケースに入っていますので」

ピルケースくらいの容器を渡されて、1日3回ぬるように言われました。
マッドサイエンティストの調合。な、中身にはなにが・・・?

そしてその日から、あっという間にじんましんが治っていきます。
1日目の夜にはもう痒さが止まっていました。
長い間悩んでいたのに、こんなに呆気なく終わりを告げるとは。

マッド先生は一言もストレスなんて言いませんでした。

「なんかのタイミングじゃない?」

それが診察中に出た結論。

お医者さんに行って「ストレスですね」と言われること自体が、もうストレスになるような気がします。
もしそうだとしても、ストレスを取り除く薬はないわけで、それを分かっているから、助けてくださーいって病院に行くんですよね。

だからマッド先生に「なんかの」とちょっと適当に言われて、わたしはとても気が楽になりました。

最先端が必ずしも良いわけではなく、大きな虫眼鏡ひとつで治してくれる先生もいる。
こんな経験があったので、何でもかんでも「ストレス」と言う先生が、わたしはあまり信用できません。
こんなにストレスフルな世界で、最後の砦でもある病院の先生に「ストレス」の一言で片付けられたら、お先真っ暗なんです。
この暮らしの中で、ストレスを全く感じない人なんていない。
あ、心療内科は別ですよ。

まっくろくろすけは居なかったし、小さなトトロも居なくて残念だったけど、その代わり虫眼鏡片手のマッド先生と運命的な出会いを果たした、貴重な思い出です。

でもね先生。あの軟膏にはなんの成分が入っていたのか、教えて。