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おおきいことがいいこと、とは限らない

娘の保育園では、園庭で熱心に野菜を育てている。専業兼業合わせれば全園児の3分の1は農家の子なので、先生には事欠かない。トマト、きゅうりといった定番から、ゴーヤ、かぼちゃ、落花生、だいこん、ネギ、いちごまで、季節ごとにたくさんの収穫があり、子ども達はそれをとても楽しみにしている。

先日も、オクラを持ち帰って来た。帰宅する車内でしきりに「すごくおっきいのが採れたんだよ!!」と繰り返し、とてもうれしそうだった。家に着いて、娘が自分で通園バッグからいそいそと取り出し、渡してくれた。それを見た私は、ちょっと目を疑った。

ビニール袋に入ったそれは、まるで百合のつぼみかと思うくらいの、おばけオクラだったのだ。育ち過ぎの巨大オクラは、もはや煮ても焼いても固くてとても食べられない。でも、せっかくよろこんで持ち帰ってきたのをそのままポイッと捨てるわけにもいかない。考えた末、輪切りにして、芋版のように星型スタンプとして遊んでみた。それはそれで、娘はとても楽しそうだった。

そう、娘は別にオクラが食べたかったわけではない。ただ、「おおきいの」がほしかったのだ。

子どもは、「おおきい」のがすきだ。ダンゴムシ探しではいちばんおおきいのを見つけたいし、ケーキを切ればいちばんおおきいのがほしいし、背比べするならちょっとズルしてもお友達よりおおきくありたい。「おおきいこと=勝ち、いいこと」と思っている。

けれど、どんな場合でもおおきいこと=勝ち、いいこととは限らない。
今回のおばけオクラ然り。もうちょっとちいさい、柔らかいものの方が食べるには適していた。だから、おいしく食べることを考えればちいさい方が勝ちなのだ。おおきければ万能、無敵というわけではない。場合によっては、ちいさいことがおおきいことに勝つこともあるのだ。

これは、子どもにも通じることだ。あの子はこの子より背がちいさくて、負けかもしれない。でも、お絵描きはこの子の方が得意。うちの子はかけっこではあの子に敵わないけれど、水泳なら負けない。

誰しも得意不得意があり、いろんな特性の子がいて、それぞれがすばらしいのだ。みんな違って、みんないい、のだ。娘が持ち帰った巨大オクラに、そんなことを改めて教わった。

おおきくても固くて食べられないおばけオクラと、ちいさくてもやわらかくておいしいオクラ。まだ難しいかもしれないが、娘にも何か感じてもらえたらうれしく思う。園庭菜園の先生も、喜んで引き受けるというものだ。

#子どもに教えられたこと #育児 #姉妹ママ

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