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デザインワークショップのデザイン

[1] 十河 卓司, 北 雄介(著), 石田 亨 (編集), デザイン学概論 (京都大学デザインスクールテキストシリーズ), PART4-CHAPTER12 デザインワークショップの設計, 共立出版, 2016.
[2] 子安 増生, 楠見 孝(著), 石田 亨 (編集), デザイン学概論 (京都大学デザインスクールテキストシリーズ), PART3-CHAPTER10 教育のデザイン, 共立出版, 2016.
[3] 山内 祐平, 森 玲奈, 安斎 勇樹 (著), ワークショップデザイン論- 創ることで学ぶ, 慶應義塾大学出版会, 2013.
[4] 堀 公俊, 加藤 彰 (著), ワークショップデザイン- 知をつむぐ対話の場づくり(ファシリテーション・スキルズ), 日本経済新聞出版社, 2008.

ワークショップ設計の基礎:
フレームの設計
・目的
・テーマ
・メンバー
・時間
・場所
・準備(ツール、資料、予行演習など)
プロセスの設計
・フロー(展開、順序、ゴール)
・メソッド(使用するデザイン手法)
・ファシリテーション(誰がどのように取り仕切るか)
・アウトプット(試作品、プレゼンなど)

フレームの設計ポイント:
1) プロセス重視と成果重視がある/「〇〇を創る(活動目標)ことで〇〇を学ぶ(学習目標)」
2) 大きなテーマと小さなテーマがある(部分課題と全体課題の関係性)
3) 専門性と俯瞰性(学習者の専門家としての視点と、俯瞰して全体を見るための視点)
4) 実施者と参加者の関係性(介入する度合い、両者の距離感、立場の違い)

プロセス設計のポイント:
設計の時点でもそうだけど、実施しながらプロセスコントロールすべき。
1) 発散と収束、楽観的思考と批判的思考の使いどころの調整
2) 具体的思考と抽象的思考の使いどころの調整
3) 積み上げとジャンプの思考(演繹的推論、帰納的推論、アイデアを飛躍させる「ジャンプ」推論:アブダクション)の使いどころの調整
4) 計画通りの進行と柔軟な進行(予想外の出来事や多様な参加者による協働的デザインの面白さを活かす)
5) ワークショップの時間とその前後の時間(学習効果を最大化するために、前もっておこなう準備、あとから得た知見を活かしやすい仕組みを使う:事前課題、資料の事前読み込み、実施中の情報共有のしくみ、実施後のリフレクションの時間、レポートでの振り返り)

***

教育のデザインには3つの学習観がある。
1. 教授主義的学習観(instructionism):学習とは、学習者が知識(事実知識)や技能(手続き的知識)を獲得することである。例:B.F.Skinner, 1904-1990. プログラム学習の背景にあるデザイン原理。
2. 認知主義的学習観:学習とは、主体的学習者が新しく入ってくる情報を既有の知識に照らして知識や技能を能動的に獲得・構成することによって、認知システムを変容することである。例:Jean Piaget, 1896-1980. 発生的認知論、認知心理学。
3. 状況論的学習観:学習とは、学習者が学校や職場、趣味のグループなどのコミュニティに共同体の社会的実践に参加することを通して、その共同体の成員としてアイデンティティを確立していく過程である。例:L.S. Vygotsky, 1896-1934. 社会構成主義。J. Lave, 1991. 状況に埋め込まれた学習。

pp.172 [2]

近年、教師は教授者というよりもむしろ学習環境のデザイナーとして、学習空間、コミュニティ、人工物、そしてICTを活用した学習リソースなどを用意することが求められている。(pp.172-173 [2])

学習者の学習を促進する要因は以下の4つである。
1. 多様な情報の提供:文字、絵、動画、音声などの利用により迫真性を高める。
2. 学習の個別化:学習者のレベル、興味、関心に適合するように、内容やペースを最適化して、学習者中心のデザインを実現する。複線型教育
ICTの技術だけではなく、教材自体についての知識と適性-処遇交互作用(ATI:内向的な学習者には視聴覚資料を、外向的な学習者には対面講義が適している)に基づく最適化、学習者のメンタルモデルやエラーの原因となるバグを同定すること、学習者の特別なニーズに配慮することなどが重要。これを実現するためにCAI(Computer Assisted Instruction)がある。学習者自身がコースを選択、編集できるようにして学習を個別化し、学習履歴や成果(レポート、作品、成績など)を保存し、電子ポートフォリオに基づいて検索や省察、評価、次の目標設定を容易にする。一方、教師が指導の改善に役立てることができる。

複線型教育の考え方:個人差の背後にその個人の適性や志向性があるととらえ、教育目標自体が個人ごとに選択されるが、ある教育目標のなかでは教育方法は基本的に一定である。ヨーロッパの伝統的な教育体系では、アカデミック教育コースと職業訓練コースが中等教育の時点で分岐する。イギリスのパブリックスクール、フランスのリセ、ドイツのギムナジウムなどは前者の例であり、男女共学で古典語重視の教育を特徴としてきた。(pp.168 [2])

3. 動機づけ:即時フィードバックを行う、適切な足場掛けをおこなう、結果の知識KR(Knowledge of Results)に基づいて学習行動を自己調整させる、成功経験。※学習者が主体として学習を上手くコントロールできているという信念を自己効力感と呼ぶ。
4. 相互作用やリソースの活用:他の学習者との相互作用を促進(掲示板、コメント、チャットシステムなど)、遠隔通信の利用(オープンスクール、バーチャルキャンパスなど)による情報量の多さ、多様さ、得やすさ。

教育デザインの評価:
学習者や保護者などのステークホルダー、教員の意識の状況・変化を把握するアンケートや学力テストなどで評価


pp.180 [2]
この教育のデザイン研究の役割はデザイン原則を見つけ出すこと!


以上。

2019/02/28


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