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目「非常にはっきりとわからない」

目「非常にはっきりとわからない」
千葉市美術館



少し前に行ったのだけど、まとめられてなくて今更ながら感想を。


『目』という現代アーティストチームの個展です。千葉市美術館の改装期間を利用して、1階、7階、8階を使って建物全体で見せるインスタレーション作品。個展と言えども絵を見るとか作品を見るとか明確な対象物があるわけではなくて、建物内で起こる様々な現象を体験、体感する場みたいな。


見に行く前にTwitterでまわってきた感想が「とある大掛かりな仕掛けがあり、それを理解した瞬間に世界の認識がガラリと変わってゾッとします…」「これまでの人生で観てきたものや感じてきたことが根底から覆ります。」とあり、何か明確な謎解きの答えや種明かしみたいなのがあるんかな?価値観変わるのかな?とちょっとわくわくしてたのですが、行って30分後の感想。


「え、まったくわからへん。え、みんなコナンなん?え、わたしがあほなん?は?」でした。


「何か特別な答えがあるはず」という先入観からかもやもやしっぱなしで、

わからないことはすぐグーグル先生に聞きたがりのわたしは「目 非常にはっきりとわからない ネタバレ」って検索したけど(安易)、「なんやこういうことか~!」みたいなやつは出てこなくて、ますます意味不明。なんなん。ともやもやしながらこのままわからへんで帰るのはもったいなさすぎるしどうしてもなにかわかりたいんやけど、という一心で7階、8階をエレベーターで行き来すること1時間。

めちゃくちゃ考えたしめちゃくちゃ目をこらしたけどもう全然わからへんし次々に起こることが複雑すぎてどんどんわからへんくなるしもうお手上げ✋と思ってやむなく帰宅しました。

帰りの電車でもずっと気になりすぎていろんなひとのネットにあがってる感想とか目のインタビューとか読んだり、LINEのオープンチャットがあることを知って参加までしてこのわからへんをわかろうとしたところでやっと気づいたのです。


\わからへんをわかろうとするために考えた時間の大切さよ…!/




わたし、アシスタントやインターンの子達が考えたり調べようとしたりもせず「わからないです」「教えてください」とすぐに答えを得ようとしがちの時に、「よく考えて」って頻繁に言うのですが(怖いって言われるけど😂)、世の中決まりきった100点の答えなんてほぼなくて、選択肢なんて山ほどあるので、自分なりにいろんな選択肢を出してみて、そのなかでより最良なものを選んで行動してみるという経験をしていかないと、結局ひとから言われたことしかできない人間になってしまうと思ってるんです。

もちろんひとから言われたことだけを全うすることで完結する職種もあるとおもうので、一概に否定しているわけではないのですが、少なくとも自分のやりたい夢を叶えたいというひとたちにとっては「自分で考える力」をコツコツ鍛えていくことでしかその夢は叶えられないと思っています。


それとおなじで、言いたいことがわかりづらい現代アートをはじめ、古代の壁画からレオナルドダヴィンチやゴッホやピカソにいたるまで、どんな芸術作品に対しても、文献やキャプションを読んで作品を理解した気になっているだけではなく、「わからないことや疑問に思ったことを自分なりに考えてみる」という視点がなによりも大事なんじゃないかなと。

100点の正解なんてはなから存在しないのだから、それはもう作った本人にしかわかり得ないものなのだから、少しでも本質を知ろうと寄り添うことで自分なりに見えてくるものが必ずあるだろうし、それがアートの面白さ、受け手の数だけ答えがあっていいことを許された世界ということをあらためて感じることのできた展示でした。



ちなみに目は、過去作品でも「なにこれ?」「考える」「視点を変えてみる」を主題にした作品を一貫してつくられているアート集団で、昨年の『越後妻有トリエンナーレ 大地の芸術祭』、おととしの『北アルプス国際芸術祭』でもそういえばそういう作品だったなぁ…!と今更ながら納得。

たくさんの情報に溢れ過ぎている今の時代のわたしたちに、答えは携帯の中にではなく、『考えることで見えてくるものがある』という根元的な気付きを与えてくれるものを創られているのは、現代に生きるわたしたちの能動的な生き方に警鐘を鳴らしている意味もあるのだろうなぁと感じました。

どんなことにも疑問に思おう。考えてみよう。


はぁ~!とにかくこの展示についてめちゃくちゃ考えたから疲れました!(笑)

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