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向田邦子と辞書と謎解き(6)、そして最終回

読友さんからのコメントをそのまま引用させていただく。

某図書館のレファレンスサービスから返事がありました。詳しくはメッセージに書きましたが、私の推理は大外れでした。注文はキャンセルしました。「一冊の辞書をすりきれるまで」とは、向田邦子さんも紛らわしいことを書かれたものです。1974年刊行の新明解国語辞典第2版を見ながら1976年秋にこの原稿を書いたとすれば平仄がぴったり合います。

読書メーター 読友さんのコメント

新明解!
しかも第二版!
もう、びっくり仰天である。

ちなみに。
読友さんはこちらにその辞書を写メでアップしてくださっている。

これを見たときどれだけ興奮したろう。
どれだけ眺めていたろう。
嗚呼。
向田邦子さんはこの辞書を見られていたんだ。


そう言えば「明解」は少し引きにくい。
横書きが右から書いてあるからだ。

向田邦子さんは、1974年~1976年の間に新しい辞書をお買い求めになったのではないか。新しい語を補強したかったのかもしれない。あるいは、右からの横書きが使いにくくなってきたのかもしれない。とにかく、新しく新明解を買われた。使ううちに面白い語釈が目につく。辞書はいつも机の上に広げた状態。ほっと一息つくときにはついつい辞書に目がいく。そんな頃に主婦の友社の「わたしの赤ちゃん」から執筆依頼が舞い込む。テーマは読書の秋にオススメの本。迷うことなく「国語辞典」について書いた。

それにしても。

向田邦子さん所有の新明解第二版はどこにいったのだろう。蔵書データベースを検索しても見つからない。辞書辞典が明国だけというわけでもない。英和や和英や現代用語辞典や隠語辞典などもある。「国語辞典」に書くくらいだもの、その辞書を処分するだろうか。

「新明解 第二版」。

向田邦子さんはそれを持ってお出掛けになったのではなかろうか。あの事故は取材旅行だったそうだ。取材先の台湾でも書こうと思われたのではないか。今と違いネットのない時代だ。言葉、字を確認するために辞書が必須だったろう。幸い当時の新明解は小さい。

「新明解 第二版」をカバンに入れて取材旅行に。
そして事故に。

最後に向田邦子さんのそばにいたのは
「新明解国語辞典 第二版」
だったのかもしれない。


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