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最近目にする”高温ガス炉”というのは新しい型式の原子炉のことで、安全だし、熱と電気をまとめて供給できて便利らしいです。

ざっくりまとめ

最近、岸田総理が新型炉の開発を検討するよう指示したことで、新しいタイプの原子炉に注目が集まっています。
その中でも高温ガス炉というタイプは、その名のとおり取り扱う温度が高いです。化学工場や水素製造施設など、大規模に熱を必要とする施設はいくつもあるので、電気のついでに熱も供給できる高温ガス炉はとっても便利!

日経記事も参照ください。

(原子力の話題がどんどん日経に出てくる状況、隔世の感があります)

高温ガス炉って何?

ものすごーく基本的な原理は、これまでの原子炉と同じです。
つまり、原子炉の中で核分裂を起こすと、ものすごい熱が発生するので、この熱を使って発電します。

今までの原子炉とどう違うの?

大きな違いとして、水が入っているか、ガスが入っているかが違います。

従来の原子炉は”軽水”炉と呼ばれるタイプで、原子炉で水を沸騰させて、その蒸気を使って発電します。
高温”ガス”炉は水の代わりにヘリウムガスを使います。ヘリウムガスは、風船に入っている、吸うと声が高くなる、ご存知のアレです。余計な反応を起こしにくくて、熱伝導率が高いので、熱を運ぶのによいガスです。

そして、高温ガス炉の名前のとおり、温度が非常に高いです。
軽水炉は約300℃ですが、高温ガス炉は約900℃の熱を取り出すことができます。スッゴイアッツイ!!

何がメリットなの?

発電ができることは前提として、同時に上述の高温を供給することができます。
たとえば、化学工場や、これから普及が進むであろう水素の製造向上など、高温が必要な施設はいくつもあります。こうした設備に熱を供給できるので、熱と電気の両方を活用できて効率的!です。

また、高温ガス炉は軽水炉よりも安全性が高いとされています。
熱に強かったり、ほうっておいても冷えていく設計だったり、独自の燃料を使うことで放射能が漏れにくくしたり……と、軽水炉とは異なる構造を生かした安全性があります。

そんな良いものならなんで今は軽水炉を使ってるの?

コンセプトは1970年代……もっと前かも……からあるんですが、すいませんこの辺は詳しくないです。私は設計の人ではないので…。
多分、高温に耐える材料の開発とか、炉内での熱の挙動計算とか、高温ガス炉用の燃料の開発などに時間がかかったんだと思います。あといろんな原子力事故によって原子力分野への投資が減ったことと、原子力って設備投資が大きいのでPDCAが回りにくいことなども要因かと思います。

ちなみに

日本には原子力研究開発機構(JAEA)という組織があって、試験用の高温ガス炉を運用しています。
世界に先駆けて活用するチャンス!(もちろん各国も開発してます)

参考文献

https://www.iae.or.jp/htgr/pdf/00_summary01/00_1.pdf

https://jopss.jaea.go.jp/pdfdata/JAEA-Data-Code-2017-011.pdf


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