#15 必要なデータを導き出す、自分の分析トレーニング

サイトのアクセス解析や、購買データを何となく見られるようになると陥る壁がある。それは、”使えそう”な数字が多すぎて、レポートと考察に時間がかかるわりに本質に辿りつかない問題だ。

私がマーケティング専門部署がある会社にいた頃は、案件毎に必要な数値をスタート時に決め、抽出作業はアシスタントの子が行い、それを見て考察のみをしていた。深掘りが必要そうなところは、自分で必要な数値を引っ張ってくる。しかし、小さな会社で分業することは難しい。ましてや、当社のようなマーケティング未経験者しかいない場合、ちょっと勉強した子が全てを任されることになる。

デザイナーのなっちゃんがまさに今その壁にぶつかっていた。

なっちゃんは、Web解析士の資格を持つ、まもなく入社3年目の女の子。メインの仕事はもちろんデザインで、紙媒体からWebサイトのデザイン、動画の制作を行っている。美大出身で基本的なデザインは出来るのだが「自分には何か足りない」と感じていたときに、マーケティングに出会い『マーケティング思考の出来るデザイナー』を目指し始めた。

なっちゃん「Bossさん、先月のレポートを見て欲しいんですけど・・・」

クライアント提出用のレポートのベースは私が作っていて、それに季節のイベントなど深掘りが必要そうなところをなっちゃんが付け加えている。

私「ねえ、この新ブランド紹介ページへの流入が増えたことの考察なんだけど、モデルさんがInstagramのストーリーズで紹介したからInstagramからの流入が増えたとなっているけど、本当?」

なっちゃん「多分・・・他に考えられる情報がなくて・・・」

私「そのストーリーズって、このページにリンク貼っていたのかな?そもそもなっちゃんがインスタ見ていいな!って思うものがあったときにどういう行動する?」

なっちゃん「え?私ですか?タグが貼ってあればタグ検索をしたり、本当に欲しい時はググります。そのブランド名で」

私「そうだよね。で、今月の検索キーワードで新ブランドは上がってきているの?」

なっちゃん「あがってきてます。あ!そうするとインスタからの流入じゃなくてオーガニック検索に入っているはずなのでストーリーズの影響とは直接結びつけられないか!」

気づいたようです。実はこのお客さま新ブランドの告知はInstagramを中心に行っていて、自社の投稿を増やしていた。インスタの運用は別の会社が行っているため、そこのデータも見ないと本質が見えてこない。

なっちゃん「実は、今分析をするのが楽しくて色々勉強しているんですけど、これも見なきゃ、もしかしてこの数字大事かもって調べ始めると時間がかかりすぎちゃって答えが見えないんです。」

私「そういうときはね、自分だったら何かを購入するときに自分はなぜこれを買ったのかって常に分析する癖をつけるといいよ。マーケターの筋トレみたいなもの」

人がアクションを起こすにはストーリーと何かしらの理由がある。例えば、私が時計を買おうとしたとき

そろそろ新しい腕時計が欲しいな⇒雑誌やサイトで時計を調べる(情報収集)

あ、前に気になっていたGSの時計っていくらくらいするんだっけ?(記憶を甦らせる)

うーん・・ちょっと予算オーバーかも・・・他に何かないかな?(比較対象を探す)

やっぱりGSが欲しい!どこか安く買えるところあるかな?(確度高・ネックは価格のみ?)

このフェイズで新品がいつもより安く買える情報があれば即買い。

と言ったストーリーになるだろう。この流れに当てはめるとどんなデータが必要なのか見えてくるはずだ。データから導き出すのではなく、行動からデータを探していく。データ⇄行動を行ったり来たりするうちに、その精度は増してくる。

私は昔から妄想が好きで、これを買ってくれる人はどんなことを考えているのか?普段どういう行動をとっているのかを妄想し、数字と照らし合わせ、ハマったときに快感を感じる。

いきなり他人にはなれないから、先ずは自分の購買に至る行動や、感情(インサイト)を分析することでマーケティング脳のトレーニングになるのだ。

なっちゃん「なるほど!早速やってみます!」

私「頑張って!ところで、なっちゃん、そのスカート可愛いけど何でそれを買おうと思ったの?」


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