夢と現実 1話
線路を挟んで向かい合う私と彼。
今日、別れることにした。彼は芸人を目指すと言っていた。
売れたら迎えに行く。それまでは芸人として頑張るから一旦別れよう。
売れたらってどの基準なの?何年かかるの?そんなことすら聞けなかった。お互いに好きなのに別れなきゃいけない。こんな悲しい別れを経験するとは思わなかった。
線路を挟んで向かい側。ホームにはチラホラと人がいるものの少ない。最後に彼に大声で
バカヤロー!お前なんて忘れてやるー!
忘れるはずもないのに。その時の彼の表情は悲しそうな感じだった。
最終列車が入線してくる。これが最後の別れだ。
俺はお前が大好きだ!絶対に忘れないからな!
最終列車がホームに到着。私は自然と涙が出ていた。電車に乗り込む。さっきの彼の言葉が頭をループする。
忘れるわけないじゃん。迎えに来るまで待ってるから。
小さい声で呟く。最終列車が出発する。窓際で彼の姿を見たら涙が止まらなくなった。