線路を挟んで向かい合う私と彼。

今日、別れることにした。彼は芸人を目指すと言っていた。

売れたら迎えに行く。それまでは芸人として頑張るから一旦別れよう。

売れたらってどの基準なの?何年かかるの?そんなことすら聞けなかった。お互いに好きなのに別れなきゃいけない。こんな悲しい別れを経験するとは思わなかった。

線路を挟んで向かい側。ホームにはチラホラと人がいるものの少ない。最後に彼に大声で

バカヤロー!お前なんて忘れてやるー!

忘れるはずもないのに。その時の彼の表情は悲しそうな感じだった。

最終列車が入線してくる。これが最後の別れだ。

俺はお前が大好きだ!絶対に忘れないからな!

最終列車がホームに到着。私は自然と涙が出ていた。電車に乗り込む。さっきの彼の言葉が頭をループする。

忘れるわけないじゃん。迎えに来るまで待ってるから。

小さい声で呟く。最終列車が出発する。窓際で彼の姿を見たら涙が止まらなくなった。