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気軽に読書「ネガティブ思考こそ最高のスキル」

また一冊読み終えたので、書籍レビュー。今回は、「ネガティブ思考こそ最高のスキル」
本屋に平積みにしてあるのが気になり、手に取った。内容を簡単に紹介しつつ、アウトプットの機会として、学びを頭に入れていきたい。

この書籍のタイトル、なかなか興味がそそられる。最近私が手に取る書籍は大体において既存の価値観に一石を投じるようなものだ。もっといえば、昭和中期生まれの方々の価値観の窮屈さから逃れる、打ち壊す術を知るべきだと思っている。

本書の著者であるオリバーパークマンもアメリカで猛威を振るう「楽観主義者」たちの考えに反論したかったようだ。冒頭、楽観主義者への違和感から話が進む。

無理やり楽観的な心理を生み出すと、それに反比例して襲ってくる不安やネガティブな感情。それらから目を逸らさず、不安や不確実な状況と向き合うことが大切だと述べていく。
そのような大枠の主張から、目標は本当に有用か?自己とは何か?等、テーマごとに話が展開していく。

不安と付き合う

まず不安感と向き合うことについて。そもそも苦痛とは自分自身が認知して感じているものだと言う。考え方は「問題の外在化」と似ているように思う。自分に執着しないこと、湧き上がる感情や考えを観察することの大切さを説いている。
そして、完全に悪いこととそうでないことを分けて考えることを、例を挙げて説明している。克服の方法として著者が試したのは、電車に乗って駅に着くたびにその駅名を大きな声で繰り返すこと。つまり恥をかくこと。だが、周囲はそれほど関心を示さず、自分が思っていたほどの「完全に悪い状況」にはならないということを経験することになる。
これらは、自我または自己と呼んでいる心の機能の執着を弱めることが必要という主張のようだ。(あくまで私の理解)

目標とは絶対なのか?

また、目標を掲げることも良い面ばかりではないことも著者は述べていく。エベレスト登頂チームの事故を引き合いに出し、目標に執着しすぎると臨機応変な変化ができず、その不安感から逃れたい一心で判断を間違うというもの。なるほど、私はこの点は非常に頷ける。目標を組織的に打ち出されると、心が汲々として
一種異常とも言える集団と化すように思う。昭和の過激な営業(角刈り、灰皿が飛ぶと言われる叩き上げの営業現場)などが当てはまるだろうが、日本人のDNAには未だ色こく残っている気がする。目標をアバウトにしていた方が成果が上がった例も示されており、この点は非常に共感できた。

そして、自己とは何か?というテーマも語られる。デカルトの主張「考える、故に我あり」に真っ向から反論。人は他者との関係性の中で自己が成り立つと捉え、やはり自己意識への過度の執着を戒める。他者への貢献で、その自己意識を弱める。人が幸福感を得るためには、これは不可欠なことだと私も思う。

消極的能力について


「ネガティブ」と認識されている、例えば「不安」「死」「失敗」「不確実性」など、それらは逃げるべきものではなく向き合うことで価値を生む原石だ。それらと向き合う力を「消極的能力」と著者は呼ぶ。
私は「不確実」な状況に身を置くのが苦手だ。つい焦って出口を性急に求めるきらいがあるのは自覚している。本当の意味で「強く」なりたいものだと思う今日この頃。
加えて、目標に縛りつけようとする組織哲学や、熟考を許さず行動のみを促す風潮には強い違和感と反感を感じながら生きている私である。

既存の社会や組織の意識は簡単には変えられないだろうが、自身の消極的能力は高めていけるよう意識革命をしていきたい。
時間のある方は、ぜひご一読を。


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