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難病に関する医療費助成とソーシャルワーカーの姿勢

新年度を迎え、あたふたな日々。全集中しすぎて、頭がぼんやりする。全集中常駐ができるように頑張らねば。
上の写真は職場の新人歓迎会でのもの。たまには品のある料理を味わうことも人生において大切だと思う。文化的な生活というものの中には「食」も含まれるはずだ。

さて、今回は難病の話。難病については、地域包括で働いていた頃から時々、医療費助成の相談に応じたり、特定医療費受給者証の更新手続きを手伝ったりと、縁はあった。最近はめっきりそのようなことも減っていたため、知識が曖昧に・・。指定難病338疾患は覚えれるはずもないので疾患についてはひとまずスルー。指定難病への医療費助成についてまとめつつ、難病患者に関して必要な相談支援について考えてみたい。

そもそも難病とは?


難病とは、「発病の機構が明らかでなく、かつ、治療方法が確立していない希少な疾病であって、当該疾病にかかる事により長期にわたり療養を必要とすることとなるものである」と難病の患者に対する医療費等に関する法律にある。同法によると、指定難病とは、「難病のうち、①患者数が国内において一定の人数(人口の0.1%程度)に達しない、②客観的な診断基準が確立していること、を当該難病の患者の置かれている状況からみて、良質かつ適切な医療の確保を図る必要性が高いものとして、厚生科学審議会の意見を聴いて厚生労働大臣が指定する」となっており、現在338疾患である。

以下、説明を記していくが、難病情報センターのホームページに詳しい。私は以前から難病についてわからないことがあれば、このページにお世話になっている。

医療費の助成


この指定難病に対しての医療費助成の制度を「特定医療費の支給」と呼んでいる。この実施主体は、法律では都道府県及び指定都市である。
額としては、一月につき、同一の月に受けた指定特定医療(食事療法及び生活療養を除く)に要する費用の額から、患者またはその保護者の家計の負担能力等の事情を斟酌して、政令で定める額(自己負担上限額)を控除して得た額とされている。つまり、患者個人の医療費負担には限度額が適用されるということである。
負担限度額(上限額)は以下の通り。


※「高額かつ長期」とは、月ごとの医療費総額が5万円を超える月が年間6回以上あるもの。例えば、医療保険の2割負担の場合、医療費の自己負担が1万円を超える月が年間6回以上)

支給対象となる医療


この助成の対象となる医療費については、指定医療機関(後述)が行う診察、治療や薬剤費のほか、訪問看護や訪問リハビリなどの介護サービスも含まれる。(一部難病は医療保険)


支給を受けるには


住所地の管轄となる保健所にて申請する。申請書のほか、住民税の証明なども必要となる。大切なのは、診断書(臨床調査個人票)だ。疾患の証明だけでなく、疾患ごとに定められている重症度分類の程度を証明しなくてはならない。
例えば、パーキンソン病であれば、ホーエンヤール重症度分類にて3度以上(軽度から中等度パーキンソニズム、刺青反射異常あり)かつ生活機能障害度2度以上(日常生活、通院に部分的介助を要する)を対象としている。この判断は医師次第という事になる。

軽症高額該当


上記のように、重症度分類には該当しなくても、難病の医療費助成を受けれる場合がある。それが、軽症高額該当と言われている。申請に必要な条件は、指定難病に関する月ごとの医療費総額が33,330円を超える月が3回以上ある場合だ。要件を考慮する期間は、①申請日の属する月から起算して12ヶ月前の月 または②指定難病を発症したと難病指定医が認めた月(臨床調査個人票の基本情報のうち発症年月欄に記載された月)を比較し、いずれか後の月から申請日までの期間 とされている。
通常の医療費助成の新規申請に併せて申請することも可能だ。

医療受給者証が交付されたのち


まず、有効期間がある。原則として、申請日から1年以内で都道府県・指定都市が定める期間とされている。つまり、1年ごとに更新申請が必要となる。

また、自己負担上限額管理票というものも交付される。これは限度額以上に本人から徴収しないようにするもの。複数の医療機関にかかる場合、持参してその都度記入してもらう。


ソーシャルワーカーに求められる支援の姿勢とは


医療費の助成制度の基本について伝えることは、病院のソーシャルワーカーが主に担ってくれている。地域包括や後見人等、地域でクライエントを担当しているソーシャルワーカーが担うべき役割とはなんだろうか。
まず、疾患が難病である場合、この制度について説明する必要がある。病院側からは重症度がこの制度の対象にならない程度だと判断され、患者本人に説明がなされていないこともあるからである。この場合、患者本人に制度について説明し、患者の側から医師に制度利用の可否を確認してもらうことも有意義だ。医師まかせ、医療機関任せが過ぎては、さまざまなことが後手に回る恐れもある。←(個人的見解)
患者本人が自らの権利を行使できるように情報提供だけでなく具体的に行動する方向性を提案することも、私たちの役割ではなかろうか。

そして、実際に医療費助成の対象となる場合、申請が必要となる。高齢者一人暮らしかつ親族が身近にいない場合は、保健所で続きを行うため多少の支援を要するケースもある。私も地域包括にいた頃、申請や更新の際、本人に付き添ったこともある。症状によっては代理代行を検討することが必要だが、ソーシャルワーカーは何らかの機関に属している場合が多く、それぞれに役割という枠があり柔軟な対応が困難な場合がある。しかし枠にばかり囚われると支援が限定的になってしまい、支援が必要ながらも誰も手を差し伸べないという宙ぶらりんな状況が発生してしまう。「宙ぶらりん」な状況から生じる心理的負担感というものは、私はクライエントにとって有害以外の何物でもないと思う。「どこに相談したらいいの?」「私じゃできないけど、誰に頼めばいいの?誰もいないじゃない・・。」「所詮は自分一人でなんとかするしかない・・もうこのままでいいわ」と、結局孤独感につながる。ぶつ切りの支援では、このような心理状態が生じてしまう。ともすれば、心を閉ざしてしまい、自暴自棄→セルフネグレクトに至るという構図も多いように感じている。

大袈裟だと思われただろう。あくまで医療費助成の申請・更新1つに限れば、このような最悪な結果に至らないかもしれないが、積もり積もってということもあるし、生活保護に関して福祉事務所のワーカーとの冷たいやりとりに疲れて・・ということはあり得るのではないか。
であれば、各機関が自分の役割の枠を超えて・・ということが理想。重層的相談支援体制が叫ばれている現在、各機関が役割という枠を超えることはもちろん、ソーシャルワーカー自身が役割に縛られ過ぎず、クライエントの抱える課題に向き合う、課題解決が自分だけでは難しいならば社会資源を開発していくよう働きかけるということが求められている。

難病医療費助成から思索が飛躍し過ぎた(笑)
公的機関以外に、ソーシャルワーカーとして有料ではありながらも福祉的相談支援を受け付ける事務所があってもよいのかもしれないと思う今日この頃だ。


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