Be Professional!
「プロフェッショナル」という言葉を聞いて、あなたが最初に思い浮かべるのは、どういう人だろうか?
野球やサッカー・バスケットといったプロスポーツ選手、画家や作家・音楽家といったアーティスト。歴史上に名を残した人物、人々の記憶に、記録に残っている人物。そう、何かに秀で、またはそこに向かって大きな努力をして名を残した人物がぱっと浮かぶだろう。
そして、次に思い浮かぶのは身近で成功した人。仕事であれプライベートであれ、こちらも何かの実績を「残した」「なし得た」人だ。
では、その過程にある人はプロフェッショナルではないのか?
熱狂的ベイスターズファン
野球シーズン中の昼休み、noteの通知を開くと彼女のブログが上がってくる。前日の試合について、現地でまたはテレビを通じて観戦して彼女が感じたことを、『翌日一呼吸おいて客観的なファン目線で』綴っているコラムだ。
「客観的」と彼女は言うが、中身は他球団ファンから見てもとても熱狂的だ。
『群青日和』と名付けられたそのコラムからは、文体こそ淡々とすれ、球団への、選手への、そしてパートナーと家族への愛情がいつも溢れている。その情熱に、時にクスリと笑い、時に目頭に熱いものを感じる。
特定のどの選手が好きということはなく、いわゆる「箱推し」だそうだが、望遠カメラで彼らの心の中まで覗き込んだように、毎日のコラムは選手の一挙手一投足にピントを合わせて書かれている。試合経過と取り巻く情景、その選手の見どころをうまく組み合わせているそのコラムたちは、日々書き続けた彼女の努力の軌跡だ。
そして、ファイターズファン
どこか一球団しか好きになってはいけないという法律があるわけではないので、もちろん複数球団ファンなのはなんの不思議でもない。しかし、横浜生まれ横浜育ちの彼女と、2004年から本拠地を北海道に移した日ハムとのつながりが分からない。ファーム球場も千葉・鎌ケ谷と、横浜からは軽く1時間半はかかる。
理由を聞くと、0.5秒で帰ってきた。
「そりゃ、偏愛選手名鑑を書けば、選手のことをもっと知りたくなりますよ」
『偏愛選手名鑑』とは、2021年3月から毎年文春野球学校名義でリリースしている、ファン目線で書いている選手名鑑のことだ。2024年版も開幕に合わせてリリースされた。
神奈川県内高校出身の選手も多く、ベイスターズとの交流戦時に「スタメンをズラッと横浜高校出身で並べましたけど何か?」打線を組んでくる新庄監督のストーリー性も大好きなんだそうだ。
そんな彼女の推すネクストブレイク候補は、根本悠楓投手。地元北海道の苫小牧中央高校出身、プロ2年間で1軍平均防御率2.63は、確かに3年目覚醒の予感しか感じない。
なかったことにしたくない
そんな彼女も順風満帆に野球ファン人生を歩んでいるわけではない。
大病の荒波を乗り越えたかと思えば、あらぬやっかみを受けたこともある。無視する・見なかったことにするという方法もあるとは思うが、彼女は強い。
「殴りかかった来たほうが悪いのに、なんでこっちが耐えて頑張らないといけないの?嫌だって気持ちをきちんと伝えて、なんなら一生言い続ける。そこまでしても、やった側に加害者意識はないと思うけど」
シーズンオフのハマスタを見上げる彼女が、ふと、『3月のライオン』の登場人物・ひなちゃんと重なった。
夢叶うその日まで
彼女が文春野球学校に在学し、仕事でも広告制作に携わる理由も明確だ。
「プロのライターになりたい。だから、とにかく書き続けてるんです。仕事でもプライベートでも書き続けていれば校閲・校正というプロの目を通して修正もしてもらえるし、誰かの目に止まることもある。実際、京田選手のコラムを書いた時に中日ファンに届いて、いろんな意見をしてもらえたことが、本当に嬉しかった。モノの見方が1つじゃないって、視点も広がったし」
求められるクオリティで限られた時間で期日までに必ず仕上げることがどれだけ難しいことか。日々サラリーマンをしていても思うのに、「納期を過ぎた瞬間、それは仕事じゃなくなっちゃいます」とサラリと言いのける彼女は、本当に強い。
もしかしたらその強くない部分を見せていないだけかもしれないけれど、プロフェッショナルを目指す彼女はとにかくブレずにこのまま突き進んでいくのだろう。いや、もう彼女はプロフェッショナルだ。
そんな彼女に、人生を少しだけ長く生きている私から一言だけ贈りたい。
「大丈夫、アナタは最強」
#ヤクルトスワローズ #Enlightened #swallows