見出し画像

憑き物落としと裕次郎の湯治宿

3日目

夜明けと共に目が覚める。障子は薄く明るく、読書もできる明るさになっている。そのまま布団の中で『狂骨の夢』の続きを読むことにする。

やっと解決編、憑き物落としである。髑髏の使い道が明かされる。色々あるんですねえ。そのうちの一つは酒池肉林の上で生成された和合水を糊として金箔を貼り御神体とするのだという。その悪臭は想像するにあまりあり、黴が生え腐り落ちるのであろうと思うのだけれどそこは神力でなんとかなるのだろう。

朱美の謎が解き明かされる。家が並びで2つある脳髄屋敷の解説。そういうことかと膝を打ちつつ、宇多川お主仕事と偽って2人の朱美を囲っていたのか!?と先走るが、そうではないようである。いさま屋が会ったのは憲兵と結婚した左の家にいる朱美、それ以外は右の家の朱美。私は最初の描写からずっと左の家を想像していたので、まんまとトリックにハマっていることがよくわかる。

それにしても戦後の再婚なんて女にとっては再就職みたいなもんだろうに、両方愛され妻で微笑ましい。いや顛末は全く微笑ましくないが。なぜ宇多川が最後に引っ越さなかったのかが悔やまれる。

京極堂の憑き物落としの終わりに、件の悪臭を放つ髑髏作成部隊のボスが唐突に即身仏になっており驚く。これは最初から死んでいて、鴨田が暗い中二人役をしていたみたいな話なのだろうか。腑に落ちないまま読了。

時間は6時45分。あと15分で風呂に入れると思いながら、…寝た。

夫のかけたアラームに起こされる。7時45分。なんだこの半端な時間のアラームは。
慌てて風呂に入り、最後のご飯。お酒が一杯残っていたのでそれも一緒に飲み切る。無事読書もやり切ったので、あとの時間は温泉に入ることにする。

ぬる湯でぼーっとしていると脳にふらりと朱美が出てくるが消す。最後の風呂は徹底的に無心で入る。
水を飲んで仮眠をとるとチェックアウトの時間。女将さんに下部の水のペットボトルをもらう。しばらくこれで米を炊こう。


身延へ

今日は何もやることが決まっていないのだけれど、まずは昨日買いそびれた身延まんじゅうを買いに身延駅前へ向かう。大家さんに12個入りを、うちに12個入りを買うとおまけでバラが2つ付いてきた。ゆるキャンの聖地・まんじゅうベンチでいただく。

まあここまで来たし久遠寺に行くかという気持ちになってくる。参道へ続く道を上り、途中湯葉と椎茸とゆるキャングッズの店「武州屋」に寄る。ミルフィーユ湯葉と、ゆるキャンラベルのクラフトビールを購入。ビールは早速開ける。

どんどん上がっていくと、路線バスのルートがあって寺の裏まで車で行けた。すぐ下には有料駐車場。このルートはいいねと言いながら、そのまま詣でずに下る。

車なのに汗をかいてしまった。うむ、もう一度風呂だな。


石原裕次郎の宿 下部ホテル

駅前にあるこの立派なホテルは、石原裕次郎がスキーで足首を粉砕骨折した時に湯治をしたことで有名である。下部共同源泉に加えて敷地内自噴の硫黄泉があるという。

丁度父が足を怪我して松葉杖をついている。それもあって母からしばらく実家に帰らないように言われているのだが、そろそろギプスが外れるのでリハビリを始めようなどと言っている。
じいさん仲間で湯治の話になり、北海道にいる友人に二股ラジウム温泉を勧められたという。二股ラジウム温泉といえば熊を轢いて頚椎骨折をし、右手の麻痺が残ったのを2週間の湯治で完治させたという話を知っていたのでそりゃあきっと効くだろう。

ただ、父はこの前まで悪性リンパ腫の治療をしていた訳で、病気に怪我に賑やかなことだが下手に放射能があるものに入れていいのかよく分からない。大体父は無駄に長いのでLCCやの機体では膝が収まらないらしく、そうなると往復の航空券もかかる。
それなら下部ホテルがもし良ければ、その分を宿泊費に回して長期で湯治をすればよかろうと思ったのであった。

果たして、下部ホテルの温泉はとても開放的で綺麗でバリアフリーで、怪我人の療養にはぴったりのお風呂だった。
内風呂は自噴のぬる湯と共同源泉の沸かし湯、半露天は新源泉と地下水の沸かし湯。強いていうならぬる湯が一つだけで狭いことがいまいちか。でも狭いとはいえ十分に5人は入れそう。橋本屋などがあるエリアは奥下部というのだろうか?あちら側にある宿はバリアフリーにはなっていなさそうなので、駅前にあるこちらは色んな意味で丁度良いお宿のようである。
お土産に入浴剤を購入。おすすめしておこう。

と、いっても私にとっては広すぎて綺麗すぎて逆に落ち着かないお風呂なのであった。古すぎるのも嫌なので、なかなか塩梅が難しい。これからも開拓していきたいものである。


旅の〆

みんな大好き柳に寄って、酒を飲む。


いい夏休みであった。


おわり。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?