シェアハウスインタビュー vol.3 ちゅーそんさん
私は今、約140人規模のシェアハウスに住んでいます。
そこには様々な経歴、面白いキャラクター、素敵な価値観のひとたちがぎゅっと揃っています。
せっかくだから、この家に住んでいる間にいろいろなひとのお話を聴いてみたい!とはじめた企画です◎
第3回は、ちゅーそんさんにお話をお伺いしました。
<まずは自己紹介をどうぞ!>
ちゅーそんといいます。生まれは関西で、大阪と神戸に10年ずつ、そのあと就職で上京して東京7年、途中に岩手に4年住んでいました。
趣味はyoutubeを見ることや筋トレ、洋服などで、最近はお笑い芸人の又吉のYoutubeチャンネル「渦」がおすすめ!(笑)筋トレ系Youtuberの動画も見ながら筋トレもしてる。
コロナの影響で、自分の食生活や時間がある程度コントロールできるようになったから、このタイミングで筋トレの結果が出せなかったら、一生できないだろうなと思って始めてみた(笑)
半年で体重が3キロ落ちたんだけど、重要なのはそこじゃなくて脂肪が落ちて筋肉量が増えたことかな。例えば腹筋が割れたり、筋肉の筋が見えてきたり、ウエストが細くなってズボンが入るようになったりして、見た目がかなり変わってきたと思う!
洋服は、今セリーヌのチーフデザイナーのエディ・スリマンっていうデザイナーの服が好き。もともとクリスチャン・ディオールのメンズ服のデザイナーをやっていたときに有名になった人なんだけど、その人のデザインが好きなんだよね。
服は、「俺はこういうやつ」っていう自己表現だと思うのね。色使いやサイズ感、ブランドかどうかとかで着ている人の好みやどう思われたいかがわかるし、人からどう見られているのかに無頓着なのか、とか物事にどれくらいこだわりが強い人なのか、とか色々わかるしね。
あと、デザイナーの人たちが服をどういう風に作っているのか、という記事を読むたびに、このシンプルなTシャツにそんな思想や哲学があるのかと、感動できるしね。
昔は俺も洋服に無頓着だったんだけど、大学生の頃に、母親に「あんたださいよ、自分で気づいてないかもしれんけど」って言われたんだよね(笑)
その当時は、よくわからない猫のキャラクターがプリントされた緑色のTシャツと、親が買ってきたジーパンとかをよく着てたんだけど、「これを読んで勉強しなさい!」ってファッション雑誌を渡されて、衝撃を受けた記憶がある(笑)
<ださいよって直球で言われたのは面白すぎる(笑)
それでは、お仕事は今何をしているの?>
経営コンサルタントという仕事をしております。
簡単に言うと”会社のお医者さん”かな。会社を人体に見立てたときに、その人が健康に生き続けるために何を改善すれば良いか?を診察して治療案を提示、改善の伴走をしてる。
例えば聴診器をあてて診察したり(財務諸表を読んだり笑)、トップの人はこう考えているけど内臓の人たち、つまり部下の人達はしんどそうだけどどうなの?というのを細かく検査(ヒアリング)して、こういう手術をしたほうが良いよって処方箋(事業改善計画)を出して、手術をする。最初の診断から手術・術後サポートまで、全てをやる感じかな。
一般的なコンサルのイメージである“戦略コンサルタント”という人たちは、診断を行って処方箋を出すけど、「あとは自分で手術をして、薬を飲んで、リハビリもやっといてね」というような関わりになることが多いんだけど、リハビリを患者さんが自分だけでやるのは無理じゃない?と思うんだよね。
だからいわゆる“実行支援”と言われるような、リハビリまで一緒にやる総合コンサルの会社で働いてる。
<リハビリまで一緒にやってるの、わかりやすい!(笑)
その仕事を始めたきっかけは何かあったの?>
もっと地域での経営や事業開発を体系的に、広範囲で取り組みたいと感じたからかな。
2013年の4月に岩手県釜石市というところに行って、総務省からお金をもらいながら約4年間、復興支援の活動をしていたんだよね。
例えば、津波で建物が流されたエリアのまちづくりってどうすれば良いんだろう、ということを行政や地域の人と一緒に考えたり、地域の復興支援活動を行う会社やNPOの活動支援や組織のマネジメントを行ったりしていた。
あとは、地域の経営者さんと一緒に、「Kamaroq」という会社を立ち上げて特産品を作ったりもしていた。(http://www.rise-tohoku.jp/?p=11651)
ホタテ味、シャケ味、サバ味の3種類からなる“うみまん”という海鮮中華まんじゅうや、ウニのリゾットを作ってみたり。基本的に地方や東北は、ビジネスの構造上お金を稼ぎにくくなっているから、地域にお金が入ってきにくくて、全体的に給料が低かったりもする。だから、地域にお金が入ってくる仕組みを作ろうと思って始めた事業だったんだよね。
「会社の大きさは経営者の器によって決まる」ってよく言われているんだけど、ある時それを痛感したんだよね。自分の能力ではできないことがいっぱいあって、このままだとこうしたいと思っている会社や地域の状態にいつまでたっても到達できないと思った。
現場で一人で実践だけを続けたときに、できることが限られてると思ったんだよね。
それで、もっと地域での経営や事業を体系的に整理したり、会社だけでなく行政やNPOを含めた地域全体で良くなる仕組みづくりに取り組みたいと思って、今の会社に入った。
<そうだったんだね。今は学びたいと思っていたことができている感覚はある?>
うん、あるある!
経営コンサルって、本気のビジネス観光をやっているような感覚かな。色々な経営や事業に幅広く関わらせてもらうんだよね。そこに定住はしないけど、観光や多拠点居住のような感覚で、そこにいる間はめちゃくちゃ本気で考えて取り組む。
一緒にその土地の人と何かやって、また違う人と違う場所でビジネスをやる、みたいなイメージで、そうやって色々な事業に関わる中で、アナロジー的な思考を身に付けられているかなと思っている。
アナロジー的な思考っていうのは、違った物事から共通点を見出す考え方ね。例えば、コンサルタントとお医者さんはやってることは全く違うけど、似たような流れで仕事をしている、みたいな感じかな。
共通点を見出したり、逆にここは違うよねと考えることによって、色々な視点や観点を増やせているのが面白いかな。
<確かに、わからない人にわかるように説明するのがとても上手だなあと思った!
自分の力の限界を感じてスキルを磨きたい!と思って今の会社に入ったと思うのだけど、スキルがついた先ではまた地域復興をやりたいと思うのか、それともまた違う道に行きたいのか、どう思っている?>
それはとても悩ましいし、どちらもやりたいと思っているかな。
“支援者”と”実践者”みたいなものをどちらもやりたいっていう感じかな。
釜石にいたときは「釜石リージョナルコーディネーター」という行政支援と、1プレイヤーとしてのKamaroqと、どちらもやっていたのね。今考えれば、スキルもないのに両方やるのは無茶をしたなって思うんだけど、当時自分で会社を始めたきっかけは、支援者であることのもやもやを感じたことだった。
お手伝いやアドバイスはするけど、あくまで町の人が主役で、町の人たちが継続的にできる範囲でサポートをする必要がある。それはもちろん大切な考え方なんだけど、自分たちは支援者だからここまで、という線引きをしてしまう、ある部分で責任を避けてしまうこともできて、その立場に疑問を感じてた。
だから、もやもやするくらいなら、自分でも責任やリスクをもってやってみようと思って、借金して会社を作ってやってみたんだよね。実際に実践者としての活動は本当に楽しかった。
一方で、人生において一番しんどい時期でもあった。何かあった時に自分の仕事がなくなるだけだったら平気だけど、家族がいる従業員の生活がかかっていたからね。
支援者も実践者もどちらも実際にやってみて、性に合ってるのは実践者かなって思った。だけど、頑張っている人を支援したり一緒に事業を作っていくのも、やっぱり楽しいなって思ったんだよね。
今やっているコンサルは支援側だから、もどかしい感じがする時もある。実践者の時より、自分でリスクをとって事業の意思決定ができないしね。でも、地域経営の仕組みを作ったり、支援者としてのスキルを高めるには、今は集中してやらないと中途半端になるから頑張ってる。
でも、将来的にはまた実戦の場に入ると思う。
40代は実践者として事業会社でプレイヤーとして働きながら、フリーでコンサルタントをして、実践者と支援者の両方やれるといいなって思ってる。
<なるほどね!ちなみに、今後実践と支援を両立させて働いていくときに、どういう領域でやってみたいと思ってるの?>
特にどういう領域が良いっていうのがないんだよね。
決めているのは、この人好きだなっていう人と一緒に仕事したいということ。利他主義と利己主義が繋がっている感じの人がいいかな。例えば、「あなたの笑顔があればそれだけでいいんです」みたいなのは怪しいと思うんだよね(笑)逆に、「笑わせられないと悔しいから、笑かしたいんです、それは俺のプライドのためでもあるんです」みたいな人のほうが信用できる。
相手のプラスが自分のプラスにもなっているって思っている人は強いし、本当だなって思う。そういう人が釜石にはいっぱいいて、格好良いなと思ったんだよね。だから、そういう人達と仕事をし続けたいと思う。
今の会社でも地方創生という文脈の仕事をやっているのは、利他主義かつ利己主義な人たちがそういうエリアに多いと思っているからなんだよね。もちろん東京や海外にもそういう人はいるし、エリアはどこでもいいのかもしれない。さっきも言ったように分野もこだわりはない。
思いがあって行動している人がいて、俺自身もワクワクするし力になれそう、みたいな事業があったら一緒に働きたいっていう感じかな。
<利他主義かつ利己主義な人たち、素敵だね。
領域よりもそういう人と一緒に働きたいと思うようになったきっかけは何かあるの?>
それはもう間違いなく釜石での経験だね。
仕事って課題を解決するものじゃん。でもさ、課題って人の解釈にすぎないんだよね。
そう考えたとき、誰と働くのか、つまり「誰からみた課題を自分の課題と設定するのか」が大事だと思った。地方の課題としてよく言われる人口減少、少子高齢過疎も、それ自体はただの現象で、それが良いのか悪いのかはとらえ方によって違うよね。
政治家からみたら人口が減ると選挙の票が減るから困るだろうね。でもヨーロッパからみたら面積あたりの人口は日本のほうが多いことを考えると、こんなにいっぱい人がいなくても幸せに暮らせるんじゃない?とも考えられる。
人に無理して頑張らせなくても、適度に維持できる人口規模や産業の規模はあるんじゃない?と言っている人もいる。そうやって考えると、見方によって同じ現象の捉え方はまったく違うんだよね。
だとしたら、自分が共感して一緒に取り組みたくなるような課題感を持っている人と一緒にいることが重要なんじゃないかなと思うようになっていった。
あとはやりがいと経済性のバランスをとることも大事だと思っている。
二項対立と言って、何かと何かは矛盾していて相容れないって話がよく言われるんだよね。
基本的にはそういうものだと思うけど、イノベーションの偉い先生が「二項動態」という話をしていて。対立しているものを混ぜる、両立を目指すことで新しいものや新しい生き方が生まれるという考え方で、それを聞いた時になるほどなと思った。
復興支援や地域活性って、やりがいはあるけど儲かりませんってよく言われるじゃん。
今は「そういうものだよね」と納得しているからその状態が続いているけど、「やりがいがあって面白いし、かつ儲かります」みたいな仕組みを作ろうとしている人たちもいっぱいいる。
それがすごい面白いなと思ったんだよね。普通だったらどちらかひとつを選んで諦めるところをわがままに突き通そうとして、「両方ともやるにはどうしたらいい?」と考えるところから始める。自分が生きたいように生きることを諦めていないんだよね。
だから、自分もそういう生き方をしたいと思っている。
支援者であり実践者として、面白い人と面白い事業を形にしていきたいな。
とはいえ、ずっと「お金が儲かりません」っていう状態は継続的じゃないから、きちんとお金を生み出せる状態を作るのも重要だと思っているよ。
<どっちもとる考え方、素敵だなあ。
そうやって次から次に頑張っていけるのは、もともとそういう性格だったの?>
いや、そんなこともなくて、大学のときは超保守派ピープルだったよ。自分のコミュニティから絶対出たくないから関西で死んでいくんだって思ってたし、9時-17時の仕事をして家に帰ったらゲームをして過ごすんだって思ってた(笑)
それが、人の出会いで変わった感じはするかな。
そもそもうちの母親がファンキーで、お店を経営したり、基本的に攻めの姿勢が強い人だから、そういうマインドは植え付けられていたところは大きいかな。あとは、上京して色々な攻めてる面白い人と話をして、徐々に変わっていった感じかな。
<ちゅーそんさんでも保守派な時があったんだ!(笑)
それでは、シェアハウスに引っ越してきたきっかけは?>
すずきあゆみという某友人がいまして(笑)
「引っ越す予定で、良いシェアハウスないですか?」とFacebook投稿をしていて、コメント欄が盛り上がっていたのを偶然ちらっと見たんだよね。
それで「この物件いいらしいよ、新しいところができるらしいよ」ってリンクが貼ってあって、そうなんだって思って押してみたらこのシェアハウスの紹介と内覧日が出てたのね。ちょうどその週の週末で、これが最後の内覧会って書いてあったから、行ってみた(笑)
もともと引っ越す予定はなかったんだけど、今のままでいいのかなとは思ってたんだよね。
当時は超コスパ重視のノー交流シェアハウスに2年くらい住んでいて、家に帰って寝るだけの生活をしていた。目前にはオリンピックが迫っていたし、オリンピックぐらいはみんなでワイワイしたいなって思ってて。内覧した時になんか面白そうだなと思ってその日に決めて引っ越してきた。
Facebookのコメント欄を見ていたときは、まだあゆちゃんはどこに住むのか決めていなかったから、てっきりここには来ないものだと思ってた。むしろ入ってきたんだって思って驚いた(笑)
<わたしも最初「え?なんでいるの??」ってなったよ(笑)
まもなく引っ越してきて1年経つと思うけど、どういうところがいいなあと思う?>
一言でいうと、計画的偶発性があるところかな。
アメリカの偉い学者さんが成功者の成功法を調べようと思って、いわゆる「成功者」と言われるような大企業の経営者たちにインタビューをしたのね。
「あなたの成功ストーリーはいつから計画していたんですか?」「最初に思い描いた通りに進んでいますか?」と聞いたところ、ほとんどが思った通りに進んでいなかった。
働き始めた当初は今のように成功しているなんて思ってもなかったけど、ただみんな人生の中でジャンプするタイミングがあったんだよね。
そして、ジャンプが起こるような場面を意識して作っていたんだって。例えば、人に出会うことや仕事の場所を変えてみることのように、今の延長線では想像できないことが起こりそうな場面を自分で作っていた。
まさにここは、そういう場所だと思っている。
人生が変わるターニングポイントが生まれるような場所だなって思っていて、そこがすごくいいよね。一生いるわけじゃないけど、この数年間一緒に住む中で起きた出会いや何かが、それぞれの今後の人生に影響するんだろうなって思う。
<ちゅーそんさんは支援者のような感じで住人みんなのことをサポートしてくれているイメージがあるけど、自分自身にとっても計画的偶発性だなって思う瞬間はある?>
もちろんあるし、そもそも俺もめちゃくちゃ勉強になってて、それが楽しい。
さっき話したような、アナロジー的な思考とかもそうだけど、そもそも根本的なところに好奇心が強い部分があると思う。
例えば、俺の専門分野の話だと、同じレベルで話せる人は少ないかもしれないけど、エンジニアの人から「こういうことがあった」と聞いたときに、「コンサルの仕事でいうとこうかも」みたいに繋げて考えることができるのが楽しい。
自分がすでに知っている知識と繋げて新しい視点や観点を得るみたいなものでいうと、老若男女誰と喋っても勉強になるからね。
相談されてアドバイスを求められる時も、アウトプットするのは自分の考えの整理にもなる。その人のアクションに繋がるような回答はどんなものかなって考えるのは結構頭使うしね。
自分だったらどうするかとか考えるのも面白いし、自分が体験できない人生を追体験している感覚があるよね。俺がコミュニティマネージャーをやっていたらこうなるのかなとか、エンジニアだったらこうなのかな、とか擬似体験ができる。
本を読んでいるのに近いのかもしれないね。それはすごく面白いと思う。
そういった、普段出会えない職業や属性の人と話をして刺激を受けることで、きっと将来を振り返ったときに、このシェアハウスに入ってたから今の自分がある、と言える時が来ると信じてるよ。
<確かに、私も1on1してもらってるしね(笑)
貴重なお話をどうもありがとう!>
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