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映画「Most Likely to Succeed」を観て

ミライプラスが主催する上映会に参加してきました。
そこで得た学びを共有させて頂きます。

この映画はカリフォルニア州サンディエゴにある公立チャータースクール
High tech high(HTH)に通う高校生の学びの姿を移したドキュメンタリー映画である。

HTHではプロジェクトベースメソッド(プロジェクトベースドラーニング/PBL)を採用したカリキュラムとなっている。

<PBL教育>
生徒または学生がプロジェクトを遂行することを通して学ぶというもの。2010年代ごろから教育現場に広げられつつあるアクティブラーニングの具体的な教育手法の1つでもある

映画の中では文明の誕生や滅亡についてを、ギアやチェーンをつかって表現するといったプロジェクトや、学んだ内容を劇にするといった取り組みに奮闘する生徒の様子が描かれている。

生徒たちは、学期ごとに行われる発表会に向けてプロジェクトの完成に学校生活の大半を費やすのである。


□ 今までの教育が子どもたちに与えているもの

現在の教育カリキュラムは130年前につくられたカリキュラムを現在も運用しているという実態がある。
そもそも教育とは頭の良い裕福な人たちが未知の領域について机を囲み、語り合うといったわくわくするものであった。それが約130年前に一般市民にも平等に提供されるようになったのは非常に画期的なことであった。

1年目でこの学問を学び、2年目ではこの学問を学び・・・みなチャイムと同時に同じ基礎教養を学ぶのである。

その目的は国として軍事力、統率力をつけることであった。

それが現在の日本では良い大学に行くため、良い会社に就職するためとなっている。

終身雇用の時代が終わり、学歴社会が崩壊している現在の社会に大人が言う、「今は辛くても将来意味のあるものになる」といった言葉は嘘となってしまうのだろうか。


□ これからの教育に必要なこと


2016年1月の世界経済フォーラムの年次レポートでは以下のようなスキルが必要だといわれている。


(1)複雑な問題解決力
(2)クリティカルシンキング
(3)想像力
(4)マネジメント
(5)人間関係調整力

これが従来の教育で身につくだろうか。AIやロボットに仕事をとってかわられたときに私たちの在るべき姿は、何なのか真剣に考える必要がある。
従来の大学入試に向けた勉強内容は、大学に合格して目的を達成したら忘れられていく。
ただ、自ら主体的に取り組んで得た経験や感動は何年たっても残り続ける。この経験までのプロセスで得る能力が今後は大事である。

ぶつかりあうことや、自分の意見を言い出せないこと、計画があまくて失敗してしまうこと、そこで次にどうしたらいいか考えることも学びである。

ペーパーテストの評価は返され、点数を眺め、自分の中で完結する。しかしチームで取り組んだプロジェクトは、その評価をチームみんなで共有することになる。そして、点数ではない観客者や、保護者、教員からのリアルな表情や感想が結果として返ってくる。

悔しい思いもときにはするが、それが次のモチベーションにつながる。

教員は教えるのではなく、環境を用意するだけで後は子どもたちが勝手に育っていく。それがHTHのPBL教育である。

□ 感想

子どもたちの変化や成長はもちろんのこと、私は映画の中に出てくる教員の姿にも感動した。

教員時代、子どもに感動させられる場面はいくつもあった。部活動や卒業式、サプライズでお祝いしてもらったことなど様々である。

しかし、普段の私が彼らに求めていたものは安全や安心、管理の延長線上にあるものばかりであった。誰も休まないクラス。いじめのないクラス。みんなが一生懸命に頑張る部活。それを律せれるのが良い教員だという根拠のない正解に向かっていた。

映画の中では、子どもたちが自ら成長し、新しいモノを生み出した瞬間に子どもたちと同じくらい教員が感動するシーンがある。思い返せば、私が感動した思い出というのも、子どもたちが新しい何かを自ら生み出した瞬間ばかりであった。

子どもたちのおかげで、大人である私達も日々感動し、また新しい感動のために挑戦し続けることができるのである。

学校教育の境界線を、変化させていこう。

子どもたちにわくわくを提供していきたい。

そして自分もずっとわくわくしていたい。


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