ハイリスク妊婦の出産報告。自然分娩を望んでいたけれど、#9
2023年5月に出産予定だった妊婦である。だった、と過去形なのは実際は予定日より2週間早く4月の終わりに出産を終えたからである。
人生で初めての出産は、思っていた以上に驚かされることばかりでした。この記事では出産にフォーカスして書いていこうと思います。
あくまでもわたしの体験であって、これが全てのお産に通ずるものではありません。それでも、この記事を読んでくれた人がリラックスしてお産を迎えられたらいいなと思って書いていきます。
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臨月でハイリスク妊婦に。娘に十二指腸閉鎖の疑い。妊娠、出産ストーリー。
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自然分娩の予定も身体は限界に
お腹の子どもに十二指腸閉鎖の疑いがあること、それに伴う羊水過多で緊急入院をするも退院し、無事に正産期を迎えたわたし。子どもの推定体重も2500gを超えていつ生まれても大丈夫な状態に。
うまれた子どもは検査や手術が必要になることが予想されつつも、病院や大人の都合で子どもの誕生日を決めることに抵抗があったわたしの気持ちを優先し、病院と話し合い計画分娩はせずに自然に陣痛や破水が来るのを待つ事になっていた。
しかし
しかし
わたしの身体に先に限界がきていた。増え続ける羊水でほとんど歩けず寝たきりの臨月。10歩進む度に休憩しないと動けなかった。
体重は妊娠前から20kg増え、腰にも足にも背中にも痛みがあり、横になると子どもと羊水の重さで皮膚が引っ張られ背中の骨を圧迫するので、数時間に一回夫を起こしてマッサージをしてもらい、気持ちを逸らして睡眠に。しかしまた数時間後には激痛で目が覚める。の繰り返し。
これが臨月か。と思っていたけれど、YouTubeで臨月ママのルーティン動画を見るたびに、
ふぅふぅ言ってるけど
わたしこんな優雅に動けない。
むしろ家事できてる時点ですげえ。
たぶん、なんか、いや絶対に
わたしは異常なレベルで無理してる。
前駆陣痛スタートも痛みは鈍し
出産の5日前の明け方、規則的な痛みがきたのでカウントしてみると10分間隔。たぶん本当の陣痛はこんなもんじゃないんだろうなと思いつつ、一応病院に。子宮口3cmと言われるも、ひとまず帰宅することに。
それでも念の為に行った病院のおかげで大きな不安要素が確信に変わることに。
行き帰りの車で(あ。これ、まじの陣痛きてたらたぶんパニックになる)と察する。
自宅から病院までは車で1時間程かかる。絶妙な車の揺れ、背中と腰の痛み、寝返りを打つだけで悶絶する神経圧迫痛。ここに破水や陣痛が加わると思うと、そしてなによりわが子の安全を考えた時に、わたしのメンタルが持たないかも・・・
そして帰宅後に夫と話し合い、2日後の妊婦健診で入院の相談をすることに。
計画じゃない作戦だ
2日後の妊婦健診で、さすがに日常生活に支障をきたしているのでこれ以上妊婦生活を続けると、わたしの体力がやばいかもと相談を。
わたし「臨月の妊婦さんって歩けますよね?」
先生「はい。歩けますね。」
わたし「・・・(もう正直10歩歩くだけで血圧上がる)」
先生「子宮口の状態みて、入院の準備しましょうか」
***
先生「うん、4cm。2日前より進んでますね。これだとバルーンなしで誘発分娩できますね。明日入院で今週陣痛促進剤進めましょうか」
わたし「うーん」
夫「あゆむ、これは計画じゃないよ、安心安全に産むための作戦だよ」
最後まで促進剤を使うことに迷っていたわたしに、夫がすかさず声をかけてくれた。近くでずっとみていた夫からしたら、たぶん相当辛そうだったんだと思う。早く安心してお産を迎えられる算段を整えられるよう意思決定をサポートしてくれた。
よし今週、わが子に出てきてもらおう!!
翌日入院、2日後に陣痛促進剤
入院初日は夫のマッサージがなかったので背中の激痛で眠れなかったが、出産前日は不思議とぐっすり眠れた。先生が緊張してますか?と声をかけてくれたけれど、心はやっとわが子に会えるという楽しみでいっぱいだった。
陣痛促進剤を使っても、うまく効かないと翌日になったり帝王切開になることもある。どんなお産になったとしても、安心して笑顔でわが子を迎えよう、絶対上手いようにできているとリラックスして最後の夜を迎えた。
分娩日当日は明け方から産気づいたママたちが運ばれてきて分娩室がいっぱいに。お産は重なるらしい。予定がずれると思いきや、なんとか予定通りに促進剤投与開始。
夫は朝から病院の近くのカフェで待機してくれていた。
とんでもない羊水の量
点滴開始から2時間程で人工破膜の処置があった。いつ破水してもおかしくないと言われながらも、なかなか立派な羊膜だったようでなかなかぷちっといかなかった。
産婦人科の先生がぷちっ、ぷちっと処置をする。
ああ、とうとうこの世界とつながるよ〜とわが子に声をかける。もう出てくる準備をしてね〜。待ってるよ〜。
ジュワ!!!ぼちゃぼちゃぼちゃぼちゃ
すごい量の羊水が出た。大きな医療用のボウルふたつぶん。6リットルくらいは出た。なかなかの衝撃だった。こんなに出ちゃって、子どもは大丈夫かちょっと心配に。
そのすぐ後に陣痛が始まり、夫が分娩室に。
陣痛って10分間隔が7分になって、5分になって、最後2分になって、、、その間は休憩できてプリンとか食べれて、、、を想像してたけど夫に買ってきてもらったプリンは食べることはなかった。
そして隣の分娩室では続々と産声が聴こえる。叫んでる妊婦さんの声も聴こえてちょっと夫と一緒にびびる。看護師さんもめちゃくちゃ忙しそう。
陣痛促進剤の効き目?恐るべし
初っ端から1分間隔。なんなら効きすぎて途中陣痛1分休憩20秒みたいなスパルタインターバルみたいな時間もあった。
「や、やすみたい・・・」となんとか声を出して促進剤の量を下げてもらった。
とにかく呼吸に集中、内側から溢れるパワーをひたすら感じて、陣痛が引く瞬間の気持ちいいホルモンにふわああぁあああと浸ることにした。
ちょっともう疲れてきたかものタイミングですでに3時間。もう3時間、まだ3時間。でも感覚的にわかる、出産まではまだまだだと。
ガンガン内側からボディブローのように腰とお尻にパワーが送られていく。ひたすら呼吸に集中。痛みは吐く呼吸とともに逃すのみ。
夫にはひたすらグーで外側からもパワーを送ってもらった。
そして陣痛開始から5時間位?子宮口9cmということで助産師さんが「もう、産めますね!うみましょう!」と。
「(え?まじ?もう?まだまだでしょ?)」と思ったけれど、この病院に全てを委ねようと覚悟を決める。
みんなで迎えた誕生
そのときすでにわたしを含む3人の妊婦さんがクライマックスに入っていて病院もてんやわんや。そこからは、よーいしょよーいしょでいきみを繰り返す。
途中心拍が下がったり、酸素ボンベつけられたり、なかなかドラマティックな現場だったけれど、わたしはひたすら子供に
「大丈夫、大丈夫〜」「がんばれ〜がんばれ〜」「もうちょっとだよ〜」と声をかけ続けた。妊娠期間応援してくれた皆の顔や声をたくさん思い出した。
このMINMIさんの声かけを真似させてもらったところ、本当に不安や痛みよりも力強さとわが子への信頼が勝っていった。
ちょうど看護師の勤務時間交代で夜の担当の看護師さんも分娩室に入ってきた。わが子は産後の検査が控えているため、最後は助産師さん、看護師、産婦人科医、小児外科、NICUのメンバー、なんだかわらわら集まってきて分娩室がいっぱいになっていた。
朝の点滴開始から寄り添ってくれていた看護師さんも勤務時間を過ぎていながらも、最後まで側にいてくれた。
助産院の薄暗い部屋で、夫と助産師さんと少人数で静かに産むのが理想のお産だったはずが、大きな病院でものすごい人数に囲まれて「がんばれがんばれ〜」とものすごい声援に囲まれて産むことになった。
思ってたんとちがう割と体育会系のお産。
でも、わが子の誕生をこんなに応援されるのも嬉しいものだなと幸せな気持ちで迎えられた。これが娘が選んだ人生のスタートなんだな。
最後はポコっと一瞬吸引してもらいおぎゃーと出てきたわが子。
夫が「わあすごい☆€*〜…!!!」と泣きながらわたしの肩を思い切り叩いていた。
わたしは安心で満たされたと同時にふわふわふわふわ〜と疲労で脱力。うまれたんだあと不思議な気持ち。
枕元に連れられたわが子は、目がぱっちり空いていていい匂いがした。
「ありがとう。やっと会えたねえ。」
「これから検査、頑張るんだよ。待ってるからね」
と声をかけると「あー」と口を開けて返事をしたので看護師さんたちと一緒に驚いた。
「ああ、大丈夫だ。」という根拠のない安心感に包まれたまま、眠りについた。
陣痛の痛みは特別
陣痛は死ぬほど辛い、二度と経験したくないとも聴くけれど、わたしは割と気持ちのいいお産だった。
それよりも点滴の針や、尿道の管、会陰切開の処置といった、尖ってる系、人工的な痛みの方がエネルギー的な意味でダメージが大きかった。
え、こんなんやだ
なんでしなきゃいけないの
ほんとにこれ必要?
余計な雑念がいちいちうまれてしまうので、まだまだだなあと思いつつ、お医者さんや看護師さん、助産師さんのサポートのおかげで陣痛開始から5時間半で出産を迎えられたのだった。
陣痛はパワーって感じで、自分の身体からこんなパワーが出るんかということにひたすら感動と驚いていた。痛いのは事実だけれど、あの5時間はあっという間だった。
痛みは怖いものじゃない。パワーなんだ。そしてそのパワーからみんなこの世に出てきてるんだ。
無痛分娩もありだと思う。パワーの使い方が変わるだけなんだと思う。わたしはそんなに器用じゃないから、シンプルにダイレクトにパワーを感じる自然分娩をもうまた経験してみたいなって思うけれど、色んなお産があっていいんだって、今回の出産を通して思ったんだ。
長くなったけれど、たくさんのありがとうを感じさせてくれた出産、お母さんにさせてくれたわが子に感謝でいっぱいです。
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