人前でなんかするやつすげぇ

人前でなんかするやつすごくないか?

私の身の回りには人前で
「ライブ」というものをする人間が複数人いる

歌ったり喋ったりペイントしたり
ラップしたり踊ったり演奏したりする人がいる

何故か今までピンときてなかったのだが
人前でなにかするのってすごすぎる

例えば人前で歌うとして、
何を歌うか、音をどう流すか
舞台に立ってから曲を流すか
曲が流れてから舞台に出ていくか
何着て歌うか、何履いて歌うか
メイクはどうするか、髪型どうするか
歩くか、走るか、歩かないか
歩き方どうするか、止まり方どうするか
どこに立つか、立ち方どうするか
マイク持つのか、スタンドにするのか
ピンマイクにするのか、地声で行くか
マイクどう持つか、スタンドマイクさわるか
イントロ流れたらどこ見るのか、目を閉じるのか
緊張してるか、武者震いか
歌詞覚えてるか、歌い出しの声がでるか
歌い出しのタイミング大丈夫か
客の反応はどうか、証明はどこに当たるか
サビは盛り上がるようにするのか
どうすればサビが盛り上がるのか
裏声にするのか、しゃくるのか、ビブラートか
息継ぎできるか、息継ぎ音無しか、音ありか
鼻濁音にするのか、がなるのか、叫ぶのか
体は動かすのか、表情は変えるのか
二番の歌詞覚えてるか、変調対応できるか
語りかけるように歌うか、囁くように歌うか
訴えるように歌うか、無機質に歌うか
大サビはどうする、声量大丈夫か
喉の調子最後まで大丈夫か、息は続くのか
汗でメイク崩れてないか、ハウリングしてないか
歌い終わったあとどうするか
アウトロの間なにするか
客の反応はどうか、拍手はあるか
あの人は見に来てくれたか、見てない人はいるか
歌い終えて礼をするか、どうたちさるか
転ばず帰れるか、息上がってるか
上手くやれたか、おかしくなかったか
ベストを出せたか、後悔はないか

私が想像しただけで1曲歌うのに
これだけ気になることがある
いや、実際これ以上にあるはずだ

これらを背負って彼らはステージにたっている
ステージに立ち、パフォーマンスをして
再度またステージに立つ
何度もこれを繰り返しているのだ

なんて果てのない挑戦なんだ

私は幼少期の発表会ですら
超緊張して間違ってしまって
とちって笑って誤魔化したことがある
またやりたいと思ったことはない
やり直したいと思ったことはあるが
正直そう何度もやりたいものでは無い

でも彼らは、舞台に立つことを望み、望まれ
幾度も数多の壁を乗り越えて
ライブをやり遂げてきているのだ

なんて凄いんだろう。凄すぎる。

そもそも私からしたら
自分の何かを人に披露するというのが頗る苦手で
自分の声も、話し方も、動き方も
絵も色選びも姿勢も顔も思想も何もかも
人様の前に晒け出すのがとても怖いのだ
それは拒否される恐怖でもあり
恥をかく恐怖でもある

自分の思想や本質が人目につくのが怖いのだ

私の身の回りの「ライブ」を行う彼らは
もちろん練習やイメトレをしているらしく
成功に導くために様々な用意をする

その過程すらも過酷だ
自分をあえて客観視し
人の目にどう映るか、
人の心にどう映るかを考え、演出している
人から自分がどう思われるかを考えているのだ

他人からどう思われてもいい!
好きなことをやる!
それすらも自分の行いを人に見せ、
自分がどう思われたいかを考えたからこその思いだ

怖くないんだろうか

自分の一挙手一投足が
人の心にどう作用するか分からない中
批判や否定や揶揄や嘲笑が起きる可能性の中で
それでも自身を表現していく

俺はそれがとても恐ろしく思うのだ

俺が思うに彼らはその恐怖と向き合い葛藤し
それでも自分の伝えたいことのために
人前でパフォーマンスしている

なんて強いんだろう

自分を、自分の思いを人前でさらけ出すこと
自分が何を考えているかさらけ出すこと

俺は自分が何を考えているか
人に出来ればバレたくない
俺自身俺が浅はかで薄く、
不安定な思考しか持たないことを知っているからだ

彼らは人前に出る以上、
どう表現しどう受け取ってもらうかを考える中で
自身の思想を突き詰めて色濃くしていく
あるいは、浅かろうが薄かろうが
構わず自身のために発信していく
その時点で既に濃密な自己が彼らにはある

俺には無いものだ
俺が渇望して得られなかったものだ
得るための研鑽を行えなかったものだ

幼い子のピアノの発表会
数多の大人の視線の中、どれほど緊張して
どれほど恐ろしく
どれほどの不安のなかで演奏するのだろう
そしてそれを克服し、
再度ステージ上に立つその心は
どれほどの成長を遂げているんだろう

実際俺がnoteをつけるようになったのは
ひっそりとこっそりと
自身の考えを人に晒すことが目的である
その恐怖にどれだけ耐えられるかと
自分を試しているのであるが
その恐ろしさゆえか
未だあまりに本質的なことは書けずにいる

彼らは彼らの本質を人にみせる

思想と思想がぶつかり合い
受け入れられも反発されもする
賞賛されも貶されもする
自分と他人は違うものだからだ
その違いを俺は恐れている

彼らは本当に凄い
鏡の中の自分と戦うような
孤独で果てのない戦いの最中、
他人に自らをさらけ出し、
鎧すらも自分と溶け込み、もはや捨て身で
その中で自己評価を続けているのである

俺の周りにはそういった猛者たちが何人もいる

俺はなれるだろうか

猛者とまではいわない

昨日よりも、ほんの少し強い自分に

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